『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』


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【出演】
吉田輝雄、葵三津子、藤木孝、賀川雪絵、加藤嘉、上田吉二郎、由利徹、大泉滉、小池朝雄、土方巽、阿部定


【監督・脚本】
石井輝男




“魔性か?!獣欲か?!”




監察医務院の執刀医・村瀬は、女性の変死体を前にするたびに、なぜこのような犯罪が起るのか……と思った。


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「東洋閣事件」


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昭和三十五年、とある温泉街で起きた連続殺人事件。


「阿部定事件」


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愛するが故に吉蔵を絞殺した末に、男根を切り取り逃走した女・阿部定。


「小平義雄強姦殺人事件」

昭和二十年、敗戦の混乱を背景に七人の女を強姦殺害する小平。


「高橋お伝」

明治の代表的毒婦・お伝による異常な愛憎の絡んだ殺人事件。




実在の猟奇事件を題材にしたオムニバス映画。


解剖医の村瀬を狂言回しとして、女にまつわる凄まじい実話の事件が綴られていく。


昭和40年代に製作された、大胆なエロチック描写や残虐シーンが繰り広げられる東映の‘異常性愛シリーズ’の中でも、特にエログロ色が強い作品。

一応、R-18指定だけれど、性描写はいま観ると何てことはない感じ。
ただし、5分おきくらいに濡れ場シーンが挿入されている。



物語は監察医の村瀬が、自分の妻の自殺死体を解剖したショックから、女にまつわる過去の記録を紐解き、‘事件と女’の真実を突き止めようとするところから始まる。


最初に登場するエピソードは「東洋閣事件」。
色仕掛けで旅館を乗っ取り、経営者夫婦を殺した女の悪女ぶりが凄まじい。
壁に埋められた死体に本物の蛆が這う様子もグロいが、埋めた死体の傍らで大雨の中、情交にふける欲望剥き出しの姿も別の意味でグロい。


続く「阿部定事件」では、なんと阿部定本人が特別出演!

インタビュー形式で有名すぎる‘あの事件’について淡々と語ります。

「絞めてくれ、殺してくれって言うから、そうしてあげたんですよ。吉蔵さんのことは大好きでしたね……人生の中で、真に愛する人はひとりだけですよ、誰でもね」

阿部定が自ら語る顛末は、『愛のコリーダ』や『SADA』以上のインパクト?!

定の話をベースに事件を再現しただけあり、内面の描写がかなり生々しい。

しかし最大の見せ場のはずの‘局部切り’シーンは意外とアッサリめの演出。


「小平事件」はモノクロの映像で、殺人鬼の小平の毒牙にかかって無惨に殺害された若い女性の姿が描かれる。

小平役の小池朝雄が怪演。
女に目をつけた際に舌なめずりする様は、何とも薄気味悪い。
それから取調室で刑事に向かって得意げに事件の顛末を話す時の表情は完全にあっちの世界にイッちゃってます。


最後の「高橋お伝事件」は、事件の概要よりも刑場での首斬りシーンの方に焦点が絞られている。



エログロの中にも笑いをということなのか、阿部定事件の影響を受けて日本各地で流行した(らしい)「象徴切り事件」の短いエピソードも挟まれていて、由利徹が学ランを着ての登場。(相当無理がある学生役……当時いくつだったんだ?)


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厚化粧の化け物みたいな顔をしたおばあちゃんに執拗に迫られた挙げ句、ハサミであそこをちょん切られて悶絶!

このくだりは大爆笑もの。