
【出演】
竹内結子、松本花奈、ミムラ、谷山毅、川村陽介、鈴木砂羽、トミーズ雅、山本浩司、寺田農、伊勢谷友介、温水洋一、樹木希林、椎名桔平、古田新太
【監督】
根岸吉太郎
“あの夏、私の隣にはヨーコさんがいた”

キャリアウーマンとして不動産会社に勤務する近藤薫。
ある日、有給をとって釣堀に出かけた彼女は、そこで出会った少女に餌をつけてあげながら、20年前の刺激的な夏休みを思い出していた……憧れの女性、ヨーコのことを。
‘20年前の刺激的な夏は、母の家出で幕を開けた’
1980年代の夏。
家出していった母と入れ違うようにしてやって来た若く美しいヨーコ。

「驚かなくていいよ。ご飯作りに来ただけだから」

ドロップハンドルの自転車を駆り、タバコを吹かす、母とは正反対の豪快な女性だった。
彼女は薫のために食事を作り、コカ・コーラの味や流行りの音楽を教えてくれたり、自転車のコーチもしてくれた。

そして、互いに尊敬しあう‘友情’の存在も教えてくれた……。
型破りだが温かい心を持つヨーコに、まだ小4の薫はすっかり魅了されていく。

だが、父との諍いの末に家にいられなくなったヨーコは、「最後の夏休みにつきあってくれ」と薫を誘うのだった……。

母親が家出した家庭に突如として入り込んできたヨーコと、10歳の少女・薫の心の交流を描いたハートフル・ムービー。


ヨーコと、彼女とのふれあいによって自分の世界を広げてゆく薫、そして二人を取り巻く人々の心の機微を、繊細なタッチで丁寧に味わい深く描写されていきます。
ヨーコは、煙草をスパスパ吸い、性格は超さばさば、ちょっとガサツで大らかな気の強い女性。
男勝りで懐が深く、ぶっきらぼうな物言い、ドロップハンドルの自転車を颯爽と走らせ、お上品なルールとは無縁、自由な精神に溢れていてマイペース。でも繊細な優しさも併せ持っている。
このヨーコを演じる竹内結子が超カッコイイ!
時々垣間見せる少女のような笑顔、凄みのきいた睨み顔、そして泣き笑いのシーン……と、どの表情も、人の心の痛みを知る女性ならではの深みある輝きに満ちており、凄く魅力的なキャラになっています。
一方、家族の前でもどこか遠慮がちな薫。
表面的には喜怒哀楽に乏しいが、心の中ではいろいろな考えを巡らせている女の子。
彼女にとってヨーコと過ごしたひと夏の体験は、大人になった現在でも色褪せることなく、キラキラと輝いているのです。
それから薫の父親・誠は、何となく胡散臭くて掴みどころがなく、一見頼りない雰囲気のぐうたら親父。
しかし、自分らしい生き方を貫き通す強さと、男の優しさを兼ね備えている。
この3人がサイドカーに乗って夜道を走るシーンが、凄くいい!
破天荒な女性と内気な少女のひと夏の交流を通して、大人の女性に憧れる少女の気持ちを見事に表現した素晴らしい作品でした。
等身大の登場人物たちの悩みや苦しみ、喜びなどの感情も共感できるものが!