『モダンタイムス』 伊坂 幸太郎 | ほんとなかよし

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だったらいいな・・・

恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。


5年前の惨事―播磨崎中学校銃乱射事件。奇跡の英雄・永嶋丈は、いまや国会議員として権力を手中にしていた。謎めいた検索ワードは、あの事件の真相を探れと仄めかしているのか?追手はすぐそこまで…大きなシステムに覆われた社会で、幸せを掴むには―問いかけと愉しさの詰まった傑作エンターテイメント。


内容 「BOOK」データベースより


「魔王」の舞台から数十年経た未来の世界を描く「モダンタイムス」、単独で読む事も可能ですがやはり前作を読む事を強くオススメします。伊坂作品は「砂漠」「重力ピエロ」「フィッシュストーリー」「ゴールデンスランバー」「魔王」と経験済みでした、「魔王」からは舞台を継承していますので似ていて当然なのですが、主人公の世界での立ち位置が瓜二つだったのは「ゴールデンスランバー」でした。この感覚は間違いではなく、あとがきでも作者含め解説でもある様に「モダンタイムス」と「ゴールデンスランバー」は同時期に作成された作品だそうです。「ゴールデンスランバー」を読んで面白いと感じた人は絶対に面白いと感じる事間違いなしだと思いますね。両方の作品の主人公の闘い方を見比べてみるのも一興ではないかと思います。「モダンタイムス」は不思議な作品ですね。明らかに未来が舞台となった世界が描かれているのですが、SF過ぎる味が出てきません、作家独特の空想で未来像が押し詰められている様な作品では決してなく、むしろ科学技術が進歩しても人の根本は変わっていないという虚しさの様なモノを感じる。たとえば、移動手段が、その昔蒸気機関車だったものが電車に変わったとしても人が移動する行為自体に然程変化は無いので、移動手段自体を描く必要性など皆無であるといった印象だろうか。結果、未来の話であるにも関わらず脳の中で描かれる世界像が現代のそれと同じなのだ(これは私の想像力の欠如が原因かもしれないが・・・)むしろ未来そのものを描く事が主題ではなく、未来と現代に通じる人や社会の根源部分・基本部分が変化しない事を描いているのだろうかどうかは・・・はかり知る事ができないが、そんな印象を受けました。ストーリーの主軸は、事件の真相を探るという探偵系推理モノミステリーと近い印象を受ける、実際にミスリードを誘う展開や蓋を開けてみれば的な伏線が随所に見受けられる。が、私的印象ではそれも少し違うのかなと感じています。結局真相の奥にあったものを蓋を開けて受ける印象は人それぞれなのだろうけども(実際にミステリー真相を追う事に慣れた人には受け付けない結末かもしれません・・・)僕が感じた印象は真相そのものに意味なんてなかったのかもしれないという事です。作中の表現を利用するならば「虚無」でしょうか?しかしだからといって伊坂作品が決して腐らないのは、その「虚無」を輝かせるに十分なほどの「勇気」ではないだろうか?これも作中の表現であって文字にする「勇気」はなんと陳腐な響きを与えるものなのだろうかと思うが、「勇気はあるか?」と本当に問われている様な作品であるとだけ言えます。「モダンタイムス」の作中に登場する話は様々あります、深い所では社会システム論や幸福論、俗っぽいものでは陰謀説やネットの闇といった話題です、そのどれもが一度は誰かと意見を交わした事があるテーマであると思う、同時に結論が出せないもしくは真相をつかめないものばかりだと思います、そういった各論を興味・関心を引くように書き上げて論争に巻き込んでくる、決して明確な答えを投げつけられる訳では無いのだけどゴチャマゼニなった竜巻で吸上げられた読者はゴチャマゼのまま地上に叩きつけられる!そして、その状況で見渡したときに見える景色や感情が答えなんだ!読後に何を得るのか?楽しみな作品だと思います。おそらくですが、再読すればまた違った答えを見つけられるかもしれません。最後に、今作品は若干ハードボイルドな展開が多いです、村上春樹作品のハードボイルド展開が好きな人には楽しめるかな?でも伊坂作品は安定感のあるハードボイルドなので物足りなくてもしょうがないですからね、またそこが良い所なんですからwあと、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の社会と個人の葛藤にも近いものを感じました。また作中で登場する(作品名は隠されていましたので明かしませんが)グレゴール・ザムザが虫に変身しちゃうw作品も読まれると面白いかもしれませんよ^o^僕は、「魔王」で出た宮沢賢治詩集や「モダンタイムス」での芥川作品に手を出してみようか検討中です。


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