「お母さん、殺されたのよ」―学校から帰ってきた美幸は、家で母が殺害されたことを知らされる。警察は第一発見者である父を疑うが、彼には確かなアリバイがあった。しかしその言動に不審を抱いた美幸は、VIP専用の調査機関“探偵倶楽部”に調査を依頼する。探偵の捜査の結果、明らかになった意外な真相とは?冷静かつ迅速。会員制調査機関“探偵倶楽部”が難事件を鮮やかに解決。
内容 「BOOK」データベースより
『依頼人の娘』のタイトルで刊行され、文庫化に伴って改題『探偵倶楽部』。東野圭吾さんお得意の探偵モノ短編集でシリーズ化はされていない作品。私はミステリー系はあまり読まない方だが東野作品だけは夢中になって読んでしまう(いや、ミステリー系は夢中になると止まらない事が解っているから読まないだけなのかもしれない・・・)。東野作品の凄い所は、ミステリーそのものの謎や解明、トリックなどが秀逸なだけでなく、登場人物の心理背景や心理戦が巧みに描かれている点だと思う。ミステリーの基本は、謎解きであろうが、実はその謎を解く事で犯人や周囲の心理的真相が解明されて、その思惑に読者が背筋の凍る戦慄を覚える事になる。さて、今回の「探偵倶楽部」だが、若干心理描写に持っていく為に、あっけなく人が殺されすぎている様な気がしてならない、これは「探偵倶楽部」作品自体の閉鎖性がそうさせるのか、初期作品の作風なのかは知らないが、2000年代作品に比べて後味の悪い作品が多い。VIP御用達の探偵倶楽部の手腕はプロそのもので感情などを挟まず徹底して事件の真相解明を行なう。事件の多くはトリックよりも動機が重視され、しかもその動機の多くは「自らの利益の為に殺す!」だ。ミステリーの中には「殺すべき相手だった」という動機に情状酌量を残したトリック重視の作品が多くて、そんな作品の方が、あ~楽しかったと思えるだろうが・・・そんな甘えを許さないのが今回の作品である。事件の裏にうごめく人間の醜さや計算高さなどは胸糞を悪くさせるに十分で、救いのない終わり方等は実際の殺人事件の取り返しの付かなさに匹敵する現実味を帯びている。・・・ように思うwドライでクールな探偵もの ゾっとするには最適な一冊。