>オリジナルフルアルバム

>タイトル:狂言

>アーティスト:Ado

>リリース日:2022年 1月 26日

>記事作成日:2023年 7月 14日






聴きました!


“気分だけでもロッキン2023”シリーズ⑤!

ここ数日、実質的に“ano研究シリーズ”と化していたので、改めて趣旨説明を(笑)。2歳児連れて夏フェスなんて到底行けないけど、気分だけでも夏フェスを味わいたいなぁという事で。ロッキンに行ってた時代にやっていた、“ラインナップの中から、まだ聴いた事のないアーティストの作品を予習と称して聴いていく”というヤツを、今年も開催中です。


今回はAdoさん。

…まさかの、実はほぼ聴いた事がないんですよね。一世を風靡した『うっせえわ』は流石に「どんなもんだろう?」って聴いてみたりはしたんですが、その時に今ひとつピンと来なかったのと、あとは流行に踊らされたくない!みたいなヒネクレ根性とで(笑)、今回まで聴かず嫌いしてきてしまいました。




『レディメイド』

隙間という隙間に音が詰まっている。まさに“今風”の曲。

物凄く、ピッチ(音程)が安定していますね。あまりにも安定してるから、聴いてて気持ちいい。数学的というか、幾何学的というか、そういう気持ちよさ。


『踊』

洋楽的…洋楽一切聴かないので、イメージでしかないですが。なんというか、レディガガとか、そんなイメージ。


『ドメスティックでバイオレンス』

譜割が凄いですよね。音符一個に対して、言葉が3文字くらい乗っかってるイメージ。「よく噛まずに歌えるなぁ」とか、そんなところにばっかり注目が向いてしまう。


『FREEDOM』

ベースラインが好きですね。凄く存在感がある。ギターの音色にもカラリとした爽快感があって…ここまでのちょっと鬱々とした音像から、ギアチェンジした感じ。でも、音がそんな感じで小ざっぱりしているのだから、ボーカルもあえて声を潰して“こってり”させなくても良かったんじゃないかなぁ?と思う。


『花火』

ここまでの米津玄師的なトラックメイクから雰囲気を変えて、ちょっとYOASOBI的な方向へ。落ち着きと、そこはかとない艶かしさ(?)と。

ここまで、もう情報の洪水だったので…このくらい落ち着きのある曲に、ちょっとホッとします。別にホッとするような歌詞でもないのに(笑)。


『会いたくて』

本作随一の“歌モノ”だと思います。他の曲は、“歌”っていうよりちょっと“早口言葉選手権”みたいなところがありますからね…このくらいのほうが、メロディを堪能出来る。


『ラッキー・ブルート』

初期の椎名林檎さんのような、エキセントリックさを帯びたボーカル。

これは…なんでしょうね⁉︎(笑)。サビとか、バースとか、そういう概念自体が無い感じ。不思議な曲。


『ギラギラ』

BPMに落ち着きがある。譜割も、(他の曲に比べれば)落ち着いている。他の曲は、ほぼほぼ早口言葉みたいなもんですからね…。

これくらい落ち着いた曲なので、この辺で初めて、この方のボーカリストとしての特徴に注目が向けられるようになる。この曲の、ちょっとミックスボイスっぽい声の出し方が結構好きかも。鼻から空気が抜けてる感じというか。ゴリゴリの腹式呼吸でズドーンと歌ってる事が多いからなのかもしれないけど、この曲のこの歌い方がひどく新鮮で。やはりぼくは、“完璧な強さ”よりも、強さの後ろにほんのり脆さや儚さも湛えたもののほうが好きですね。音楽もそうだし、映画も小説も漫画もそうですけども。

ちょっと、中村中さんの歌声を思い出した。


『阿修羅ちゃん』

はい、再びのアッパーチューン。ほんと、ヴィレヴァンとかドンキの圧縮陳列を想起するような作風。ぼくも、しばらく前まではヴィレヴァンのようなうちに住みたいと思って実際そんな感じの部屋にしてたんだけど…ちょっと、ガチャガチャ感に疲れるようになったんですよね(笑)。この方の音楽も、もしかしたら数年前であればガッツリとハマっていた可能性があります。


『心という名の不可解』

アッパーチューンなんだけど、サビの高音部分とかを地声で張るんじゃなくてファルセットを混ぜているところに、『ギラギラ』と似たような雰囲気を感じる。一方で、他の曲と同様にど迫力の地声で張り上げる部分も当然あるので、ツインボーカルみたいな印象になる曲。


『うっせぇわ』

まぁ、率直に思ったのは、「何をそんなに怒ってますの⁉︎」という(笑)。サウンドにしてもボーカル(歌い方/表現)にしても、非常に怒気を孕んでいる訳ですが、歌詞を読んでも今ひとつ、何に怒ってるのかが分からないんだ…いや、厳密にいうと、視覚的に“歌詞を読”めばある程度は分かる(というか自分なりの解釈が出来る)んだけど、音として耳からの情報に触れた時に、「うわぁなんか怒ってんなぁ」以上のところにまで気が回らないんですよね(笑)。とにかく「怒ってんなぁ」と。

「怒ってんなぁ」以上の気持ちが、湧いてこない…この曲が大ヒットした事実を否定するつもりは一切ないですけど、「世の人がこぞってこの曲に惹かれる程、みんながみんな腹立てながら生きてんの⁉︎」という…。“アンガー人口”、ぼくが思ってるよりだいぶ高いのかもしれない。


『マザーランド』

マザーランドと聞いて「あぁ、19(ジューク)の事務所ね」と思うのは世の中で3人くらいでしょうか(笑)。

この曲も情報量はたっぷりあるんだけど、でも『うっせぇわ』の後だからかとても静かな曲に感じてしまう。


『過学習』

うーん…ちょっと、お腹いっぱいになってくる。


『夜のピエロ』

“〆のお茶漬け”感はちょっとあって良い(笑)。引き続き言葉数はごく多いし音だって盛り盛りだけど、ここ何曲かに比べるとさらさらっとイケる。

ぼくは、ダミ声みたいな声の出し方はもうちょっと少なくても良いのかな?って思います。この曲はダミ声が少ないので、聴きやすいんだと思う。




そんな、計14曲。


先に言っておきますが…この方の音楽性を否定するつもりは一切ありません。ほんと、一切。ぼくの耳とこの方の音楽との間のどこにミスマッチが起こったのかと言えば、この方の楽曲のクオリティの問題ではなくてぼくの耳と感受性の側の問題です。

焼肉屋に行って、20代なら「カルビ!ホルモン!カルビ!ハラミ!カルビ」となるけど、40代ともなると「カルビ(1切れ)。キムチ。ヒレ。おしんこ…」となるの(であろうなというの)と同じで…ぼくの感性と耳が歳をとって、胃もたれしやすくなったんです。

ぼく、日常的にそこそこ色んな音楽を聴いてるつもりなんですが…今回ほど、自分の耳と感性の老化を目の当たりにした事はありませんでした。軽く…いや、相当にショック。


この方の音楽を初めて聴いた時から、ちょっとだけしっくり来ない感じがあって(上記の“感性の老化”とは別の話です)…今回ガッツリ聴いて分かった事、それは。。。

発声だとかピッチの安定させ方とか、ボーカリストとしてのテクニックは凄いと思ったんです。で、本作からは物凄い怒気を感じた訳なんですが…多分このAdoさんという方がプライベートで常日頃から腹を立ててばっかいる訳ではなくて、きっとこの“テクニック”を駆使して、社会に中指突き立てるキャラクターを演じているんじゃないかと思う。音楽は“日記”じゃなくて“作品”だから、それで良いと思うんですが…“曲ごとに、その曲の主人公を演じる”のではなく、“どの曲でもAdoを演じている”感じが強かったんです。それは、キムタクが“何を演じてもキムタク”と言われているのに近いというか…安定感とか“裏切らない安心感”みたいなメリットはある一方で、人によってはマンネリを感じてしまう。それと一緒で、ぼくは正直、どの曲を聴いても「Adoさんがまた怒ってんな」という認識にしかならなかった。“『うっせぇわ』の主人公が怒ってる”とか、“『阿修羅ちゃん』の主人公が怒ってる”ならマンネリは感じなかったと思うんだけど、“『うっせぇわ』という曲でAdoさんが怒ってる”“『阿修羅ちゃん』という曲でAdoさんが怒っている”みたいに思えてしまって…。


…何でぼくがこんなにクドクド語っているかって? 多分、自分の“感性の老化”を受け入れられてないんだと思います(笑)。そんなぼくの勝手な混乱のせいでアレコレ言ってしまって…Adoさん本当にごめんなさい。


ロッキン行ってたら観に行くかどうか?…行きそうな気がする(笑)。退屈でありきたりな日常の中で聴いたら胃もたれしちゃうけど、照りつける真夏の炎天下でフェスという非日常の空気に包まれていたら、こんなに盛り上がれる音楽はない。






お気に入りは、

#05 『花火』

#06 『会いたくて』

#08 『ギラギラ』

#14 『夜のピエロ』






この作品が好きなら、

・『From DROPOUT』/秋山黄色

・『YANKEE』/米津玄師

・『第六感』/Reol

などもいかがでしょうか。






容量減ったら削除かも…レベル(ノ_<)

















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