ナポレオン失脚後のフランス。貧しい家に育った青年ジュリヤン・ソレルは、立身のため僧職に身を投じる。やがて貴族であるレナール家の家庭教師となり、その美貌からレナール夫人に慕われるようになる。ジュリヤンは金持ちへの反発と野心から、夫人を誘惑するのだが…。(上巻)
神学校を足がかりに、ジュリヤンの野心はさらに燃え上がる。パリの貴族ラ・モール侯爵の秘書となり、社交界の華である侯爵令嬢マチルドの心をも手に入れる。しかし野望が達成されようとしたそのとき、レナール夫人から届いた一通の手紙で、物語は衝撃の結末を迎える。(下巻)
内容 「BOOK」データベースより
あとがきで得た知識ですが、題名の「赤と黒」が何を指すかは様々な説があり明確に定められてはいないそうです。僕はその中で、一番単純な説かも知れませんが赤と黒という色が表す心情がしっくりくる印象を持ちました。まず、赤・・・これは情熱・熱血といったマグマを彷彿とさせるような熱さ!はたまた愛情や熱愛といった愛を表すと考えます。次に、黒・・・これは邪念・強欲という暗く歪んだ闇!もしくは破壊や自滅といった死を表す。物語はナポレオン失脚後のフランスであり、王政が揺らぎブルジョワジーが台等する世界が目前に迫っている時代の変遷期(たしかナポレオン3世?までは王政がダラダラ続いて王政と反対派が対立を深めていた時代だったような・・・よく知らないw)を生きるジュリヤン・ソレルの半生を綴っています。先程の色を作中に当てはめるとすれば、赤が愛で黒が野心といった所でしょうか。内容にあるように、貧困から上流階級へと登りつめる野心を抱えたジュリヤン、当初は他人から受ける愛や自分が抱く愛ですら野心の燃料に過ぎず冷酷な程に傍観者として生きる主人公はどこか好きにはなれない人物です。しかし物語が進行するにつれて周囲や世間などを見向きもせずに愛に溺れるかの如く生きる姿はどこか放っておけない危うさとドキドキを与えてくれる人物に見えてくるから不思議です。しかし赤と黒という色が交じり合う時に原色が残らないように、内に秘める赤と黒の心は混ざる事は決してありません。特にこの両極端な気持ちで揺れ動く心理描写は主人公ジュリヤンを筆頭に、レナール夫人、侯爵令嬢マチルドの主要3角関係の登場人物に顕著で、一度燃える恋をしたかと思えば無関心な程に他人行儀になるといった掴み所のない心の動きも「赤と黒」の興味深い所です。「白と黒」としてオセロの様な裏表をイメージしていただければ一番しっくりくるかもしれませんね。私は図書館シリーズと平行して読んでいたのですが、図書館全6冊を読む間にやっとこ上下巻を読むのが精一杯でした。というのも古典文学系はその歴史や社会背景が現代と異なる事から場所や場面をイメージし難い事も一つですし、当時の常識は今の非常識、その逆も然りって事で読書中に理解不能な言動が出てくると逐一自分なりの解釈を挟まなければならないので結構大変です。幸い新訳といった現代人への配慮を怠らない出版社のフォローに助けられながらなんとか読んでいるに過ぎないのが現状です。ってな事を言いながら結局読後に印象に残る主人公達ってのは古典小説の登場人物であったりするから不思議なんですよね~ジュリヤン・ソレルも間違いなく印象深い人物となるでしょう。そうなるといいなぁ。