伝えるべき情報は何かを自分の頭で考え、ひと言にまとめていくことについて書かれていたノウハウ本。
ポイントはたった2つ。
「捨てる」それから「まとめる」。
様々なビジネスシーンでとても役に立つ内容でした。
【概要】
物事をわかりやすく説明するためには、小学校までに習った言葉で十分である。
伝えたいことが多すぎて、多くのことを伝えようとすると、話が長くなってしまい、一つも伝わらなくなる。
そうしたときは、「今日はこれだけを話します」「5分限定でひとつの話題しか話さない」というルールをつくってみるとよい。
すると、聞き手は何を話していたのかをしっかり覚えている。
人間が嫌われる条件の一つに、「人は、与える量より奪っている量が多くなったとき、嫌われる」ということがあるのではないか。
ミヒャエル・エンデの作品『モモ』に登場する「灰色の男たち」の中では、人々が時間効率を優先し、ゆとりや日々の余白をなくして、大切な時間を灰色の男たちに奪われていく様が描かれている。それは、他人の大切な時間を奪うという「時間泥棒」である。
相手に伝えるときに役立ちそうなポイント
【ひと言でまとめるための「8つのプロセス」】
1 伝える勇気(言う気)をもつ
2 自分を知る(客観的に見る)
3 伝えたい相手を知る(情報収集)
4 目的地を明確化する(ゴールを伝える)
5 「コア」を探す(最も魅力的な部分)
6 バッサリ捨てる(情報過多は伝えないより悪手)
7 相手がどう動いたかを観察する(GET できたか)
8 人間関係を発展させる(改善させる)
伝える=行為=TELL
伝わる=状態=GET
相手に伝わって初めて、何かを得たり、生み出したりすることができる。
サン=テグジュペリの『星の王子さま』では「本当に大切なものは目に見えない」
事実は一つでも、人による解釈は無数に存在する。
メール文などで意見のぶつけ合いに感情的な言葉は絶対に使わない。不快だ、腹が立つ、面倒だといったニュアンスの言葉は使わない。
自分だけ得するトークを捨てる。
自分が言いたいことを言うのではなく、相手が言ってほしいことを言う。
相手の立場に立って、相手の気持ちを想像して伝えていく。
自分も相手も得する一挙両得の伝え方が大切。
抽象的な説明をしないで、定量(数値や数量化)と定性(質)の両輪を使って伝える。
難解な専門用語を使わない。誰が聞いても伝わる内容にする。
相手の目線に合わせて伝える。
完璧な内容を求めない。
千利休「不完全であることこそ自然で美しい」
問い詰める質問はしない。相手が答えやすい質問をする。
相手に選択肢を与えるようにする。
良いプレゼンとは何か?それは「感動」を与えることだ。
物語化において一番重要なのは、「感動」=「共感」を生むこと。
「私の物語」を「私たちの物語」にすること。
「誰に」「何を」「どんな方法で」「どんな目的で」「どんな感動を」「なぜ与えたいのか」を考えて物語化する。
【ひと言でまとめるために必要な11の考え方と方法】
1 「つまりこれってどういうこと?」と何が言いたいのかを考える「つまり思考法」
2 難しいことを簡単に、簡単なことを伝わりやすくする「20文字の法則」
3 つまずく前に二度問いかける「W問いかけ法」
4 あえてシンプルに愚かになる「KISS思考法」(Keep it simple,Stupid. シンプルに愚鈍にせよ)
5 「共感」と「時間」と「快感」で伝える「三感法」
6 「強烈な提示」+「なぜそうなったのか」+「結論」で伝える「スパイシーサンド法」
7 物事をいいように捉えて、文章をポジティブに変換する「ポジティブ変換法」
8 「伝え方」はトレーニングで身に付けられる「アスリート式伝達法」
9 相手の頭に映像が浮かぶように伝える「瞬間最大描写法」
10 名前をつけて伝える「ネーミングの法則」
11 例え話で理解を得る「たとえ思考法」
【ひと言にまとめるために必要な7つの法則】
1 一文には1つのメッセージしか入れない「一文1メッセージ法」
2 主語と述語の位置を離しすぎない「主述近接法」
3 同じ言葉が文中に2回以上出てくる場合は言い換えるか省略する「同語言い換え省略法」
4 箇条書きを使って分かりやすくする「箇条書き法」
5 「〜と思う」「〜と感じる」は使わず、できるだけ言い切る「言い切り法」
6 文末のリズムをよくする「リズム法」(声に出して読んでみる)
7 余計な言葉をできるだけ削除する「徹底削除法」(なくてもいい接続詞、余計なひと言、無駄な指示語、過剰な敬語、不要な修飾語、しつこいカタカナ語、重複表現)
《「ひと言でまとめる技術」勝浦雅彦 著 株式会社アスコム 刊より一部引用》