
【出演】
豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、片岡礼子、井川遥、松田美由紀、崔洋一、石橋蓮司、池内万作、越智静香、根岸季衣、嶋田久作、山中崇、柄本佑、中原丈雄、朝倉あき
【監督】
瀧本智行
“幕は上がった。主役は、お前だ……”
ノンキャリアながら警視として神奈川県警本部管理官の地位にあった巻島史彦は、少年誘拐事件の捜査現場を仕切っていたが、一瞬の判断ミスから犯人を取り逃がしてしまう。

その翌日、少年は無残な遺体となって発見される!

責任を負わされて捜査会見を行う巻島だったが、上層部の指示により過失を一切認めなかったため、マスコミの激しい攻撃に晒された事から逆切れし足柄署に左遷。
そして6年後、日本中を震撼させる児童連続殺害事件が川崎で発生。
〈BADMAN〉と名乗りテレビに脅迫状を送りつけた犯人は、 3件目の犯行後……ぷっつりと表舞台から姿を消してしまう。
膠着した捜査に警察は、捜査責任者をテレビに出演させる大胆な‘劇場型捜査’を決断!
本部長の曽根要介に担ぎ出されたのは、彼のかつての部下で、6年前の事件が心の傷として残っている巻島だった。

生放送のニュース番組で、カメラの前に立つ巻島に注がれる視聴者の視線……犯人はこの中にいる!
カメラに向かって巻島はこう言い放つ。

「BADMAN、これはお前のための番組だ。主役が黙っていてどうする?」
独断で犯人を挑発する巻島の発言に、報道は過熱し、高視聴率をマーク。日本中が沸き上がる。
全国民が見つめるなか、巻島は姿なき犯人と対峙する!
「犯人に告ぐ。お前の逮捕は時間の問題だ。今夜は震えて眠れ」

連続児童誘拐殺人事件の犯人と、事件を担当する心に傷を負った刑事の攻防戦を描く犯罪ドラマ。

警察内部の軋轢、報道の姿勢、メディアの影響力、動機の見えない殺人、被害者家族の苦悩……と現代社会の抱えるひずみが、リアル且つ、緊迫感溢れる演出で描かれていく。
ともすれば荒唐無稽になりがちな設定も、現代社会が抱える問題をふんだんに盛り込む事で、骨太サスペンスに仕上がっている。
ディテールのひとつひとつを丁寧に描写し、社会の陰の部分をしっかりと映し出すことによって、物語にも深みを与えており、犯人と刑事の壮絶な駆け引きが見どころ。
心に傷を負いながらも世間にその身を晒し、犯人を追いつめる巻島を豊川悦司が熱演。
そして石橋凌と松田美由紀が揃って出ているあたりは(直接的な絡みはないが)優作ファンの心をくすぐるものが!
それから、あの崔洋一監督がニュースキャスター役で出演しているのにも注目を。(映画出演は『御法度』以来?)
‘和製トミー・リー・ジョーンズ’こと(?)笹野高史も定年間近の刑事役を好演。
ところでラストシーンは、かなり意味深。
犯人が捕まり、事件も無事に解決。
部下の刑事が、病院のベッドで寝ている巻島に、
「終わりました。安心して、ゆっくり休んで下さい」
と報告。
すると、しばしの間をおいて……巻島はいきなり閉じていた目をカッと見開く。
そのアップで映画は幕を閉じる。
あまりにも意味深なエンディング……これにはどういう意味があるのか?
凄く気になったのでネットで検索してみたところ、これに関する瀧本監督のコメントを発見。
それによると……
「特にあのカットで、意味を持たせようという気は特にないんですけど、違和感を観客に残したいなあという気はあって。気持ちが悪い終わり方にしたかったというか」
あ……意外と単純な理由だったんですね……イロイロ深読みして損した?


ちなみにBADMANの逮捕に至った決め手は、カーキとベージュの色の違いが分からなかったことと、アイドルの名前に詳しかったこと。余計な一言さえ口走らなければ……?