『セーラー服と機関銃 完璧版』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『セーラー服と機関銃 完璧版』


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【出演】
薬師丸ひろ子、渡瀬恒彦、風祭ゆき、大門正明、林家しん平、酒井敏也、柳沢慎吾、岡竜也、光石研、柄本明、佐藤允、北村和夫、寺田農、藤原釜足、円広志、角川春樹、斉藤洋介、三國連太郎


【監督】
相米慎二




“わたしがヤクザの組長!?”


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四人しか子分のいない小さなヤクザ、目高組の親分が「跡目は血縁者に」と遺言を残して死んだ。


その頃、女子高生の星泉は、成田空港の前で車に轢かれて死んだ父・貴志と火葬場で最後の別れを惜しんでいた。

そこで、中年の男が父の遺骨に線香をあげている姿を見る。


泉の母はずっと昔に亡くなっていて、これで彼女は本当の独りぼっちだ。


マンションに帰ると、マユミという女がおり、「もし自分が死んだら泉をよろしく」と書かれた父の手紙を持っていた。

「父とはどういう関係だったんですか?つまり、その……愛人?」

その日からマユミと一緒に暮らすことになる泉。


翌日、黒いスーツを着こんだ大勢のヤクザが学校の前に並び……その中のひとり、佐久間が声をかける。


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「星泉……さんですね。お迎えに参りました」

ワケも分からず連れていかれた先は、古ぼけたビルにある目高組の事務所。

事情を説明された後、
「組長の跡目を継いでほしい」
と懇願されてしまい……。

「無理、無理ですよ!わたし高校生ですよ!それも女の子です」
「心配いりません。組長に年齢、性別は関係ありませんから」
「…………」


ひょんなことからヤクザ一家の四代目組長にさせられてしまった泉。

佐久間、政、ヒコ、明の子分を従えて、おっかなびっくりしながらも、少しずつ組長になりきっていくのだが……。


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遠い血縁関係にあるヤクザの親分が死んで跡目を継ぐことになった女子高生が四人の子分と、対立する組織に戦いを挑む姿を描く青春ドラマ。


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112分のオリジナル版に対し、この完璧版は130分バージョン。(完璧版は今回が初鑑賞)


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ブリッジをしながら歌を口ずさむ泉。
このファーストシーンはインパクト大!


そして、クライマックスは有名すぎるくらい有名な~~もちろん、あれ!

怒りに燃えた泉が、浜口組に殴り込みに行くシーン。

全ての事件の源となったヘロインの入った瓶を機関銃でぶっ放して粉々にし……


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「カ・イ・カ・ン……」

その時、泉の左の頬から一筋の血が(本物!)流れる。

何回観ても痺れる名シーンです!


ラストも印象的。

組を解散してから数ヶ月後、刑事に案内されて警察の霊安室で佐久間の亡骸と対面する泉。

「ヤクザ同士の喧嘩の仲裁に入って刺されてしまったようです」
「この人もヤクザなんですか?」
「いえ、普通の会社員です。出張で東京に来たみたいですね」

呆然と立ちすくむ泉は……静かに眠る佐久間と、熱い口づけを交わす。


そして……セーラー服に真っ赤なハイヒールを履いた泉は、新宿の雑踏の中をひとり歩く。
(バックに流れるは主題歌の「セーラー服と機関銃」)

ふと立ち止まるとデパートの壁に寄り掛かって、‘見えないタバコ’を吹かし……再び歩き出す。

すると目の前で二人の子供が遊んでいる。

泉が何やら話し掛けると、その子供は機関銃を撃つ真似をして……。

泉も‘幻の機関銃’を構えて「バン、バン、バン!」……その時、通風孔からの風でスカートがフワリと捲れ上がり……。


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ここで泉のこの言葉で物語の幕は閉じる。

‘生まれて初めての口づけを中年のオジンに上げてしまいました。わたくし、愚かな女になりそうです……(マル)。」


メチャメチャいいエンディング!



今回観て改めて気付いたのは、俯瞰の映像が多くアップが極端に少ないこと。
(これは相米監督の演出の特徴でもあるわけですが)

当時としては、アイドル映画という範疇だったと思うので、薬師丸ひろ子のアップが少ないというのは意外な感も。


若手俳優に体を張らせることも特徴的な相米監督。

これでも薬師丸ひろ子をクレーンで宙吊りにして高々と持ち上げ、セメントの中に何回も落としてヘドロまみれにさせるという(頭まで沈めてしまう)無茶をやらせてます。


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機関銃を乱射するシーンも実際に目の前の瓶が砕け飛び散り、その破片が薬師丸ひろ子の頬に突き刺さって流血。
もちろん、これはアクシデントだったワケですが、一歩間違えたら大惨事に!?


それから、夜の新宿の街を暴走族と共に道を占拠してバイクで疾走するシーンも印象的。
(今では、絶対に撮影不可能)



30年前の作品だから当然だけれど、役者陣がみんな若い!

柳沢慎吾と光石研は高校生役だし、酒井敏也はまだ髪がフサフサ!
柄本明も渡瀬恒彦も(オールバックにした時の額の具合はかなりキテるけど)まだ青年の面影を残しています。


悪役を演じるのも北村和夫、寺田農、佐藤充、三國連太郎と、ひと癖もふた癖もある異常に濃いメンツ。
(特に太っちょ役の三國連太郎がかなり不気味)



ちなみにオリジナル版にはなかった追加シーンは、ベッドでうなされる泉、部屋でブリッジをする泉、歌舞伎町の雑踏を歩く泉、水槽で泳ぐ魚の説明をする佐久間……などでしょうか。



薬師丸ひろ子の魅力が全開の『セーラー服と機関銃』。

当時、大人気だったのも納得です~~とにかく可愛い!


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もし今、この作品をリメイクするとしたら……星泉役は~北乃きい、桜庭ななみ、瀧本美織……あたりがハマるかも!?



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