エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて -49ページ目

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『大河の一滴』


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【出演】
安田成美、渡部篤郎、セルゲイ・ナカリャコフ、南野陽子、山本圭、馬渕晴子、犬塚弘、樋浦勉、橋本さとし、田山涼成、並木史朗、倍賞美津子、三國連太郎


【監督】
神山征二郎


【脚本】
新藤兼人




“人はみな大河の一滴……”




2月のロシア、小椋雪子たちツアーの一行はガイドのニコライに案内され赤の広場を歩いている。
ニコライの優しい笑顔が、雪子の心に印象を残す。


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10月、東京の輸入雑貨店で働く雪子にある知らせが入る。
ニコライは実はミュージシャンで、トランペットのオーディションを受けるため日本に来ているという。

そのトランペットの音色に惹かれた雪子は、ロシアに恋人がいると知りながらニコライに深く思い入れ、心から応援するようになる。

しかし、ニコライは落選、音楽家としての成功を目指し日本にとどまることに。


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そんな雪子のもとに思いがけない知らせが入る。

金沢で特定郵便局を営む父・伸一郎が倒れたというのだ。

帰省した雪子が見たのは、母の麻梨江の制止も聞かず、病院を立ち去る父の姿だった。


雪子は幼なじみの郵便局員・昌治の力を借り伸一郎を病院に連れて行く。
検査の結果、伸一郎は肝臓ガンで、長くて半年あるいは3、4ヶ月の命と宣告を受ける……が、伸一郎は手術を拒否し、日常生活に戻っていく。

雪子は東京での仕事をあきらめ、金沢に残ることにした。


カナザワ・フィルでトランペットのオーディションがあると知った雪子はニコライを金沢に呼び寄せ、ニコライは、昌治の家に居候することになる。

雪子へ秘かに想いを寄せる昌治は、振りまわされながらも彼女を見守り続ける。

一方、伸一郎は病に反して日に日に明るくなっていき、死を目前にした父親の元気さと頑固さに戸惑いながら、雪子ははじめて父親の心情に触れることになる。


そんなある日、伸一郎は雪子、ニコライと連れだって温泉旅行に行く。
そこで伸一郎は満州で終戦を迎えた少年時代の話を始める。

13歳の伸一郎が見た狂気に満ちた光景、しかしそれを通り越した人間のふしぎ、伸一郎の話に2人は心ゆさぶられる。


やがて年が明け、伸一郎は目に見えて衰弱し始める。

ニコライがカナザワ・フィルのオーディションを受けているちょうどそのとき、伸一郎は自宅で最期のときを迎える。

合格の知らせを持ってやってきたニコライは伸一郎の死を知るが……悲しむまもなく、入国ビザの切れていた彼はは入国管理員によって連行されてしまうのだった。

雪子は突然の出来事に、為す術もなくニコライに別れを告げる。


伸一郎の葬儀を終えた雪子は昌治に、ニコライを愛していると打ち明ける。
雪子をずっと想い続けている昌治は深く傷つく。
そんな昌治に、雪子は「ロシアに一緒に行って欲しい」

悩みながらも昌治はそれを受け入れ、ロシアに向かうが、そこで目にするニコライの現実の生活は……。




ロシアと金沢を舞台に、余命幾ばくもない父親とその娘の親子の絆を軸に、ヒロインをめぐる愛の物語が展開されていく人間ドラマ。



簡単に言っちゃうと、自分のことしか考えていないあまりにも図々しい自分勝手な女が繰り広げる支離滅裂なお話。


親友の自殺と、舌をチョロッと出して口は半開き、目をカッと見開いたままもの凄い形相で亡くなった父の姿を目の当たりにしてから、そのショックで頭のネジが緩んでしまったらしい(?)主人公の雪子の取る行動には、ただただ呆れ返れるしかない。


父が亡くなって数時間後、秘かに恋心を抱いていたニコライが入国管理官に連行されてしまう。

ちなみに、入国ビザが切れていた理由は……
「あ、うっかり忘れてました」
と、マヌケすぎて同情の余地なし?!

ところが、ここで雪子はぶちギレる!
管理官に向かって、
「ニコライはオーディションに受かったばかりなのよ!酷いわ、何とかならないの!あなたたちは血も涙もないんやね!」

と法律無視のメチャクチャな文句をあせるあせる


そしてニコライが日本を去ってから……雪子は完全に壊れて(?)昌治にとんでもないことを言う。

「ニコライを愛してるんや。でもあんたも愛してる」
「掛け持ちか?」
「そうや」

これだけでも厚かましいのに、雪子はさらにこうものたまう。

「ニコライの気持ちを確かめにモスクワに行く。あんたもついて来て!一緒にモスクワ行こう!」

厚かましいにもほどがある……が、なんと昌治は渋々ながらも承諾してしまう。

お願いする方もどうかしてるけど、ついていく方もどうかしてます……それも遠路遥々モスクワまでですよ!
(単なる超ワガママ女に振り回される、お人よしすぎるバカな男)


モスクワに着いてからも昌治は雪子にいいように使われた挙げ句……いざニコライに会いに行く際には「ここでお茶でもして待ってて」と、カフェに置き去りにされて何時間も放置状態。

結局、ニコライに本心を伝えられなかった雪子は、帰りの電車の中で昌治に寄り添いラブラブに……って、何なんだ、この展開( ̄□ ̄;)

二人がイチャイチャする様は、完全にバカップルです(笑)。



真面目な映画のはずなのに、途中からだんだん変になっていき……中盤以降はとにかくツッコミ&お笑いポイント満載!

ここまで大きく外してしまうとは、ある意味で確信犯としか思えない。


激動の時代に「人は一体どう生きていけばよいのか?」をテーマにした五木寛之のエッセイが基になっているのですが、映画化に関しては五木寛之が人物像やストーリー展開など、あくまで大まかな原案を書き、それを新藤兼人が脚本に。

新藤兼人の書く脚本は、かなりエキセントリックな女性が登場する場合が多いとはいえ、この作品の主人公像はやりすぎな感も。


「人は一体どう生きていけばよいのか?」

欲望の赴くままに、自由に自分勝手に生きていきなさい……というのが、この映画の結論のようです!?


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「このドーナツ、お米つかってるんだって」

「ニンゲンもなかなかやるね」



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「お米ーーー!!」



可愛すぎる~~超可愛いぞ、仲ヌーピー!


でも……叫んでる時の仲ヌーピーの声が、ビミョーにハスキーなのが気にかかる……あせるあせる




『象の背中』


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【出演】
役所広司、今井美樹、塩谷瞬、南沢奈央、井川遥、手塚理美、笹野高史、岸部一徳、高橋克実、伊武雅刀、益岡徹、白井晃


【監督】
井坂聡




“余命半年……「今」この幸せを、生きていく”




妻の美和子と二人の子供、大学生の俊介と高校生のはるかとの幸せな家族4人。


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会社での地位も得て、順風満帆に暮らす48歳の中堅不動産会社部長・藤山幸弘は、今まさに人生の円熟期を迎えていた。


しかし、ある日突然、肺ガンで余命半年と宣告されてしまう。

「あと何年くらい生きられるんでしょうか?」
「半年がひとつの目安かと」


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その時、彼が選択したのは……延命治療ではなく、今まで出会った大切な人達と直接会って、自分なりの別れを告げることだった。


俊介と、愛人の青木悦子にだけ「自分が癌である」と告白するが、23年間連れ添った美和子と娘のはるかには余命宣告の事実を告げないことを決める。


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「死ぬまでは生きていたいんだ」


進行中のプロジェクトを軌道に乗せるよう努力しつつ……怨みを買っていた昔の取引先の相手や、喧嘩別れした友人、初恋の人に会いに行き、自分が癌で死ぬことを伝え‘遺書’を残して(伝えて)ゆく。


「自分の人生をもう一度、確かめに行く」


これまでの人生を振り返って、自分が生きた時間とはこういうものだったと、しっかり見極めて死にたいと思ったのだ。


やがて病状は悪化していき、遂には妻も知るところとなり……「今」を生き抜こうとする夫を懸命に支えることを決意する。


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それは、二人にとっては夫婦としてあらためて向き合うことでもあった。

すべてを妻にさらけ出した夫。その夫のすべてを受け入れた妻。


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「死ぬことを考えてたら、どうやって生きるかを考えてた。俺は生きることを最期まで真っ当したい」


23年間を共に過ごしてきた夫婦にとって、この最後の180日間は、忘れ得ない、かけがえのない時間となるのだった……。


象は、自らの死期を察知した時、群れから離れ、死に場所を探す旅に出るという。
自分の死を見せたくないのだろうか?
それとも、この世への未練を断ち切るためだろうか?……俺には出来ない。
ひとり、孤独のまま、姿を消すことは出来そうにない。
愛する者たちに見送られたい。


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末期ガンに侵されながらも今を生きる幸せを噛みしめて生きる男の姿を描いた人間ドラマ。



苦悩の末、「死ぬまで生きる」決意をし、大切な人たちに見守られて逝く事を選ぶ主人公。

死の宣告は本人だけでなく、家族をはじめ周りの人々へも重く辛くのしかかる。

それぞれが幸弘の選択を受け入れてゆく過程は切なくも残酷。
それでも尊重されるべきは死にゆく者の意志であるなら、これもまた潔い最期かもしれない。


一人の男の死に様(=生き様)と、夫婦と親子の家族の絆が綴られているのですが……。



余命いくばくもない主人公が、今まで自分が係わった人たちを訪ねて回る……というところに惹かれて観たものの、実際に会うのはたった3人だけという肩透かし。(しかもそのうちのひとりとは偶然に会う)

初恋の人、学生時代の親友に会った時のエピソードはとてもよかっただけに、この‘訪ねて回る’くだりをより広げていけば、泣きに泣ける作品になったんじゃないかなぁと。(親友役の高橋克実との再会シーンは凄くよかった)


本当はもっと会う人がいたのだけれど(ノートに書きとめていた‘会いたい人リスト’の名前は、7~8人くらいあった)途中で病状が悪化したせいで、断念せざるを得なくなったという形になっている。


再会して回る部分はほんの一部で、その後は家族とのエピソードが軸になって進んでいくも、愛する妻と家族がありながら、若い愛人がいるという設定はどうなんだろ?

家族にも愛人にもいい顔をして、ある意味かなり都合のいい男だなって印象も。

ましてや「もう一度だけ顔が見たい」と愛人をホスピスに呼び寄せるあたりは、身勝手すぎ。
しかも献身的に看病する妻が一緒にいるにも関わらずだ。

どうせ死ぬんだからこのくらいの我が儘は大目に見てくれ……といったところか?

で、最期には「孤独では死にたくない。愛する人たちに見送られて死にたい」……って、やっぱ勝手な男としか映らなかった。

妻は「ですます」調の敬語を使い、古風で健気で夫に尽くしに尽くすタイプ。
そんな妻は「生まれ変わってもまた一緒になりたい」と死にゆく夫にラブレターを書く……どこまで従順な女なんだ!
どうせまた浮気されちゃうぞ……なんて思えたりして?


妻への愛、家族愛がテーマながら、愛人への愛も大切だという男の傲慢なエゴが見え隠れしてしまうため、感情移入には至らずでした。

愛する妻と愛人に看取られて逝くのは、男にとっては幸せなことだったのかもしれないけど?

余命いくばくもない人間は、多少の身勝手さは許容範囲って感じなのか。



役所広司は、大減量をしての熱演で死期が迫った雰囲気を見事に表現。(ただ死相メイクはちょっとやり過ぎ気味で‘ゾンビ’みたいになっちゃってますがあせる



それからクライマックスでの海辺のシーンで、いきなり娘がチアガールの格好をして「GO!GO!ダディ!」と踊り始めたのには……違和感を通り越して失笑するしかなかった。

父を元気づけようという気持ちは分かるけれど、せっかくの泣きどころシーンが台なし的感も。

でもその時の南沢奈央が超可愛いので、サービスカットとして捉えれば全然OKです(笑)。

ちなみにこの作品、南沢奈央の映画デビュー作でもあります。


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この映画の最大の見せ場(?)は、妻と見舞いに来た愛人とが病室で対峙するとこですかね。
静かな中にも、もの凄い緊迫感が流れて……いくら病人とはいえ、夫はよく平然とベッドに寝ていられるな~と感心してしまったあせるあせる