3/2(金) ボゴタ~パナマの空路移動と空輸したバイクの空港引き取り
ボゴタ空港を午前9:00発のフライトでパナマへ移動した。 2日前にバイクの輸送業者事務所で会った韓国人ライダーも同じフライトだ。
韓国人ライダーは前日バイクでパナマから出国する旨を航空会社へ説明して片道の航空券のみだけでも買えた言う。当方は往復航空券でないと販売しないと言われたが、航空会社の担当者しだいで条件が変わるようだ。
格安航空会社しか利用しないパナマのマイナーなパシフィコ空港(Aeropuerto Pacifico)へ到着したが、この空港にはタクシーしか乗り入れていない。 他方バイクはトクメン国際空港(Tucumen)へ同日に定刻より2時間ほど遅れて13:00に到着した。
(パナマシティーの高層ビル群と太平洋)
(パナマシティーには3千棟の高層ビルがあると言うが、皆細いビルだ)
16:00にバイクが保税倉庫へ搬入され、輸送業者から手渡されたAirwaybill等の書類を持って自分で税関事務所(Aduanas)へ出向き保税倉庫からの搬出許可をもらわなければならない。 この税関事務所では3つの窓口(Aforo, Oupse, Mide)でAirwaybillに許可印をもらわねばならない。
許可印をもらった後に、バイクを保税倉庫から乗り出して税関事務所の他の窓口(Directo6)で一時輸入許可書を作成してもらい18:00に手続きが終了した。 一時輸入許可書は陸路で入国する場合と同じ手続きだ。
(パナマ・トクメン空港の保税倉庫に到着したバイク)
その後、韓国人ライダーと一緒にパナマ市内のBMWのディーラーを訪問するが、既に閉店後であったため翌日再度訪問することにした。 当方はエンジンオイルの交換、チェーンのテンション調整等をしてもらう必要がある。韓国人ライダーはパンクした後輪をだましだまし300km走行したが、バンクの損傷が激しくタイヤの交換が必要だった。
韓国人ライダー・朴氏とバイクを無事にパナマへ運べたことを祝しながら夕食を取る。朴氏は翌日タイヤ交換後コスタリカへ行くと言う。
投宿はHotel Discovery(一泊27米ドル)
(韓国人ライダーの朴氏はBMWの1200ccの大型ツアラーでツーリング中だった)
3/3(土) パナマ2泊目 バイクの修理
BMWのディーラーへバイクを持ち込んだ。前輪ハンドル軸のベアリングが消耗劣化していることが判明した。そういえば以前から、ハンドルの操作性に違和感を感じていた。
安全性に関わることなので、エンジンオイルの交換等のメインテナンスと共に、直ぐにベアリングの交換修理を行ってもらった。 料金は334米ドル(約3.8万円)
ディーラーは土曜日の正午までの営業時間だというが、作業が終了したのは14時を回っていた。
(前輪を取り外して修理中のバイク)
BMWディーラーでは同店の顧客であったパナマ人ライダー数名と知り合い、中米諸国の国境通過の手続きやルートを教えてもらう。翌日にはライダー仲間の定期ツーリングがあるというので、当方も参加させてもらうことにした。
前日投宿した宿は設備が古く部屋も薄暗かったで、他の宿に変わった。移った先のホテルの設備は前泊ホテルよりましな程度だったが、宿の責任者はホスピタリティーを全く感じさせない中年女性だった。
南米北部の国々(ペルー、エクアドル、コロンビア)の物価水準にすっかり慣れたため、パナマの物価が高く感じられる。 南米北部の国々では30米ドル(約3,300円)出せば、2~3つ星クラスのホテルに泊まれたが、パナマでは設備が老朽化した安ホテルクラスの値段だ。
投宿はHotel Cibeles (一泊33米ドル=約3,600円)
3/4(日)パナマ郊外エル・バジェ(El Valle)まで日帰りツーリング 280kmとパナマ運河見学
前日BMWのディーラーで知り合ったライダーのバイククラブの日曜ツーリングに参加した。 ブレーク・ファースターズ(Breakfastersと言う朝食ツーリングの会)という名のBMWバイクのライダー中心のバイククラブだった。(https://breakfastermotorrad.com)
早朝7時に集合して、パナマ・シティーから約120km離れたエル・バジェ(El Valle)と言うスペイン語の谷という意味の標高700~800mの高地に向けて10台強のバイクでの集団ツーリングだった。 パナマ市内から80km程度高速道路を通った後、ワインディング(曲がりくねった)道路を経て山の中のコーヒーショップで朝食をとる。
海外のライダーはスピードを出す。制限速度が時速80kmの高速道路でも時速120km程度で前行く車をどんどん追い抜いて行く。舗装面はかなり凹凸があり、カーブが多い。時速100km以上ではバイクが上下にバウンドするような道路だ。
当方は集団走行はスピードが出過ぎるので好きではない。 追い越しが多いので危ないと思っているが、集団に遅れないようにくっ付いて行くしかない。
前日のハンドル軸のベアリング交換修理が適正ではなかったようだ。時速120km超になると前輪が踊っているようにぐらつく。 当方の後ろを走行していたライダーも当方のバイクの異常に気が付いたぐらいだ。
山の中の走行も高速だった。単独ツーリングなら景色を楽しみながらゆっくりと走行できるのだが、集団について行くのが精一杯のため景色を楽しむ余裕なない。
その後、集団はパナマ市内に帰る組と、更に進む組に分かれ、当方は宿を再度変更するためパナマ市内へ引き返した。 やはり日曜の午後は家族と一緒に過ごしたい人が多い。
(パナマのブレークファースターズ・バイククラブのライダー達)
前泊の宿はホスピタリティーが無いと感じていたが、朝食を見てその通りだと思った。
朝食はアメリカン・ブレークファーストとうたっているのだが、コーヒー、食パンとマーガリンしかない。 ジャムさえも無いのだ。 通常アメリカン・ブレークファーストというとたまご焼きやハム・ジューズもつくのだが。
2ヶ月前から働いている食堂係のスタッフも申し訳なさそうに、「自分でもこれでは不十分だと思うがホテルの方針でこれしかない」というのだ。 洗面所の水も糸を引く程度しか水が出ない。あの責任者の態度ではさもありなんと思い、再度宿を替えることにした。
夕刻前にパナマ市内から10km程度離れたパナマ 運河の太平洋口へ出るミラフローレス(Miraflores)水門を見学した。
パナマ運河は大西洋と太平洋に挟まれた幅約80kmパナマ地峡をつないでいる。 内陸部の湖の水位と太平洋及び大西洋の水位とは約26mの高低差がある。 運河には太平洋口、 内陸の湖口と大西洋口の3つの水門があり、水門がエレベーターの役割をして高低差がある水路でも船の運航を可能としている。
ミラフローレスの水門には展望台、運河博物館が備わっている観光施設だ。入場料は15米ドル(約1,650円)。展望台からは眼下の水門で水位調整をして運河を通行船舶が見学できる。 船舶は約40分~50分かけて水門を通過する。
(内陸湖から水門に近づく船舶)
(水門に入った船舶。 水門の水位は高い)
(水門の水位が太平洋の水位まで下がる)
(太平洋に向けて水門から出る船舶)
3/5(火)前輪タイヤの交換とパナマ証券取引所の見学
一昨日お世話になったBMWのディーラーへ朝一番でバイクを持ち込みバイク前輪のブレを見てもらった。 ハンドル軸のベアリングが劣化した状態で長時間運転したため前輪タイヤが均等にすり減っていないと言う。ハンドル軸のベアリング交換後は、均等にすり減っていないタイヤが振動を生じさせているとのことだ。
問題を解決するには前輪タイヤの交換が必要とのアドバイスに従い、紹介されたタイヤ店(Motocycles Tech社 )でオンロード・オフロードの兼用のタイヤ(Mitas製)に交換。(パナマのBMWディーラーではタイヤ交換を行わない) 料金は工賃込みで220米ドル(約2.4万円)
(タイヤ店Motorcycle Techのスタッフ)
その後中央アメリカの道路マップを買うべく市内の書店を5軒回ったが、どの店でも地図は置いていなかった。スマホアプリの電子地図が普及しているため、紙の地図は姿を消してしまったようだ。
パナマは直近15年間で一人当たりのGDPが3倍に続伸して現在1.4万米ドル(約150万円)とチリと肩を並べるくらいまでなっている。 一人当たりの国民所得がここまで大きくなると、30米ドル前後の料金では良質なホテルに泊まれないこともうなずける。
パナマ証券取引所を訪問した。アポイントなしだが、ここでも20分ぐらいの面談に応じてくれた。
約180社が証券取引所に上場されている。 市場の時価総額は170億ドル(約1.9兆円)と大きくない。国内の機関投資家が主たる投資家で個人投資家や外国人投資家は多くないようだ。この国で競争力がある産業は銀行等の金融サービス業と言う。
(パナマ証券取引所の建物)
(庶民は惣菜店で買って自宅へ持ち帰る)
3/6(火) パナマ・シティー~ダビ (David)425km
中米の具体的な走行ルートは決めていない。パナマからメキシコのユカタン半島(南東部)に向けコスタリカ~ニカラグア~ホンジュラス~グアテマラ~ベリーズを通る予定だが、通過する国境が判らない。現地で情報を集めて通過する国境を決めるつもりだ。
(パナマ~コスタリカ~ニカラグアまでの地図。ピンク色の線が走行ルート)
コスタリカとの国境手前50kmに位置するダビに向けてパナマ・シティーのホテルを8時に出発。
パンアメリカンハイウェイをひたすら北西に向けて走る。この時期のパナマは乾季なので蒸し暑くない。 路面の温度は35度~36度と高いが、バイクで走って走行風を浴びていれば汗はかかない。
パンアメリカン・ハイウェイは片側2車線の高速道路になっているが、カーブとアップアンドダウンが多いので最高速度は80kmに制限されている。
警察がスピード違反をスピードガンを使用して取り締まりしているためか、パナマのドライバーは制限速度を比較的良く守る。高速道路沿線の大部分は林になっている。稀にサトウキビのプランテーションがある程度で、農地は無い。
(パナマシティーからダビ途中 道路脇はサトウキビのプランテーション)
200km以上無休憩で走ると眠くなる。道路脇にバイクを止め、座って頭を垂れて休憩していると車が立ち止まり、車からパナマ人が2名出てきて「大丈夫か?」と声をかけてくれた。
バイクが故障したか、当方の調子をおもんばかって声をかけてくれた。有難いことだ。
声をかけてきた男も1200ccエンジンの大型バイクを持っているという。バイク・ライダー同士の連帯感が嬉しい。
宿泊したホスタル(民宿)では、当方が昼食を食べていないと言うと、管理をしているコロンビア人女性があまりものだが煮豆料理とごはんに、卵焼きを添えて料理を無料で提供してくれた。このようなサービスは受けたことが無かったので、感激した。
ダビ(David)はパナマでは3番目に大きな都市だというが、南米ペルーやエクアドル等の地方都市と同じで、洗練されたと都会とは言い難い。近代的な首都のパナマシティーと比較すると第三世界のコチャゴチャした田舎町という感じだ。
投宿はPension Hostal El Viajero(一泊25.3米ドル=約2,800円)
(ダビの市内)
3/7(水) ダビ(パナマ)~コスタリカ入国~カルタゴ (コスタリカ)428km
国境越えのため7時少しすぎには宿を出発。国境はダビの町から55km先にある。
先週末に知り合ったパナマのライダーに国境の手続きを手伝ってくれる人(有料)を紹介してもらったが、国境の手続きは難しくないとダビの宿の主人から聞いていたので連絡を取らなかった。
パナマからの出国手続きとコスタリカへの入国手続きは南米諸国の国境越え手続きとほぼ同一で自分自身で十分できる。待っている人も少なく出国手続きに約20分、コスタリカの入国手続きに50分(内30分は一時輸入許可証の作成手続き)かかった。
(コスタリカの国境Paso Canoasの出入国管理事務所と税関)
国境の手続きをまとめると以下の様になる。
A.パナマ出国手続き
1.税関(Aduanas)にてバイク一時輸入許可証(Permiso de Importacion Temporal)にスタンプを押してもらう。
2.イミグレーションにてバイク一時輸入許可証を提示してパスポートに出国印を押してもらう。
3.再度税関(Aduanas)の窓口で一時輸入許可証を手渡して、パスポートにバイクの一時輸入が終了した旨の印を押してもらう。(南米諸国ではこの手続きは無かった)
4.バイクの荷物検査
B.コスタリカ入国手続き
1.イミグレーションにてパスポートに入国スタンプを押してもらう。
2.税関(Aduanas)にてバイク一時輸入許可証の申請書類を記入。
3.隣の窓口の強制自働車保険(SOAT)の購入。最低加入期間3ヶ月で33米ドル(現金支払い)
4.パスポートの本人顔写真と入国印および強制自動車保険のコピーをとり、税関にて 一時輸入許可証を作成してもらう。
5.税関係官によるバイクの確認
コスタリカ入国後の道路は片側一車線の対面通行だ。 舗装面は良いがあまりスピードが出せない。 熱帯地方らしいブーゲンビリアの赤い花が道路沿いの民家の庭を飾っている。
コスタリカは中米のスイスとたとえられるほど小ぎれいにしてある。もちろんスイスには及ばない。パナマ時間より一時間遅れている。
(コスタリカの道路沿いのパームヤシのプランテーション)
ガーミンのカーナビは中米の地図データが最新ではないため道順がめちゃめちゃだ。
たよりにしていたスマホのアプリ、Maps.Meはダート道の最短距離しか示さない。
道路地図の持ち合わせもないので、所々でバイクを止めて、道行く人に道路を尋ねながら進んだ。 太平洋沿いの沿岸部道路では気温が34度まで上昇してライダージャケット内は汗だくだ。
(コスタリカの岩場の太平洋岸)
(コスタリカの砂場の太平洋岸は漁船が陸に揚げられていた)
目的地は首都サンホセの隣町のカルタゴだ。標高千m強のカルタゴ高原地帯にあるため、夏の軽井沢の気候にたとえられる。夕方カルタゴへ到着するが、霧がかかり気温は17度まで下がっていた。メッシュ袖のライダーズジャケットでは寒かった。
投宿はHotel Las Brumas(49米ドル=約5,400円)
3/8(木) カルタゴ~首都サンホセ(コスタリカ) 証券取引所訪問
カルタゴのホテルから20km離れたコスタリカの首都サンホセのホスタルへ宿を替えた。
前夜宿泊したカルタゴは小さな町だった。 カルタゴには奇跡を起こすと言われる手のひらサイズの黒いマリア像が祀られ中米から巡礼者が訪れるというロス・アンヘレス教会(Basilica de Los Angeles)ぐらいしか興味があるものは無かった。
(カルタゴのロス・アンヘレス教会)
(教会内の黒いマリア像発見の絵。 マリア像は左側の石の上に祀られている)
首都のサンホセにある証券取引所を訪問した。コスタリカはパナマ同様、中米では先進国だ。人口500万人程度の小国だが一人当たりの国民所得(GDP)は1.2万米ドル弱(約130万円)と南米の先進国チリ、ウルグアイ、アルゼンチンと肩を並べる。 過去20年間に所得を3倍にしている。経済成長率(GDP)はリーマンショック(2008年)以降はほぼ4%台と好調だ。 インフレもほぼ5%以下に抑えられている。
証券取引所は首都サンホセから15km程度離れた郊外のオフィース団地の中にあった。2000年にサンホセの中心部から引っ越してきたというが、不便な場所だ。
(コスタリカ証券取引所建物)
(証券取引所内部)
面談には調査部長のマルティーネス氏が対応してくれた。コスタリカの証券取引所でも国債を中心とする債券取引がほとんどだと言う。上場株式は6銘柄しかなく、そのうち常時取引が成立するのはビール会社のみと言う。
コスタリカには家族経営の会社が多く、株式公開や株式投資の文化が無いため上場株式数が少ないという。 他方、教育には力を入れているため中米では優等生となっているとマルティーネスは言う。 小国ながらライフサイエンス、ITテクノロジー等においては世界の競争力ランキングの上位を占めている。 政治が安定しているため外国からの投資が多いのだろう。
首都のサンホセ中心部を散策してみたが、歴史的建物をほとんど見かけない。 40万人規模の都市のため、日本の地方都市のような感じで道に迷うことは無いが、観光には物足りなさを感じる。
投宿はHostal Finca Escalante(一泊35米ドル=約3,850円)
(サンホセ市内中央の広場。大統領支持の集会中だった)
(サンホセの国立劇場の建物)
(サンホセ市内のコンビニ)