『大河の一滴』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『大河の一滴』


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【出演】
安田成美、渡部篤郎、セルゲイ・ナカリャコフ、南野陽子、山本圭、馬渕晴子、犬塚弘、樋浦勉、橋本さとし、田山涼成、並木史朗、倍賞美津子、三國連太郎


【監督】
神山征二郎


【脚本】
新藤兼人




“人はみな大河の一滴……”




2月のロシア、小椋雪子たちツアーの一行はガイドのニコライに案内され赤の広場を歩いている。
ニコライの優しい笑顔が、雪子の心に印象を残す。


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10月、東京の輸入雑貨店で働く雪子にある知らせが入る。
ニコライは実はミュージシャンで、トランペットのオーディションを受けるため日本に来ているという。

そのトランペットの音色に惹かれた雪子は、ロシアに恋人がいると知りながらニコライに深く思い入れ、心から応援するようになる。

しかし、ニコライは落選、音楽家としての成功を目指し日本にとどまることに。


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そんな雪子のもとに思いがけない知らせが入る。

金沢で特定郵便局を営む父・伸一郎が倒れたというのだ。

帰省した雪子が見たのは、母の麻梨江の制止も聞かず、病院を立ち去る父の姿だった。


雪子は幼なじみの郵便局員・昌治の力を借り伸一郎を病院に連れて行く。
検査の結果、伸一郎は肝臓ガンで、長くて半年あるいは3、4ヶ月の命と宣告を受ける……が、伸一郎は手術を拒否し、日常生活に戻っていく。

雪子は東京での仕事をあきらめ、金沢に残ることにした。


カナザワ・フィルでトランペットのオーディションがあると知った雪子はニコライを金沢に呼び寄せ、ニコライは、昌治の家に居候することになる。

雪子へ秘かに想いを寄せる昌治は、振りまわされながらも彼女を見守り続ける。

一方、伸一郎は病に反して日に日に明るくなっていき、死を目前にした父親の元気さと頑固さに戸惑いながら、雪子ははじめて父親の心情に触れることになる。


そんなある日、伸一郎は雪子、ニコライと連れだって温泉旅行に行く。
そこで伸一郎は満州で終戦を迎えた少年時代の話を始める。

13歳の伸一郎が見た狂気に満ちた光景、しかしそれを通り越した人間のふしぎ、伸一郎の話に2人は心ゆさぶられる。


やがて年が明け、伸一郎は目に見えて衰弱し始める。

ニコライがカナザワ・フィルのオーディションを受けているちょうどそのとき、伸一郎は自宅で最期のときを迎える。

合格の知らせを持ってやってきたニコライは伸一郎の死を知るが……悲しむまもなく、入国ビザの切れていた彼はは入国管理員によって連行されてしまうのだった。

雪子は突然の出来事に、為す術もなくニコライに別れを告げる。


伸一郎の葬儀を終えた雪子は昌治に、ニコライを愛していると打ち明ける。
雪子をずっと想い続けている昌治は深く傷つく。
そんな昌治に、雪子は「ロシアに一緒に行って欲しい」

悩みながらも昌治はそれを受け入れ、ロシアに向かうが、そこで目にするニコライの現実の生活は……。




ロシアと金沢を舞台に、余命幾ばくもない父親とその娘の親子の絆を軸に、ヒロインをめぐる愛の物語が展開されていく人間ドラマ。



簡単に言っちゃうと、自分のことしか考えていないあまりにも図々しい自分勝手な女が繰り広げる支離滅裂なお話。


親友の自殺と、舌をチョロッと出して口は半開き、目をカッと見開いたままもの凄い形相で亡くなった父の姿を目の当たりにしてから、そのショックで頭のネジが緩んでしまったらしい(?)主人公の雪子の取る行動には、ただただ呆れ返れるしかない。


父が亡くなって数時間後、秘かに恋心を抱いていたニコライが入国管理官に連行されてしまう。

ちなみに、入国ビザが切れていた理由は……
「あ、うっかり忘れてました」
と、マヌケすぎて同情の余地なし?!

ところが、ここで雪子はぶちギレる!
管理官に向かって、
「ニコライはオーディションに受かったばかりなのよ!酷いわ、何とかならないの!あなたたちは血も涙もないんやね!」

と法律無視のメチャクチャな文句をあせるあせる


そしてニコライが日本を去ってから……雪子は完全に壊れて(?)昌治にとんでもないことを言う。

「ニコライを愛してるんや。でもあんたも愛してる」
「掛け持ちか?」
「そうや」

これだけでも厚かましいのに、雪子はさらにこうものたまう。

「ニコライの気持ちを確かめにモスクワに行く。あんたもついて来て!一緒にモスクワ行こう!」

厚かましいにもほどがある……が、なんと昌治は渋々ながらも承諾してしまう。

お願いする方もどうかしてるけど、ついていく方もどうかしてます……それも遠路遥々モスクワまでですよ!
(単なる超ワガママ女に振り回される、お人よしすぎるバカな男)


モスクワに着いてからも昌治は雪子にいいように使われた挙げ句……いざニコライに会いに行く際には「ここでお茶でもして待ってて」と、カフェに置き去りにされて何時間も放置状態。

結局、ニコライに本心を伝えられなかった雪子は、帰りの電車の中で昌治に寄り添いラブラブに……って、何なんだ、この展開( ̄□ ̄;)

二人がイチャイチャする様は、完全にバカップルです(笑)。



真面目な映画のはずなのに、途中からだんだん変になっていき……中盤以降はとにかくツッコミ&お笑いポイント満載!

ここまで大きく外してしまうとは、ある意味で確信犯としか思えない。


激動の時代に「人は一体どう生きていけばよいのか?」をテーマにした五木寛之のエッセイが基になっているのですが、映画化に関しては五木寛之が人物像やストーリー展開など、あくまで大まかな原案を書き、それを新藤兼人が脚本に。

新藤兼人の書く脚本は、かなりエキセントリックな女性が登場する場合が多いとはいえ、この作品の主人公像はやりすぎな感も。


「人は一体どう生きていけばよいのか?」

欲望の赴くままに、自由に自分勝手に生きていきなさい……というのが、この映画の結論のようです!?