〈社説〉
“青年の熱と力”応援する社会を
きょうは「国際青少年デー」。若者が社会のあらゆる分野に参画し、意見を反映させられる未来を目指し、1999年に国連で制定されたものだ。
制定に先立って、世界の若者が置かれた状況を改善すべく採択された「世界行動計画」には「青少年は大きな社会的変革を引き起こす当人であり、受益者であり、また犠牲者である。また総じて、既存の秩序に組み込まれようとしながら、一方ではその秩序を変革する原動力となる」とある。
日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は、社会の風潮として「若者は未熟であり、権利の主体ではなく、支援・保護対象だと見なすまなざしがある」と指摘する(2023年10月5日付朝日新聞デジタル)。若者の未熟さは時にリスクにもなろう。しかし、それ以上に若者が変革と刷新の原動力となってきたことは明白だ。
青年の数だけ希望があり、未来がある――その熱と力に、誰よりも期待を寄せてきたのが、池田大作先生である。2006年に発表した提言「世界が期待する国連たれ」の中では「世界の青年のために活動を特化した専門機関、もしくは国連事務局における『青年担当局』の設置を」と提案。そして昨年、国連は青年に関する事柄に特化した「ユース・オフィス」を設置した。青年に光を当てた、世界的問題の解決に向けての取り組みは、さらに加速していくであろう。
グテーレス国連事務総長は一昨年の青少年デーに「若者の声に耳を傾けるだけでは不十分です。地方、国、国際レベルの意思決定メカニズムに、若者たちを組み入れる必要がある」と述べた。昨今は日本でも青少年が政策提言したり、議員や首長に意見を伝えたりする「子ども議会」「若者議会」を導入する自治体が増えてきた。
人口比率では“少数派”である日本の青少年たちにとって、自身の意見が政策に反映される経験は貴重であり、社会のさまざまな課題について考え、解決していく主体者となる動機ともなろう。
変化の大きい時代の中、国内外で困難な問題が山積している。しかし、悲観することはない。今、必要なのは、青年たちに挑戦と変革の機会を与えるとともに、その清新な熱と力を応援することを社会全体の“当たり前”にしていくことだ。それこそが、次の時代を開くための鍵となるに違いない。