『爆裂都市 BURST CITY』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『爆裂都市 BURST CITY』

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【出演】
陣内孝則、大江慎也、伊勢田勇人、鶴川仁美、池畑潤二、泉谷しげる、戸井十月、町田町蔵、遠藤ミチロウ、スターリン、コント赤信号(渡辺正行、石井章雄、小宮孝泰)、上田馬之助、麿赤児、平口広美、篠原勝之、飯島大介、小水一男、南伸坊、諏訪太朗、室井滋、手塚眞、飯田譲治、中島陽典


【監督】
石井聰亙




“これは映画の暴動ではない。暴動の映画である”


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原子力発電所建設をめぐる暴力団の思惑、最貧民層の葛藤と廃頽、そして快楽と暴力に満ちた貧民たちの刹那的だがパワフルな日常。


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地元のライブハウス‘20000V’で人気のロックバンド、バトル・ロッカーズと新たに街に現れたマッド・スターリン。

そして彼らのファンの間で熾烈な抗争が繰り広げられる夜の街。


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そこに呻き喚くだけで言葉を発しない‘キ○○イ兄弟’がサイドカーに乗って現れる。


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兄弟は街に受け入れられ馴染んでいくが、やがて街は原子力発電所建設を巡って地上げや過酷な労働搾取を行う暴力団によって破壊され、不満が爆発した貧民たちによって暴動と化す。


「喰らえ!」「ぶっ殺せ!」「ポリ公をぶちのめせ!」


バトルポリスの介入によって街は壊滅。


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燃え盛る街の中、コマンド佐々木は不屈な雄たけびを上げ、暴れまくった兄弟はバイクで、また何処かへ疾走していくのだった!


「土曜の夜だぜ!騒ごうぜーー!」


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荒廃した近未来都市において、過激なパフォーマンスを繰り広げるロックバンド、それに熱狂する若者たち、取り締まろうとする警察、また原子力発電所を造るため、土地開発計画を立てる暴力団と強制労働を強いられる下層民たちとの抗争を描くアナーキー・バイオレンス・アクション。



‘めんたいロック’のロッカーズとルースターズのメンバーが合体した‘バトル・ロッカーズ’!

そして、暴走族&パンクス&ヤクザ&近未来SF&バイオレンスアクション&ROCK……それが‘爆裂都市’だ!

ストーリーなんかあってないようなもの。
ストーリーなんか糞くらえとばかりに、全編にわたってロックと暴動と罵声の轟音が延々と鳴り響くアナーキーな内容です。


荒廃した近未来都市(『マッドマックス』を彷彿とさせる)カスタムカー&バイクのゼロヨン・レースとロックに明け暮れる暴力の街。

やがて体制の圧力によって車もロックも取り上げられてしまう若者たちは、たまりにたまった鬱屈を晴らすべく街中で暴動をはじめていく!

もはやストーリー云々はどうでもよく、ただひたすらパワフルな映像と音楽が暴力的に羅列され、若者たちの怒りや叫びが見事に映像に叩きつけられている。

まさにこれは‘映画の暴動’なのだ。



ロッカーズの陣内、ルースターズの大江、池畑、スターリンのミチロウ、INUの町田町蔵、そして泉谷とロックミュージシャンが多数出演。


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これが映画初主演、まだ尖んがっていた頃の陣内は『時計じかけのオレンジ』風メイクで登場。

今ではかなり老けてしまった大江は、ビックリするくらい若くてちょっと可愛いルックス。

ミチロウは相変わらずキレまくり。

ただ唸り声を上げるだけの町田の存在感は強烈。

泉谷は30年前から……すでに髪の毛が後退していたあせるあせる(ちなみに、企画、美術監督も泉谷が担当)


脇役のメンツも異常な濃さ。
怪優・麿赤児、後にキモいAV男優としても活躍する平口広美、日本プロレス史上最大のヒール‘金髪狼’上田馬之助、コント赤信号(リーダーがサングラスを外したら目に銀ラメのお得意のギャグを披露)、作家でバイク冒険家の戸井十月、ピンク映画の大物・ガイラこと小水一男監督、まだ女子大生で‘自主映画の女王’時代の室井滋……等々。


それから山川直人、阪本順治、手塚眞、松岡錠司、太田達也、緒方明と現在では監督として活躍している人たちがスタッフとして参加しているのにも注目。(凄い名前ばかり)



1982年公開の作品なので、石井監督は当時なんとまだ25歳!

手持ちカメラを駆使し、ブレブレの映像と目まぐるしく変わるカットの中で繰り広げられる暴動シーンは何がどうなってんだかよく分からないけれど、その迫力とパワーには圧倒される。


また劇中ではルースターズの「レッツ・ロック」「ゲット・エヴリシング」「オールナイト・ロック」、スターリンの「飯喰わせろ」「冷蔵庫」「解剖室」「豚に真珠」「GASS」「ハエ」に加え、サンハウス、ロッカーズの曲が流れるあたりも嬉しい。



マッド・スターリンとして登場するスターリンの遠藤ミチロウが、オーディエンスに小便を掛けたり、豚の臓物や首を投げつけるシーンがあるが、その当時、実際にライブにおいてもミチロウは同様の事を行っており、それを映画でも再現してみせる。

また後日談としては、アナーキーの仲野茂が「スターリンなんか使いやがって!なぜ俺たちを起用しなかった!?」との不服を立てに映画の打ち上げに殴りこみをかける騒ぎを起こしたエピソードは有名。
ただ後に、泉谷しげるの仲裁により、仲野とミチロウは和解している。
(ケンカを煽りそうなキャラの泉谷が仲裁したというのが可笑しい)

そして、これから約四半世紀後……この二人はパンクムービー『少年メリケンサック』に仲良く(?)出演することになるのです。(絡みはなかったけどあせるあせる



『爆裂都市』は、ロックムービーの(カルトムービー?)大傑作だ!