>トリビュートアルバム
>タイトル:宇多田ヒカルのうた-13組の音楽家による13の解釈について-
>アーティスト:Various Artists
>リリース日:2014年 12月 9日
>記事作成日:2015年 2月 12日





聴きました!

よくもまぁこれだけのメンツが揃ったものです。しかも、単に“ビッグネーム揃い”という事ではなくて、ジャンルやカテゴリが幅広い!
それもこれも、宇多田さんの楽曲のレンジの広さが、共感する人の種類と幅をぐっと広げたからかと思います。
宇多田さん、長らく“R&Bアーティスト”などと呼ばれていましたが、到底その一言で括れる守備範囲ではないですよね!



『SAKURAドロップス』
早速驚きの人選、井上陽水さんからスタート。ラテンのアレンジが情熱的。けれど、陽水さんの歌声自体は余裕と遊び心に溢れていると思います。
「この原曲に対してこんな解釈が出来るのか…」と思いましたが、その驚きはこの後に続く曲たちにも随所で感じることになります…。

『Letters』
続いては椎名林檎さん。ジャジーでアダルトなアレンジ。ハイトーンから入る女性的なボーカルと、凄みのあるバンドアンサンブルの対比と重なりが良い!

『Automatic』
岡村靖幸さんによる『Automatic』。この曲にしてこのアーティスト…なんてベストな組み合わせなんでしょうか!岡村さんの持つアダルトなセクシーさが、留まるところを知らずに炸裂。
欲を言えば、サビ前のトラックの盛り上がり(というかテンション)をサビ中も維持して欲しかった感はあるかな。

『Movin' on without you』
浜崎あゆみさん。
初めに言っておきます。ぼく別に、浜崎さんの事は特別嫌いじゃありません。むしろ、初期のアルバムは愛聴してました。
、、、が、本作は、どーなんだろうなぁ。他の皆さんって、“原曲×(自分の個性+その個性が生きるアレンジ)”という式の上で楽曲が制作されていたように感じるのですが、この曲だけは…“自分の個性×(EDMというトレンド+原曲)”で成り立ってるように聴こえちゃいました。原曲を解釈し直すのではなく、トレンドと自我を詰め込んだだけのような…。

『Flavor Of Life』
ハナレグミさん登場。まじか。
切ねぇ…ギターとピアノを基調としたシンプルなトラック、しかもそれらは最小限の音数に絞られていて。永積さんの呟くような歌声が、胸を締め付けに締め付けてくる。もはや、苦しい。でも繰り返し聴きたくなる中毒性。

『FINAL DISTANCE』
AIさんによるこちらの曲。原曲が持っている重厚で厳かな雰囲気を、もっと突き詰めた感じ。前曲のハナレグミさんとはまた違う種類のシンプルさがあるトラック。ブラックミュージックのテイストが強い。

『Be My Last』
ぼく的に意外な人選、吉井和哉さんによるこの曲。曲のテンションと吉井さんのイメージが、絶妙に重なります。特に、ソロ初期(ロビンソンを名乗っていた頃)のような、鬱々とした感じがこれまた中毒性を誘発します。

『光』
こちらも意外、LOVE PSYCHEDELICOさん。言い方が正しいかどうかは分かりませんが…非常に、「ラブサイケデリコらしい曲」です。オリジナルなんじゃないかってくらい。

『For You』
加藤ミリヤさん。ぼく、以前から「ミリヤさんの歌声って宇多田さんに似てんなー」と思ってたんですが、今回もまた改めて思いました。声の質なんかももちろんそうなんですが、歌い方…声の出し方やブレスの入れ方やビブラートの利かせ方etc、そういう部分に共通のものを感じるんです。ミリヤさん、宇多田ファンなのかな。

『Stay Gold』
大橋トリオさん…この方もまた、完っっっ全に曲を自分のものにしてますね。原曲の持つ喪失感というか、哀愁というか、物悲しさのようなものをとことんフィーチャーして突き詰めた感じ。
音もなく深々と積もり続ける雪の夜のような、静かで清らかな雰囲気(北国の人くらいにしか分からないだろうけど 笑)。

『time will tell』
tofubeatsさんとBONNIE PINKさんのコラボ曲。今をときめくtofubeatsさんによる、tofubeatsさんらしいトラックメイキング。ビートの効いたメロウなサウンドは、確かにBONNIE PINKさんの歌声を引き立てるのに良い選択かも。

『Keep Tryin'』
新体制のKIRINJIさん。この曲に関しては、正直、曲どうこうよりも「キリンジはこんな風になったんだぁ。ふむふむ」というほうに頭を持っていかれましたが(笑) コトリンゴさんのボーカルが、コトリンゴとして聴くのとではこんなにも違う事にびっくり。

『Sanchuary』
Jimmy Jam & Terry Lewis feat.Peabo Bryson、、、って誰⁉︎と思ったら、海外の方でした。洋楽を1ミリも聴かないぼくには、未知との遭遇。淡々としたトラックなんだけど、すごくエモーショナルでした。英詞もなんのその、伝わってくるものがありましたよ。



そんな、計13曲。

それぞれが、それぞれに、自分の持てるスキルをフル動員して解釈した痕跡が見られて、なんだかリスナーとしても嬉しい気持ちになる一枚でした。
しかしみなさん、自分のフィールドに持ち込むのが上手い上手い。さすがプロフェッショナル。原曲という素材を、自分が最も得意な方法で調理されている感じがありました。

うーん、良いモン聴いたぜ。





お気に入りは、
#01 『SAKURAドロップス』/井上陽水
#03 『Automatic』/岡村靖幸
#05 『Flavor Of Life』/ハナレグミ
#10 『Stay Gold』/大橋トリオ





この作品が好きなら、
・『一期一会 Sweets for my SPITZ』/V.A.
・『Queen's Fellows:Yuming 30th Anniversary Cover Album』/V.A.
・『大貫妙子トリビュート・アルバム -Tribute to Taeko Onuki-』/V.A.
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/










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