>オリジナルフルアルバム>タイトル:朝顔>アーティスト:レミオロメン>リリース日:2003年 11月 19日>記事作成日:2019年 3月 9日




久しぶりに聴きました!
流れる季節の真ん中、今日は3月9日。やはりね、この日はレミオロメンを聴かないわけにはいかないでしょう。近年の、藤巻さんの一皮向けたようなアグレッシブなソロ活動も、ディーンフジオカさんなどの後ろで無邪気な笑顔でドラムスを叩く治さんも、時々ふらっと山を下りてきては必要最低限の事をやってすぐ帰る厭世の芸術家みたいなタームで活動してる前田さんも…それぞれの活動も良いんですけどね。やっぱりどうしても「レミオロメンを観たい・聴きたい」って思ってしまう…これは贅沢?
しかし、メジャーデビューアルバムである本作がリリースされたのはもう15年以上も前なんですね…時の流れは早いもの。カラオケで“『日めくりカレンダー』点数バトル”をした友人とも、いつの間にか連絡を取らなくなってしまったな。レミオもいなくて友人とも疎遠に…さよならだけが人生か(苦笑)。
『3月9日』が収録されたアルバム『ether[エーテル]』の感想はもうだいぶ昔に書いてしまっているようなので、今回はこちらの『朝顔』の感想をば。


『まめ電球』演奏陣のアグレッシブなプレイとマニアックな感性がひしひしと伝わってくるアレンジがインパクト大のこの曲からスタート。まずは、3ピースバンドとは思えないそのラウドなサウンドに驚きます。何よりも、凄くグルーヴィなのにどこか野暮ったさ(褒め言葉)の残る前田さんのベースは凄いですよね。サビで一気に加速度を増す構成にも、新人離れしたものを感じる。
『雨上がり』この時期のレミオの作風を凝縮させたような曲。引き続き素人離れした安定の演奏テクニックを見せつつ、歌(ボーカル)にはまるで思春期のようなヒネた匂いを漂わせ。そのギャップはそのまま、この時期のレミオの印象と言えた気がします。
『日めくりカレンダー』大好きな曲。若さというか、この時代のレミオと等身大の雰囲気の歌詞がいい。凄く上手に韻を踏んだりしてるんだけども、その「上手に韻を踏んでやったぜ!」っていうのがありありと伝わってくる感じとかに、“等身大の感じ”と“親近感”を抱きます。冒頭2曲はその演奏テクニックとアレンジセンスに注目が行きましたが、藤巻さんのソングライティングのセンスも相当なものです。書こうと思って書けるレベルでない。
『ビールとプリン』これもまた好きな曲。“演奏スキル”“アレンジセンス”“歌詞”と、次々にその才能を知らしめられながらここまで来て、ダメ押し的に「メロディセンスも良いのかよっ!」っていうね。冒頭数曲はあくまでも完成度の高いトラックがあって“それに馴染むメロディが乗ってる”という印象だったけど、この曲なんかはメロディライン自体に圧倒的な存在感があって。もちろんバンドのアンサンブルで聴くのが良いけど、きっと伴奏がアコギ一本だろうがアカペラだろうが、それでも変わらない“強さ”と“芯”のあるメロディラインだと思うのです。
『朝顔』タイトルチューン。キャッチーなメロディラインと言葉遊びなどのユーモア。ぼくは、藤巻さんの曲作りには“内面から出てきたものをそのままカタチにする”パターンと“何かしらの描いたテーマに向けて作り込んでいく”パターンがあるように思っていて(ホントのところなんて勿論知る由もないですよ!)。多分新人でタイアップ話なんてのもそうそうない時代だったと思うのでこのアルバムは前者の成り立ちの曲が多い気がするんですが、この曲に関しては何かしらのイメージに向けて作り込んで行ったような感じがしました(全部想像です)。
『昭和』何とも渋い曲、その名も『昭和』。それこそ昭和歌謡のように、もしくはいっそ演歌のように、重厚で哀愁に溢れた世界観が特徴的な曲。紛れもなく個性だと思うし、バンドのアイデンティティってこういう曲から出来上がっていくんだと思う…けど、ぼくみたいな単なる一般人が「なになに、新人バンドの1st.ね」とかって軽い気持ちで聴いちゃったら「…どうした!?」って思っちゃう(笑)。「軽音部に新人が入るって聞いて行ってみたら、三味線背負ってやってきた」って感じ…。
『すきま風』テンション高い曲。いや、テンション高いって言っても、世のパーリピーポーが喜ぶような感じのものではないけどね。ぼくみたいに、クラスの中心グループには入れなかったような奴のテンションを鼓舞してくれる感じ(笑)。
『フェスタ』(このころのレミオにしては)華のある曲。BPMやリズム的な意味では紛れもない“アッパーチューン”なんだけれども、そこはかとなく漂う“湿度”にレミオらしさを感じるのです。日本の夏の空気みたいな?それがほんとに、たまらなく好きですわ。そういう意味では『ether[エーテル]』には春の柔らかさがあるし、『HORIZON』にはアメリカの日光ギラギラ空気カラカラの夏みたいなイメージを、ぼくは持っています(笑)。
『電話』ぼくがレミオを一番最初に知った曲。何気なく見ていたテレビ番組の合間、この曲のシングルリリースを宣伝するCMが流れてきて。その時は余りにも気にしてなさすぎて、バンド名も曲名もロクに把握出来ず「なんとなく良い感じの曲だったなぁ」としか認識出来なかった事を昨日の事のように覚えています。勿論小林武史P案件である事も知らず、後から知って勝手に「やっぱり小林Pと目の付け所が一緒!」って悦に入ったりしてました(笑)。恥ずかしい。
『タクシードライバー』この曲は、未だに歌詞が上手く飲み込めない。こういう事は他のアーティストの歌詞でも割とよくあるんだけど…例えば2つの点を置かれて「この間を自由に線で結びましょう」だったら楽しく出来るほうなんだけど、1つの点だけで「好きな方向に好きなだけ線を伸ばしましょう」って言われると“自由”っていうよりも「線って何本?」「好きなだけって、一般的にどのくらい?」って悩んで止まっちゃうような感覚。例えば烏龍舎の先輩Mr.Childrenの歌詞は、ぼくにとってはいつも“2点”を示してくれる存在で。レミオも割とそうなんだけど、この曲は“1点”の感じがするんです。あ、サウンドとメロディ的には、すっげー好きです!
『追いかけっこ』ラストチューン。この曲のみ、うっすらとではあるけどキーボードが入ってますね。小林Pの。曲そのものが持つ飄々とした雰囲気、それをどう捉えるかなんだと思いますが…ぼくは、キーボードが入ってややキャッチーな音になるのは賛成ですね。バンドのアンサンブルだけだとちょっと無機的過ぎるというか、実は内包しているはずのエモーショナルな部分が充分に引き出されなかったんじゃないかなぁと思います。


そんな、計11曲。
プロデューサーとして小林Pもクレジットされていますが、インディーのミニアルバム『フェスタ』の曲が多くを占めていたりする流れから見ても、このアルバムはご本人さん方のセルフプロデュース色が強い感じがしますね。続く『ether[エーテル]』からは一気に小林P色が強まりますが。
それもあってか、結構“マニアック”というか、“素朴さ”“垢抜けなさ”みたいなものが色濃く出ているアルバムだと感じます。大衆ウケするというよりも、ロック玄人みたいな層が喜びそうな作風。それも今なら嫌いじゃないんだけど、正直リリース当時にはその良さに気付けない部分もありました。『ether』以降が“チーズハンバーグ”だとしたら、このアルバムは“鮎の塩焼き”的な音がして(笑)。そういう意味では、今回こうして改めて聴いてみたときに、初めて鮎の塩焼きのうまさに気付いた部分が大きかった。そりゃあ、元から鮎の塩焼きが好きだった層には、急にチーズハンバーグが出てきたら「小林P、何してくれてんの?」ってなりますよね(笑)。だから小林Pを語る上でオーバープロデュース論争っていうのは避けては通れないところだと思うし、どちらの言い分も分からなくはないけど…ぼく個人としては、「チーズハンバーグも鮎の塩焼きもどっちも好きでいられる自分で良かった」という気持ちになるのです。
…ってゆーか、プロデューサーがどーのこーの言う人ってかなり居るけど、そのプロデューサーを指名してるのって(色んなオトナの事情はあるにせよ)アーティスト側ですからね。「この料理の塩味が気に入らない」といくら言ったところで、その塩を選んで振りかけてるのはその料理人なんだから、責めたいならば塩ではなく料理人に…というのと一緒です。
、、、レミオ、またやってくんないかなぁ。




お気に入りは、#01 『まめ電球』#03 『日めくりカレンダー』#04 『ビールとプリン』#05 『朝顔』#07 『すきま風』#09 『電話』




この作品が好きなら、・『君繋ファイブエム』/ASIAN KUNG-FU GENERATION・『ゼロへの調和』/アンダーグラフ・『フジファブリック』/フジファブリックなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/

















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