【第11回京都本大賞】受賞作の第二弾。
猫と人の絆を描いた連作短編集。
京都市中京区の街中の薄暗い路地の奥にあり、心の悩みを猫で癒してくれるという奇妙な「中京こころのびょういん(病院)」。
風の噂でこの病院を訪れる心の不調を抱えた患者に、妙に軽いノリのニケ先生が処方するのは薬ではなく、子猫や三毛猫、黒猫、マンチカンなど様々本物の猫たち🐈🐈⬛。
戸惑いながらも、決められた日数、猫を「服薬」する患者たち。
自由奔放かつ気紛れで繊細、手がかかるけど愛くるしい猫と過ごすことで、患者の心が少しずつ変化し、知らず知らずのうちに悩みが解決し、心の傷が癒されていく。
一方、「中京こころのびょういん」で猫を処方する「ニケ先生」と、優しくて強くて別嬪さんの看護師「千歳さん」の秘密が少しずつ明らかになってくる。
そして、猫の可愛さだけでなく、ひどい目にあった保護猫の厳しい現実も描かれている。
このどこか謎めいた「中京こころのびょういん」を巡る4篇のストーリー。
1:彼氏から別れを切り出されそうで、会うのを避けたい女子大生の大谷萌。
2:妻に先立たれて家に引き籠もりがちになった老人の里中達也と、いつの間にか部屋に篭もるようになった17歳の孫の隼人。
3:大谷萌の友人で、兄ばかり気にする母親に実は不満をもつ梶原玲央奈。
4:玲央奈の兄で動物保護センターに勤め、黒い猫🐈⬛ニケを飼っている梶原友弥。
【印象に残ったフレーズ】
〔ニケ先生の言葉〕
「猫はね、あなたが思っている以上に強いですよ。猫が目を閉じて、眠ってる時、そこに浮かんでるのは楽しいことです。たとえその時が一人ぼっちでも、猫は楽しい夢をみながら逝けるだけの強さを持ってるんですよ。なんてったってどんな悩みも治してくれますからね」
《「猫を処方いたします。2」 石田祥 著 PHP文芸文庫 刊より一部引用》