「さぁ。誰に一億円をあげようか」大富豪・宮島勉とその秘書田ノ倉は、困っている人に一億円を進呈し、その後の人間ドラマを観察するというゲームを続けている。今回登場するのは、笑いが顔に張りついてしまった男、出所したばかりの老金庫破り、財産を狙われる孤独な婦人…。金は魔物と言うけれど、果たして彼らの運命は。大好評シリーズ第二弾。
内容 「BOOK」データベースより
私が本屋に行くのは月に一度、内容量を踏まえておおよそ一ヶ月分のストックを購入する。本作は前作「一億円をもらったら」の続編ということで購入したのですが、先の読了「そして誰もいなくなった」後書きが著書赤川次郎さんだったのに奇縁を感じる。さて、「不幸買います」ですが前作に引き続き一億円をもらったら?人間はどうなるのだろうか?がテーマの作品。価値観といった言葉は大嫌いですが、お金ほど人によって価値観の変わるものは無いと思う。そもそもお金で買える物の全てはお金を基準に価値が決まる!いわばモノの尺度と言って過言でないのがお金でしょう。そして、富豪でもない限り大金である一億円をもらったら?は魅力があるテーマだ。凡人ならば誰しも一度は想像した事がある宝くじが当たったらどうするだろう?の想像を小説化した作品とイメージすると良いと思います。メインタイトル「不幸買います」の如くすべての短編が不幸から始まり幸福に終わる所は前作とは違うテイストを醸し出している様に思える、また前作よりもより現実的なお金の使い方だったような気もする。大金といえば人生を狂わせるイメージがつき物だが、大金を必要とする人間が大金を与えられた時に人生が狂うのではなく、お金が基で考え方や価値観が変わる、しかも闇ではなく光の方向に向かって変わる作品なので爽やかな気持ちで読めると思います。もし一億円をもらったら?私はどうするだろう。
さて、私は金融界に身を置く(末端構成員だがw)人間なのでお金との距離感を常に意識する人間である。「働けど働けど・・・じっと手をみる」石川啄木の言葉を地でいく人生を歩むので扱う大金は異界のお金と認識せねばやってられない(むしろ紙切れと思い扱っている)。その意味でお金とは、手元にある金を指す言葉だとつくづく実感している、1000万、一億の金を目の前にしても自分の金でなければ紙切れでしかないし商売道具の一つでしかない。では手元に大金がはいるチャンスがあるか?と言えばおよそ多くの凡人の一人である我が身には縁のない話であることは言うまでもない・・・そもそも年収一千万の世帯など全体の5%にも満たないのだ。私は独立コンサルタントにでもなって一攫千金を狙う程の貪欲さが自分にないことも重々承知している。そんな私が大金に馳せる思いはまさに「宝くじが当たったら」の気持ちである。その気持ちを少しでも埋めてくれる本作は貴重な作品と言えるかもしれません。お金が欲しいなと思った時に読んでみましょう。そして自分が同じく受け取ったならばどうするのか?想像だけならばお金は減らない・・・想像力は無限大である。