
【出演】
小池栄子、豊川悦司、仲村トオル、篠田三郎、杉山彦々、菅原大吉
【監督】
万田邦敏
“この愛は、理解されなくてもいい”
出逢うはずのなかった3人が織り成す究極の愛の物語。
都内の会社に勤めるOLの遠藤京子は、家族とも疎遠であり、友達もいない。
幼い頃から周囲に馴染むのを拒み、孤独な人生を送ってきた。

そんなある日、テレビから流れてくる一家惨殺事件の犯人逮捕のニュースに映し出された坂口秋生の笑顔に直感的に自分と同じ孤独と絶望感を見いだし、急速に犯人である坂口に惹かれていく。
一瞬で恋に落ちてしまったのだ。
早速、新聞や雑誌を買い漁り情報を集めると……
「彼こそが自分の同士だ。こんな人が現れるのをずっと待っていた」
そう確信する。
一方、逮捕された坂口は全てに心を閉ざし、担当の国選弁護人の長谷川にすら何も語らず黙秘を続けたまま初公判を迎える。
裁判の傍聴席で初めて坂口を目の当たりにした京子は、改めて自分の直感を信じる。
「やはりこの人は私と同じだ」
京子は長谷川に声をかけ、拘留中の坂口に面会を申し出る。
長谷川は不審がったが、坂口に手紙や差し入れをしては献身する京子の一途さを心配する長谷川。
が、その心配は次第に京子に対する愛情へと変化していく。
そして、人を愛することの喜びを生まれて初めて知った京子は長谷川に坂口との接見を懇願し、遂に二人は面会を果たすことになるが……。

「私、あなたの声が聞きたいんです」
「…………」
しかし坂口は一言も声を発しなかった。
ところが面会を重ねるうちに京子と坂口の間には不思議な信頼関係が生まれてゆき……坂口の死刑が確定すると、長谷川の反対を押し切って二人は獄中結婚をするのだった。

やがて事態は思いもよらぬ方向へと進んでいく。

盲目的な愛は男女3人を巻き込み、破滅的な運命をたどっていき……。

人を愛すること、人に愛されることの中で繰り広げられる男女3人の壮絶な姿を描く究極の愛の物語。
孤独な人生を歩んできた京子は、殺人犯の坂口をテレビで一目見るなり「自分と同じ怒りを抱える人間だ」と思い込み、面会だけで一度も触れ合うことなく愛を育み、とうとう結婚までしてしまう。
その行く果てには……あまりにも衝撃的なラストが待っている!
残虐な一家惨殺事件の犯人、その犯人に異常なまでに同調する孤独な女性。
そして犯人の弁護士。
物語が進むにつれ、3人の関係や内面が変化していく様が見事に描写されています。
そしてタイトルでもあるラストの‘接吻’シーンには驚嘆させられずにはいられない。
あまりにも凄まじく鬼気迫る‘接吻’!
極端に台詞が少ないトヨエツの演技が素晴らしい。
京子と坂口の狭間で揺れる弁護士の仲村トオルも素晴らしい。
しかし、その二人を完全に凌駕してしまっているのが小池栄子だ。
とにかく眼力がハンパなく凄い!
報道陣に囲まれた際に見せる不敵な笑みと冷徹な眼差しなんか、思わず鳥肌が立つくらいゾクゾクッときた。
主人公の京子は妄信的すぎて、心も病んでいる……ちょっといっちゃってる女なのですが、その難しい役柄を小池栄子は完璧に演じています。
この人、映画ではかなり変な女の役ばっかりだけど、それが見事にハマりますね~~。