THE DARK SIDE OF THE MOON/PINK FLOYD | Beatles大好きっ!猫大好きっ!

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THE DARK SIDE OF THE MOON/PINK FLOYD
All lyrics written by Roger Waters.
Side one
1. Speak to Me/Nick Mason 1:13
2. Breathe/Roger Waters・David Gilmour・Richard Wright・David・Gilmour 2:43
3. On the Run/ Waters・Gilmou 3:36
4. Time/Waters・Gilmour・Wright・Mason 6:53
5. The Great Gig in the Sky/Wright・Waters
Side two
1. Money/Waters Gilmour 6:23
2. Us and Them/Waters・Wright・Gilmour 7:49
3. Any Colour You Like/ Gilmour・Mason・Wright 3:26
4. Brain Damage/Waters 3:49
5. Eclipse/Waters 2:03
プログレ時代で一番活性したのは間違いなく1973年でしょう。
やはりこの73年は特殊というのか、活躍していたプログレ・バンドが数多く
傑作アルバムを放出した年でもあるからです。
その中で間違いなくトップに名前が上がってくるのがPINK FLOYDの
『THE DARK SIDE OF THE MOON』でしょう。
オリジナル・タイトルよりは邦題の『狂気』の方が通りがいいですし、
作品のインパクト、コンセプトを印象付けるのに最適だと思います。
私がここでいろいろ書きたてても足りないくらい桁違いの凄さを持った
アルバムには間違いないんですけど、私は未だにこのアルバムの凄さを
具体的に説明できない感じなんですよね・・・・
私が初めてFLOYDを聴いたのはアルバム『Wish You Were Here』でした。
何も知らないでこの『Wish You Were Here』を聴いたときは本当に
FLOYDの世界に惹きこまれてしまった感じがして不思議な時間を
漂っていた感じがしました。確かに今からすると試行錯誤したところが
伺えますし、前作の『THE DARK SIDE OF THE MOON』とは全く違う
作品だという事がわかります。でも『Wish You Were Here』が悪い作品ではなく、
『THE DARK SIDE OF THE MOON』が持っているスキのない完璧さと
尋常ではない緊張感が桁違いに凄すぎたんです。
それ以前の『A Saucerful of Secrets』『Atom Heart Mother』『Meddle』
といった名作も、聴いているとサイケ感が出ていたり息を抜くような曲が

織り込まれていて、どこかそういうとろがプログレなんだと思い込まされていましたが、
この『THE DARK SIDE OF THE MOON』では「?」が出るような余裕もなく
常に「!」が連続で出て来るのみでした・・・・
やはりRoger Water、David Gilmour、Richard Wright、Nick Masonの4人の
想像性がFLOYDの歴史上一番集中できた瞬間がこの作品だったと思います。
さてこのアルバムのオープニングをきるのはNick Masonが音の組合せ編集して
作った「Speak to Me」です。何か緊張させられる語りに幾重にも複雑な音が
重なって、突然叫びと共に演奏が始まり目の前が開けてきます。
「Breathe」のスタートです・・・邦題は「生命の息吹き」・・・この邦題通りの
生きるものの小さな鼓動とぬくもりを感じるような曲です。
Roger Waterの歌がゆったりと漂っているだけに、その歌声に包まれて良いのか
不安になるくらい心地よいのです。
ここでの音の広がりはDavid GilmourとRichard Wrightが作り出していると
言っても過言ではないくらい、この曲の核を表現していると思います。
何処か幻想的な雰囲気を感じさせるのは特にRichard Wrightのキーボードです。
彼の音の表現はFLOYDには不可欠なものであって、これなくしてはFLOYDは
FLOYDではなくなるんですが・・・のちにRoger WatersはRichard Wrightを
排除してしまいますが、その時点でFLOYDはただ重々しいバンドになりました。
3曲目の「On the Run」はその名の通り緊張感を煽るような演奏と効果音が
入り乱れて聴く側を閉鎖的に覆ってしまうような雰囲気させます。
人が走る・・・逃げる足音が聴いているうちに自分自身に変わってしまい、
この音の中で逃げ回っている感じにさせられるんです・・・・
そんな状態がすっとなくなった瞬間、突然幾つもの時計のベルが鳴り響いて来て
心は一気に弾けてしまいます。この部分は何度聴いても慣れることはありません。
本当に緊張しすぎて怖いくらいです・・・各メンバーの効果的な演奏が凄すぎて
自分を見失いそうになるくらいですけど、その中でもNick Masonのドラムの音の
響きがずっと付きまとってくるんです・・・Roger Watersの歌が入ってくると
ほっとするどころか、更に部屋の隅に追いやられて行き場がないような感覚に
させられてしまうのですから背筋が冷たくなってしまいそうです…
この「Time」は間違いなくこのアルバムの代表曲ですが、FLOYDの楽曲の中でも
トップに立つ傑作だと思います。
そしてこの「Time」の流れを受けて始まるのが「The Great Gig in the Sky」です。
インストではあるんですけど、どこか鎮魂歌のような演奏を聴くと奇妙な落ち着きに
巡り合えます・・・ただClare Torryのスキャットが入ってくると途端に目の前が
不思議な流れになってそのまま流されてしまうんです・・・このClare Torryの
スキャットはこの曲と言うよりは、このアルバムの中でも聴きどころの一つで
ライブでも非常に印象強い場面となります。
「The Great Gig in the Sky」で流されてしまった自分がまた奇妙な現実世界に
引き戻されるのが「Money」によってなんです。
コインとレジの音が一つのリズムを作り出し、そのリズムにベースが加わる事によって
俗世間の病みを引き抜かれたような気分にさせられます。
曲としてはテンポの良い感じでメロディーも印象的で、最終的にはシングルとなり
Billboardで13位まで上昇するヒットとなっています。
これはプログレ・バンドとしては異例の大ヒットだと言えるでしょうね。
イントロの効果音でのリズムも凄いのですが、
やはり最大の聴きどころはDick Parryによりサックスの演奏だと思います。
もうこのサックスの演奏はClare Torryのスキャットに匹敵する狂気さを
演出していると思います。どちらも聴いてて演奏の凄さを感じる前に怖さを感じます。
「Time」といい、「Money」といい、現代人の病んでいる頭の中を洗い出している様で
怖い感じすらします。それぞれのタイトルからしたらベタで誰でもが思い浮かべる様な
雰囲気なんですけど、それを押しつぶす圧倒的な迫力とコンセプト、演奏が
飲み込んでしまうんです。
この「Money」からそのまま繋がっていく「Us and Them」もこのアルバムでは
印象的な曲で、ある意味この『THE DARK SIDE OF THE MOON』では
唯一落ち着いた感じで聴ける曲だともいえます。
ここでもDick Parryのジャジーなサックスが堪能出来て本当に感動してしまいます。
落ち着いたところと、うねりの大きなところが交互に現れ、結局はまた緊張感の中に
ひきこまれてしまっている自分がいるんですけど、ここまで来るとすでに感覚が
麻痺して心地よさが何故か優先しているんです。でも最初からこのアルバムの中には
心地よさなんてなかったはずなんですけどね・・・・・
そんな麻痺した感覚の後に訪れるのが「Any Colour You Like」です。
インストナンバーでDavid Gilmourのギターを堪能できる曲なんですが、
やはり「Us and Them」の流れの曲でもあり、この曲単独で何かを表現していると
言うよりは組曲の中の1曲としての役割が大きい曲だと思います。
凄いのは曲と曲を繋ぐ単なるブリッジの曲ではなく、必然性のあるインストというのが
やはりこのアルバムを名作と称えている要因の一つのような感じがします。
この「Any Colour You Like」から流れて「Brain Damage」と移るわけですが、
「Brain Damage」の歌を聴いていると歌というよりは語り掛けられているというか、
暗示をかけられているような気がしてなりません。
精神の闇・・・精神の病みを引っ張り出されて、何かわけのわからないことを
刷り込まれている感じすらします・・・あの笑い声が第三者の笑い声のような
気さえしてしまい完全にこの『狂気』の中に押し込まれてしまったようです。
そしてこのアルバム最後の「Eclipse」ではRoger Watersが歌というより、
言葉を集めて一言ごとに吐き出している感じなんです。
その言葉が出て来るごとに現実社会に戻されていく感じですけど、
インパクトが強すぎてすぐには現実を取り戻せないほど、このアルバムは深すぎる
影を作っているんです。光が強ければ強いほどその影は闇(病み)。
The Dark Side of the Moon・・・
最後にこのアルバムは73年にBillboardで1位に輝きRIAA公認プラチナディスクを
獲得しています。(USだけで1,500万枚の売り上げ)
更に未だにBillboardのチャートにランクインする記録を作っている驚異のアルバムです。
この傑作はメンバー以外のAlan Parsons、Chris Thomas、Hipgnosisの力があって
成しえたものだということを付け加えておきます。
画像は国内4chのもので、国内盤の初回出荷分はジャケットの印刷ミスがあり
店頭に出る前に回収されました。その時のジャケットは全面コーティングの
綺麗なジャケットになっていて、私は一度だけ手に取って見たことがあります。

※この記事はアメブロに来た時にすぐアップしたんですけど、

全くの反応なしだったので再度アップしました。(^^;
https://www.youtube.com/watch?v=nYAYn7pyues