発売を発表された当初は、正直、その性能に疑問と不安を抱く、否定的な声も、チラホラ聞かれたZPI様のアルカンセ。
そんな逆風の声をものともせず、チューニングメーカー業界No,1として、同社が培ってきた実力を信じて、ご購入なさった方は、その実力を使うたびに御実感しておられると思われる、かなりの優秀っぷり。
使い勝手もさることながら、ギア比の設定にもバリエーションがあり、オーナー様が使いたいシチュエーションに合わせ、機種を選択できる点も良いですね。
更に至近距離用のRG-Cもラインナップに加わり、その充実っぷりに拍車がかかりました。
私ごときが、宣伝しても、ZPI様からは何もいただけないので、前フリはこれくらいにして、本題に入りますが・・・。
すでにノーマルアルカンセを入手し、使い込んで、御自身でメンテナンスしておられる方はお気付きかと思いますが、実は、何故か、このノーマルアルカンセには、ZPI様お得意のオープンシールドタイプのSIC-BBが入っておりません。
入っていないとなると、入れてみたくなるのが、釣り人の性ってヤツ・・・。
この優秀なアルカンセに同社が誇るオープンシールドタイプのSIC-BBをぶち込んだら、もっとスゲぇーことになっちゃうんじゃないか
他人を出し抜いて、更にキャストがビシバシ決まって、他人に釣れない魚も自分にだけ釣れちゃうんじゃないか
そう考える気持ち、わからなくもない。
・・・・・ってことで、ご自分でやるのが怖いってことで、お客様K様のご依頼を受け、K様の愛機にオープンシールドタイプのSIC-BBを入れるという簡単なオペを私が引き受けることになりました。
元々優秀なアルカンセをイジる意味があるのか、否かは意見の分かれるところですが、何事もやってみなければ、その先に見えてくるものも見えません。
やってみて、ダメだったら、元の状態に戻せばいいだけのことです。
「大丈夫。私、失敗しないので。」
交換するベアリングはZPI様のSIC-BB1154x1034。
ちなみに1154はスプールシャフトに装着するベアリングで、コレを交換するには、ペンチでも引っこ抜けないことはないのですが、慣れてない方はやらない方が無難で、より安全に確実に抜くには、ベアリングリムーバーという特殊な工具が必要です。
本体マグネットブレーキ側のサイドプレートに装着されているのが1034のベアリング。
コレは、ベアリングシールドの金属をピンセットで上手く取り外すだけでOK。
手順としては簡単なのですが、このパーツを外す時にミスって飛ばしやすいので、ちょっとだけ注意が必要。
ここまでやってみて、すごく解ったのは、どちらのベアリングも、異常なくらい、やたらとキッチリはまっているということ。
多少の個体差はあると思いますが、特に1034のベアリングを本体から外すのが、過去にいろいろやった他社製品では、なかなか無いくらいハウジングがキッチリはまっていて、結構大変・・・。
ここまで、遊びがないということは、キャスト時にスプールの中心軸がブレて、撓むことが無く、ラインのリリースがスムーズになるので、結果的にバックラッシュを減らし、飛距離を稼ぐことに一役買っているのかなと。
本体とスプールエッジのズレも非常に少なく、この辺りは、当時、その高額っぷりに、まぁまぁビビらさせられた、930PROやZ-PRIDEで培ったノウハウが、この低価格にも関わらず、随所に見られると感じます。
ついでにメカニカルブレーキの中のベアリングも替えて、巻き感もスムーズにしてやろうと試みましたが、ここで新たな事実が発覚。
スプール周辺のベアリングのサイズが1154x1034だったため、どーせABUのREVO方式で、ここのベアリングも1034だろうと高を括っていたのが、大間違い。
ナント1034じゃあ~ハマりません
直接キャスティングに大きく関わるところでもないので、元のベアリングに戻してあげました。
コレについてちょっと脱線させて頂きたいのですが、実は以前、私のブログに訪問して下さった方が、履歴を残されていかれたので、その方のブログを拝見させて頂いたことがございました。
ちょうど、アルカンセが発売された直後で、その方は御購入なさったのか、否かは定かではないのですが、アルカンセについて、御自身のブログにこんなことを書いておられたのが気になりました。
その内容とは、アルカンセの中身なんて、自分が掴んでいる情報では、実は、ABUのREVOシリーズだから、高い銭出して買うののんてアホくさい、絶対買ってはいけないみたいな否定的なブログを書いておられたんです。
一応業界人の端くれの私としては、一般の方がよくそんな情報を入手できたもんだな、私も知らないそんな情報を入手できるなんて、この人、よっぽどZPIと、ピュアフィッシングに太いコネがあるんかなと思ったのですが、やっぱりREVOじゃないみたいですね。
業界の裏情報的なネタを書くと、一時的にアクセス数が伸びて、ご本人的には多くの人に認められた気になって、いい気分なのかもしれませんけど、それの裏をキチンと取ってないのならば、SNSにあんまり不確かなこと書かない方がいいと思いますけどね・・・。
・・・ちょっと脱線しましたが、さて、新たにSIC-BBというベアリングを装着したK様のアルカンセ。
果たして、RX-78-02コードネーム‟GANDAM”のマグネットコーティングされたニュータイプ専用機のような、大幅な性能アップとなるのでしょうか
テストに使ったロッドは、これまたK様の愛竿、DESIGNOレーベントルクチューンDLT-C611/HRST1S。
ラインはフロロ14lb。
テストキャストに使ったウェイトは3/8OZ。
もともとオールラウンダー色の強かった、ZPI様のNRCスプールのフィーリングが色濃く出ているアルカンセにこのロッドですから、非常に妥当なセッティングと言えます。
ラインをガイドに通し、ウェイトを乗せ、メカニカルブレーキをセッティングし、クラッチを切ると、スプールの立ち上がりが良くなったのが解りました。
マグネットブレーキをメモリの半分くらいに閉めて、注目の第1投
全く問題なし。
K様にサミングの有無を確認したところ、最後だけ少ししたとのこと。
・・・まぁ~このレベルは想定内。
私の知りたのは、そういう事じゃなくて、Z-PRIDEのように、何にもサミングせずともバックラッシュ無しのノントラブルで、魚を釣るのに困らないくらいの飛距離が出せるかどうかってことです。
数回のキャストの後、かなりブレーキを閉めても十分イケそうなので、いっその事、マグネットブレーキをMAXにしてみました。
通常のマグネットブレーキを搭載した多くの既存のリールだと、ブレーキをMAXだとあんまり飛びませんので・・・。
・・・・・で、ブレーキMAX状態でのK様の第1投、もちろん、ノンサミングで。
「ハイ。バックラッシュしてなぁ~い」
ちなみに私がやっても、結果は同じ。
私がやっても「ハイ。バックラッシュしてなぁ~い」
更にキャスト後、ロッドを地面に置いて放置しても・・・
「ハイ。バックラッシュしてなぁ~い」
たぶん、誰がやっても結果は同じ。
ウチの変態メンバーO様が、余裕でウ○コ喰えるくらいカワイイと言った「ハイ。縛られてなぁ~い」のCMでお馴染みの吉岡里帆ちゃんに「ハイバックラッシュしてなぁ~い」ってやって欲しいのは私だけ~
バックラッシュのリスクがほとんどないから、サイドハンドだろうが、バックハンドだろうが、ろくでもない変な投げ方しようが、わざとミスキャスト風に地面に叩きつけようが、結果は同じ。
キャスト後、ノンサミングで
「ハイ。バックラッシュしてなぁ~い」
しかも、十分な飛距離は確保されております。
思った以上の結果にK様大満足で御座いましたとさ・・・。
ところで、今年のヘッドクォーター誕生祭にて、見事アルカンセを引き当てたH様・・・。
最近、ぜんぜん御登場なさらないので、他のメンバー様方から、H様の勝ち逃げ疑惑浮上中
お家のこととか、お仕事のこととか、まぁ~色々お忙しいんだろうけどね・・・。
プレゼントさせて頂いたアルカンセ、やってみてはいかがですか SIC-BBチューン
アルカンセを持っている方も、ご購入をご検討なさっておられる方も、個人的には、SIC-BBチューン、十分アリだと思いますよ~