きこえる 道尾秀介 | なほの読書記録

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I'm really glad to have met you.



「いけない」では写真を見て謎が解けるという展開でしたが、今回は音声(第五話のみ音声+動画)によって最後に謎が解けるようなプロット立てで、非常に趣向を凝らした新感覚のミステリーでした。

読み終えてQRコードからYouTubeで音声を聴くと、
「えっ、何で?わけわかんない!どういうこと?」
ってなって、もう一度読み返してみると
「あー、そういうことだったんだ‼️うーん、やられた…、すごい🫢」
といった感じで、ミスリードされていたことに気付き、文字だけでは見えなかった真相が分かるという、今までにない、とても新鮮な読書体験をすることができました。

ネタバレになるといけないので、詳しくは書けませんが、あしからず。


第一話「聞こえる」

ライブハウスを経営する女性(主人公)と歌手を夢見る少女の話。

少女の夢を叶えるため二人は生活を共にしていたが、ある日少女は事件に巻き込まれて亡くなってしまう。


第二話「人間玉」

資産運用セミナーに参加していた60代の男性(主人公)の話。彼は、過去に投資などで失敗し、退職金などの資産を失ってしまっていた。しかし、そのセミナーの講師(40代の男)を、どこかで見た覚えがあることに気付く。


第三話「セミ」

母親は離婚していなくなり、父親は事故で亡くなったため祖父母と生活をすることになり、都会から田舎の学校へ転校した小学生(主人公)の話。

新しい学校で仲良くなった純粋無垢で間抜けな星矢と過去の話をしていると、父親の死の真相に途中で気付く。


第四話「ハリガネムシ」

一流大学を卒業し就職したが、会社に適応できずに辞めてしまい、学習塾の講師を生業としている若い男性(主人公)の話。

彼には気になる女生徒がいて、女子生徒にUSB充電器タイプの盗聴器を渡し、部屋での生活を盗聴する。女子生徒は再婚した母親と働けなくなり酒に溺れて暴力を振るう義父と生活していたが、義父が女子生徒に手を出す様子を聴いてしまう。


第五話「死者の耳」

有名画家の息子である夫の瀧沢鐘一と妻の怜那。怜那は夫からDVを受けており、その証拠をスマホで通話するので音声を録音してほしいと頼まれた友人の女性(主人公)の話。

怜那が帰宅すると鐘一は死んでおり、その場面の音声が録音される。しかし、怜那もその後マンションから飛び降りて亡くなってしまう。