「愛のどんな敵も、愛がみずからを讃える炉で溶解する」。難解で詩的な表現をとりながら、美とエロス、美的感動と愛の感動とを結びつけ、執拗に考え抜く。その思考実験の果てに、あまりにも美しい娘(と妻)への、究極の愛の手紙が置かれる。超絶技巧、シュールレアリスムの中心に輝く本。伝説の傑作、待望の新訳
内容 「BOOK」データベースより
ニュアンスが異なるけども、現代日本でシュールといった言葉が存在する。その語源となる芸術形態シュールレアリスムの詩的部門の一人がアンドレ・ブルトンである。シュールレアリムスを一言で表現するのは困難だが、日本語訳では超現実主義となっているそうで、超現実に関しても一定の解釈こそあれど諸説あり解釈は多岐に渡るそうでございます。ブルトンは自動書記といった技法を採用しており、意識外で詩を作成する・・・ふむ、初見では神秘的な現象・技法なのかなぁと印象を受けましたが、ブルトン自体が旧世代宗教観念を批判牽制する言葉が多い事と精神分析的なアプローチが多いので心理学理論に基く芸術創作との印象を受けました。
芸術造形に興味がある人や心理分析に興味がある人などが読んでも楽しめる作品ではないだろうかと思います。専門学的なお話は深く掘り下げない事にします、僕にはわかりませんし、僕は一般読者としての作品の魅力を伝える事に専念したいと思います(逃)。本作品は小難しい理屈を除けばテーマは一つなのです、それは「愛」です。愛ほど人間を惹きつける魅力は無いですものね。作品全体としては難解です!注釈や解説無く読むと、よほどの美的センスを備えた人間でもなければ一般人読者には難攻不落な作品と感じてしまうでしょう。注釈部分と本編を行ったり来りしながら読む事が嫌いな人にはオススメ出来ない作品です。しかし難解な本編も実は愛する娘や妻へのラブレターに過ぎないのだと知ったらそれだけで気分が楽になる事は言うまでもないでしょう。そう印象づいたのは私だけかもしれませんが・・・解説や注釈が多い作品は読者の数だけの感想が生まれる作品でもありますので自分なりの感想を持ってみる為に読むのには最適な本だと思います。それに、ある程度注釈が導いてくれるので安心して読めます。さて、私が一番面白かったところは本編ではなく、あとがきのブルトン紹介文でした。彼の人生を自伝にすれば一般人受けする事は間違いないでしょう・・・妻公認の愛人を作って浮世を流す・・・W不倫の果てに金欠になって妻に金の算段を頼む夫・・・もう馬鹿馬鹿しくてたまらない破天荒な人生を送るブルトン。現代日本社会ではスタンダードとされていない感性と人生を備えたブルトンだからこそこの「愛」の詩を完成させる事が出来たのだと感じる事が出来ます。ちょいと難しく「愛」を語っている作品を読んで見たいって人には丁度よい一冊。