アダムとイヴの林檎>トリビュートアルバム>タイトル:アダムとイヴの林檎>アーティスト:Various Artists>リリース日:2018年 5月 23日>記事作成日:2018年 6月 14日




聴きました!
椎名林檎さんのデビュー20周年を記念した、トリビュート作品。錚々たるメンバーが集う、豪華な一枚。


まずは、ドリームチームであるtheウラシマ'sによる『正しい街』。メンバー見ただけで、失禁しそう(笑) ボーカルはスピッツの草野マサムネさん、ドラムスはミスチルのJen、ギターはアジカンの喜多さんでベースは雨のパレードの是永さん。そしてプロデュースは我らが亀田誠治師匠!どの人も、ライブに行った事があるくらい大好きなミュージシャンばっかり!マサムネさんとJenさんが並んでいるレコーディング風景、見てみたいわぁ…。前置きが長くなったけど、本題である曲の感想。まぁ、ハマらないわけがないのだけれども。マサムネさんの感傷的な歌声に、Jenさんのエモーショナルなサウンド。もちろん「そういう耳で聴いてる」からなんだろうけど、このドラムスはもう完全にJen印!って感じで、そこにマサムネさんの歌声が乗っかってるだけでもう感涙モノのコラボなワケです。そして更にはオリジナルにないサウンドの喜多さんギターと、いぶし銀な是永さんベースと。こういうドリームチームって、得てして「有名どころが集まればうまくいくとは限らないんだなぁ」なんて思ったりするものだけれども、このコラボは名実ともに最強だ。
続いてもコラボ、「宇多田ヒカル with 小袋成彬」名義で『丸ノ内サディスティック』。ウラシマ'sが原形を踏襲していたのに対して、こちらはもう完全にオリジナルへと突き進んでいますね。林檎さんのオリジナルやら東京事変でやってた変形バージョンやら、これまでに色んなタイプの『丸ノ内サディスティック』を聴いてきたけど、これは最も変化球。ピアノを主軸としたブラックミュージック的サウンドで、R&Bそのものって感じ。この小袋さんというお方、「宇多田プロデュースでデビュー」という事と「アーティストコメントがナルシシズムに溢れてる」っていう印象しかないのですが…。ぶっちゃけた言い方をすると、「林檎さんへのリスペクト」なのか「宇多田さんのバーター」なのかが分からなくて、ちょっとだけモヤっとします。前者であってほしいけれども…。
レキシさんによる『幸福論』。大好きな曲が、大好きなアーティストによって生まれ変わる。これ程幸せな音楽体験が、他にあろうか。オリジナルの持つポップネスとはまた別の種類のポップスが、ぼくの鼓膜を震わせて。ボーカルはもちろんのこと、アレンジャーとしてのセンスにベタ惚れのぼくには、この選曲もこのアレンジもこのプレイも、全部がツボなのです。
海の外から、MIKAさんによる『シドと白昼夢』。なんだ、この穏やかで柔らかで爽やかな世界観は。どの曲にも大なり小なり毒が盛られてるのが椎名林檎作品だと思ってたけど、毒を抜き切っても意外と林檎曲は林檎曲だった。それがよく分かる、ボッサのカバー。ちなみに、どこの「みかちゃん」なのかと思ってたら、ロンドン育ちの「ミスター ミーカ」でした。初めまして。
藤原さくらさんによる『茜さす帰路照らされど…』。元々アダルティでタバコの匂いが似合いそうな声色の藤原さんですが、今回はいつもに増してクールでカッコいい。トラックもだいぶ作り込まれていて、まるでKIRINJIなんかを聴いてるみたいな気持ちになります。
そして、アツくてシブくて蒸せ返るようなオトナの色香を感じさせてくれるのは『都合のいい身体』を歌う田島貴男さん。普段の田島さん作品から受けるイメージよりは、若干軽快で洒脱な感じが強めの印象。「軽快」というか、「ファンク感が普段以上」というか。しかし…選曲が絶妙すぎ。
意外な人選、木村カエラさんの『ここでキスして。』。オリジナルには、メロウな雰囲気の中にどこかザラついたような、もしくは小さなトゲのような異物感がある気がするのですが、こちらのテイクはもう不純物を徹底的に排除してクリアに濾過したような透明感のあるポップチューンになってます。「木村カエラらしい」と言って差し支えないであろう仕上がり。
エレクトロサウンドで雰囲気が一新している、三浦大知さんの『すべりだい』。もちろんオリジナルも聴いたことはあるけれども、「オリジナルのほうってどんなんだっけ?」って思っちゃうくらいに、三浦大知ver.に圧倒される。でも、こんなに違うのに、そこはかとなく香る気だるさとかキャッチーさとかには共通のものを感じて、「なんかすげぇな」って思う。
RHYMESTERによる『本能』。林檎さんのオリジナル音源をサンプリングしながら、ライムスによるオリジナルのリリックでラップする曲。もし「カバー曲」と言われたら「??」だけれども、「トリビュート」と言われれば文句なしです。そこには、明確な好意とリスペクトが感じられるから。ダーティでアシッドなサウンドは「正にライムス」であり、一方で「正に椎名林檎」でもあるんですよね。絶妙な仕上がり。
本作中でもっともブラックミュージックテイストが強い、AIさんによる『罪と罰』。林檎さんの歌声には「ロックンロール」の他に「ソウル」も感じられて。本作中では、その「ソウル」のほうに真っ向から挑んでいくボーカリストがあまり見受けられなかったけど、AIさんがもう、それはそれはがっぷり四つという感じで挑んでました。終始緊迫感のある仕上がりではあるんだけど、最後のサビで不意に陽性の空気に転換していくのが面白かった。元々、コード進行的にはサビでメジャー感のある展開ではありますが。鳥肌が立つ程にクールで、だけどエモーショナルで、凄く良かった。
陽水さんのオリジナルにしか聴こえません!井上陽水による『カーネーション』。そのねっとりとした歌声は、林檎作品が持つ妖しい艶かしさを表現するのに最適なんですね。その相性の良さに、ちょっとびっくりしました。しかし陽水さん、誰のどんな曲を歌っても井上陽水過ぎますって!(笑)
意外と好きだったのが、私立恵比寿中学さんによる『自由へ道連れ』。まぁ、元々凄く大好きな曲だったので、アレンジ面でオリジナルを踏襲しているため違和感なく聴けたってだけなのかもしれないけど。でも、演奏陣はとてもパワフルで奔放で、その感触にも好感が持てたのは事実。ボーカルの方々も、アイドルアイドルした歌い方ではなくて割とクールにそしてソウルフルに歌い上げている感じがあって、なんか良かった。
LiSAさんによる『NIPPON』。「m-floではないんだよね?」「アニソン界隈の方だよなぁ」くらいの認識しかなく、その歌声も今回初めて拝聴したのですが…なんでこんなに不自然な程にビブラートを効かせるのか。アニソン界隈の方って、やたらとビブラート効かせる方が多い気がするんだけど…なんか、そういう教育プログラムでもあんの?馴染めませんでした…。
ラストは、松たか子さんによるミュージカル曲のような『ありきたりな女』。近年の松たか子さんは、「女優さんがCDも出しました」ではなく「ミュージシャンメインでやってます」でもなく、「舞台女優としてミュージカル曲を歌ってます」っていうスタンスの音楽活動が主ですよね。今回も、正にそういうアプローチで製作された(のであろう)曲。しかし、歌うまいですよねぇ…。


そんな、計14曲。
改めて…なんと豪華な作品だろうか。まずは、その参加メンバー。これはもう、説明不要かと。そして、各楽曲のバリエーション。ファンクあり、ロックあり、ソウルあり、ポップスあり、ヒップホップあり、エトセトラエトセトラ…。その幅の広さに、林檎さん楽曲の持つポテンシャルを思い知る。更には、サウンド。どの曲も、とにかく良い音でした。贔屓目を差し引いても、素晴らしいサウンド。
欲を言えば、もうちょっと若い世代の解釈とプレイを味わってみたかった気もしないでもない。贅沢かな。




お気に入りは、#01 『正しい街』/theウラシマ's#03 『幸福論』/レキシ#09 『本能』/RHYMESTER#10 『罪と罰』/AI#12 『自由へ道連れ』/私立恵比寿中学




この作品が好きなら、・『一期一会 Sweets for my SPITZ』/V.A.・『宇多田ヒカルのうた-13組の音楽家による13の解釈について-』/V.A.・『唄ひ手冥利〜其ノ壱〜』/椎名林檎などもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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