『はやぶさ/HAYABUSA』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

某シネコンにて『はやぶさ/HAYABUSA』を鑑賞。


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【出演】
竹内結子、西田敏行、高嶋政宏、佐野史郎、山本耕史、鶴見辰吾、筧利夫、市川実和子、甲本雅裕、マギー、六角慎司、佐藤二郎、高橋長英、生瀬勝久、松金よね子、蛭子能収、桂ざこば


【監督】
堤幸彦




“あきらめない心をおしえてくれたのは〈君〉でした……”




2002年夏、神保町の古本屋でアルバイトをしている水沢恵のもとに、一本の電話がかかってくる。

聞き覚えのあるその声の主は、宇宙科学研究所対外協力室室長の的場泰弘だった。

「宇宙研に来ませんか?」
「宇宙研?」
「宇宙科学研究所」
「え?えーー!」

以前、聴きに行った講演会で的場の講演内容に感動した恵は、帰り際の彼に感想や疑問を矢継ぎ早にぶつけたことがあった。

その勢いと素養に興味を持った的場から、恵は相模原の宇宙科学研究所に来ないかと誘われたのだ。


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恵は、小惑星探査機〈ミューゼスC〉のサイエンスマネージャーを務める萩原教授の研究室に所属し、カメラチームの仕事と、的場のいる対外協力室の手伝いを掛け持ちすることになる。


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〈ミューゼスC〉チームでは、プロジェクトマネージャーの川渕を中心に、カメララチームを率いる坂上、サンプラー開発担当者の田嶋、イオンエンジン開発担当責任者の喜多らが、世界的にも例のない‘理工一体’のミッションに向けて、準備を進めていた。


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喜多は、
「これ1個だけ!これさえ入れておけば万一の時、探査機を救えるかもしれないんです!」
と、重量や予算のことを気にするメーカー担当者に激しく詰め寄る。


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1985年の構想から17年、メンバーたちにとっては、人生の多くを懸けてきた悲願のプロジェクトだけに、皆熱い思いを抱いていた。


坂上に論文の翻訳を頼まれて徹夜する一方で、広報スタッフとして相談員の仕事を受け持った恵だが、見学に来た子供に専門用語を連発してしまい、‘伝える’こととの難しさを痛感。


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「自分では理解していても、分かりやすく説明するのって難しいものなんですね」

反省した恵は自らの発案で子供向けの解説書「ミューゼスC君の冒険日誌」を書き始める。


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2003年5月、文科省の説得、打ち上げ候補地の漁業組合との交渉に奔走した的場の努力も叶って、鹿児島県の内之浦からの打ち上げが決定。


打ち上げ当日、田嶋が〈ミューゼスC〉にそっと話しかける。
「君の名前が決まったよ。〈はやぶさ〉って言うんだ」

パブリックビューイングやインターネットの中継によって多くの人間が見守る中、〈はやぶさ〉は宇宙へと飛び立っていく。


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12月9日、川渕は98年に打ち上げた火星探査機〈のぞみ〉の火星周回軌道への投入を断念する。


恵は「あなたの名前を火星へ」キャンペーンに亡き兄の名前を応募していたことを的場たちに打ち明ける。

宇宙の魅力を恵に教えてくれたのは、他でもない兄だった……。


2005年9月12日、小惑星〈イトカワ〉の上空に〈はやぶさ〉が到着。
撮影に成功した〈イトカワ〉の写真を見て、坂上は涙ぐむ。

居酒屋でお祝いをしながら、坂上はセンスはあるが実力を発揮できていない恵に、
「お前、なんで宇宙やってんだ? 兄貴のためか? 自分自身のためか?」

しかし、恵はその質問に答えることができないのだった……。


11月20日、〈はやぶさ〉は〈イトカワ〉に不時着してしまう。
理学的見地からサンプル採取のために着陸のやり直しを提案する田嶋、工学的見地から機体の損傷を心配して帰還させることを提案する喜多。
判断を託された川渕は二度目の着陸を決意し、見事に成功する。


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12月8日、イオンスラスターの故障と燃料漏れが発生し、姿勢を制御できなくなった〈はやぶさ〉は地球との通信を途絶してしまう。

地球から遥か彼方、広大な宇宙空間で行方不明となってしまった〈はやぶさ〉……。

これまでに行方不明になった探査機が見つかった例はない。
管制室に暗澹たる空気が立ちこめる中、的場は文科省に赴き、官僚の矢吹に事情を説明するのだった。


2006年1月23日、〈はやぶさ〉からの信号を奇跡的にキャッチすることに成功!
故障を免れたイオンエンジンを点火し、地球への帰還を目指すことになる。


喜びに湧く恵たちだったが、臨時職員であった坂上の契約期間が切れ、プロジェクトを去ることが判明し、さらに萩原教授も定年を迎えJAXAを去るのだった。


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2008年春、〈はやぶさ〉が地球に向かっている間に論文を書いた恵だったが、学位授与不可通知が届く……。


2009年11月4日、イオンエンジンが故障。帰還が絶望視される。


中途半端な気持ちのまま科学者への道を歩むことに迷いを抱き始める恵。

動力を失い、宇宙を彷徨うことになりかねない〈はやぶさ〉。

チーム全員がそれぞれの危機に直面していた……。


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2003年に飛び立ち、2010年に奇跡の帰還を果たした小惑星探査機‘はやぶさ’の偉業を紹介するとともに、7年間にわたるその一大プロジェクトに関わる人々の苦悩と葛藤を描いた実話の映画化。


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冒頭、西田敏行演じる的場が宇宙や探索機について詳しく(子供も理解できるように分かりやすく)説明する講演会の場面は、まるで教育映画状態。

宇宙になど全く興味がない自分としては‘うっ、これはちょっとかったるいかも’と不安になりましたが……ところがところが、これが面白くてグイグイ引き付けられてしまった。

また前半では専門用語がやたらと飛び交うのだけど、ちゃんと説明のスーパーが出る親切さ。


はやぶさは無事に地球に帰還できるのか(実際には帰還するのは小惑星の石を積んだカプセルのみで、はやぶさ自体は大気圏突入時に燃え尽きてしまうのですが)……というのが見所なものの、この結末はもちろん分かっている訳で、この映画の軸となるは、はやぶさに関わる人々の群像劇がメインとなっています。


堤監督らしいコミカルな味つけを挟みつつ、7年間、決して諦めることなく‘はやぶさ’の旅を支え、見つめ続けてきた人たちの様々な人間模様を盛り込み感動のドラマに仕上がっている。


はやぶさを我が子のように想い、満身創痍のはやぶさを励ますスタッフたち。
はやぶさに励まされ、科学を志す者として、ひとりの人間として成長を遂げていく主人公。
それぞれの情熱がひとつになって、はやぶさの偉業へとつながっていく。


絶対に諦めないという強い想い、その原動力となった信念や夢、勇気と自信が作品全体に溢れています!



オシャレ度ゼロ、化粧っけゼロの超ダサダサファッションに身を包む(有り得ないくらいのダサい服ばかり着ている)恵役の竹内結子がダサ可愛い!

いつもオドオドしていて人の目を見て話せず、口調や仕種もちょっとヘン。
口下手で他人とコミュニケーションを取ることは大の苦手なのに……これが宇宙の話となると途端に豹変!
興奮して喋りはじめ、止まらない止まらない!

子供に宇宙に関する質問をされて、それに答えるシーンが可笑しい。

「あ、それはですね~○×△□※◎◇☆●◆▽(専門用語の大連発!)と、まあ、こういう訳なんですね~分かりましたか?」
「????????」

観ているこっちもちんぷんかんぷんあせるあせるあせる

ていうか、あれだけ専門用語が入りまくりの長い台詞を(しかもワンカット長回し)よく覚えたな~と感心した(笑)。



ちなみに堤監督の遊び心的演出で笑ってしまったのが、誰が見てもバレバレのカツラ姿で登場する筧利夫。
そのヅラの形は……紛れもなく『TRICK』の矢部謙三そのもの(笑)。

でもおちゃらけキャラなどではなく、生真面目で堅物な役。

もちろん、ヅラに関しては誰も触れません。本人もそれを匂わすようなことは一切なし。
だが、はやぶさの打ち上げ日に……みんなは早々とヘルメットを被っているのに、彼だけは手に持ったまま。
ズレるのを気にしていた?あせるあせる

いつ頭にモザイクがかかるのかと期待してしまった(笑)。


その矢部こと生瀬さんもチョイ役出演。

ロン毛のヅラで、‘隼Tシャツ’を着るほどの熱狂的なはやぶさオタクを演じ、パソコンの前に陣取りはやぶさの行方に一喜一憂。

最後、はやぶさが無事に帰還した際には、髪もすっきりしスーツ姿に。

「ようやった~はやぶさ!よし、俺も頑張るで~もうひきこもりはやめや!明日、ハローワーク行く!」

いい年してひきこもりの無職だったんかい(笑)。



はっきり言って宇宙にもはやぶさにも全く興味のない自分でも、存分に楽しめる作品でした。



余談ですが~いきなり20世紀FOXのあのファンファーレとマークが出たので、シネコンのスクリーン番号を間違って入ってしまい、洋画が始まるのかと一瞬焦ってしまった。
製作、配給は20世紀FOXだったとは……。