
【出演】
益岡徹、永作博美、津川雅彦、松坂慶子、前田愛、イーデス・ハンソン、柄本明、柄本佑、角替和枝、佐藤蛾次郎、江口のりこ、中村靖日、緒方篤
【監督・脚本】
緒方篤
“人生、誰もが脇役で誰もが主役”
万年脇役俳優の松崎ヒロシは、撮影現場でも私生活でも根っからの脇役キャラ。

街を歩けば店員、係員、警備員、果ては誘拐犯にまで間違われ、家では大物劇作家の父から半人前扱い。
妻とは離婚し、全くうだつの上がらない中年男だ。

今日も、いつもどおりドラマの脇役を淡々とこなしていた彼のもとに、なんとウディ・アレン映画の日本版リメイクの主役の話が舞い込む!
ようやくツキが回ってきた!
「これで警官役ばっかりの脇役人生ともおさらばだ」
ところがそんな矢先……ひょんなことから大物議員の妻・黒岩トシ子の不倫相手に間違われてしまい、映画の話は消えてしまう。
「スキャンダルの相手が悪すぎなんだよ」
「違う!あれは誤解ですって!」
「とにかく主役の話はなくなったから」
「そんな……」
そんな時、駅のホームでスリの濡れ衣を着せられていた女性・アヤを助ける。
彼女はコンビニでバイトをしながら小さな劇団に所属する女優の卵であった。

「人違いされるのは名優の証し」だというアヤの言葉を胸に、ヒロシは堂々と自分の人生を歩んでいくことができるのか!?
そしてアヤとの恋の行方やいかに?

ひたすら脇役俳優人生を歩んできた中年男が、映画の主役を勝ち取るために孤軍奮闘する姿を描いたロマンチック・コメディ。

役者としても実生活でも超平凡な男が運命の女性と出会い、人生の一発逆転を狙う姿が描かれていきます。
ヒロシは脇役とはいえ、ドラマ宣伝のポスターに顔が載るくらいだから、全くの無名俳優という訳ではなさそうだし、仕事も途切れなくあるようだ。
ただ地味であまり印象に残らないキャラのため、脇役しか回ってこない。
この役柄を実際に脇役ばかりを演じてきた益岡徹が、時にコミカルに、時に哀愁を漂わせながら好演。
無名塾の仲間だった役所広司が主役街道を突き進む中で、真逆の脇役街道を歩んできた益岡徹も遂に初の主演と、まさにこの映画の主人公のヒロシとダブります。
役者陣もいい。シチュエーションも面白い……けど、何となくかったるい演出でイマイチ楽しめなかったかも。
「30年前のホームドラマのよう」という感想を書いていた方がいたのですが、ホントそんな感じ。
(確信犯的な演出なのかもしれないけど?)
脇役俳優が主役の座を射止めるために奮闘するといえば、『蒲田行進曲』がパッと頭に浮かびますが、あのパワフルさ、何が何でも、主役を掴み取るという執念みたいなものがこの作品には希薄。
ユルい展開にするのなら、もっと徹底的にユルくしてほしかったな~と。
益岡徹のメッチャ濃い眉毛だけが強く印象に残る作品でした。
あ、それからこの映画……柄本一家(父、母、長男)が揃って出ています(笑)。