『GSワンダーランド』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『GSワンダーランド』


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【出演】
栗山千明、石田卓也、水嶋ヒロ、浅利陽介、温水洋一、三倉茉奈、三倉佳奈、湯原昌幸、山崎一、ケンドーコバヤシ、山崎樹範、片桐仁、大杉漣、高岡蒼甫、武田真治、杉本哲太、森田順平、岸部一徳


【監督】
本田隆一



‘どんな時代にも、夢に向かってひたむきになる若者がいる。振り返ったとき、その夢が時代遅れで笑ってしまうようなものであっても、そのときの彼らは熱く輝いていた……懐かしくも新しい、GSの世界へようこそ!それは最新型のロックンロール’



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1968年。
日本中の若者が憧れる日劇ウエスタン・カーニバル。
その日劇前に、野心を燃やす一人の女が立っていた……名前は大野ミク。
歌手を目指し、北海道から家出同然で上京してきた女の子だ。


一方、音楽を志す若者のたちの登竜門であるライブハウスACEでは、ザ・ナックルズのリーダー、タツオが、ドラムのシュンとベースのケンタにビートルズに関する極秘情報を吹き込む。

「今、ポールとリンゴが秋田に来ている。業界じゃ有名な話だ。山奥で音楽教室をしているらしい」
「えー!!」
「スパイダースやブルコメもそこで教わってるって」
「だからあんなに上手いのか!」
「今すぐ行け!秋田へ!」
「おう!」


実はこれ、ふたりをバンドから体良く追い出すための真っ赤なウソ。

こんな有り得ないホラ話なのに、素直すぎる二人はその言葉を信じ、一路秋田を目指すのだった……。


そんな頃、同じ会場には熱い視線でステージを見つめる高校生のマサオがいた。
GSに憧れる彼の髪型は、見事なマッシュルームカット。

彼は親友にこう宣言する。

「俺、大学受験はしない」
「え?どうすんの?」
「GSやって、日劇のステージに立つ!」
「バカ野郎。出れるワケねえじゃん」


日本全国で吹き荒れるGSブームにあやかろうと、演歌専門のファインレコーズでも新人バンドを探していた。

GSレーベル担当者に立候補した佐々木は、松田社長や鎌田専務などの上層部に、こう命じられる。

「3ヶ月でGSバンドをデビューさせよ!」
「そんな……」
「ダメだったら、お前は一生ソノシート担当だよ」
「…………」


佐々木は早速、弱小プロダクションを営む梶井に無理難題を押しつけ、スカウトに走らせた。


1968年・秋。
マサオはナックルズの楽屋に足を運び、
「ボーヤにしてください!お願いします!」

しかし全く相手にもされず……。

そんな時、ひょんなことでシュン、ケンタと知り合い、3人はザ・ダイアモンズを結成!

「ナックルズだけは許せねえ。俺たちを騙しやがって。秋田で三ヶ月もポールとリンゴを探してたんだぞ!」
「ていうか、普通信じないですよね?そんな話」
「…………」


早速、ビルの屋上でオリジナル曲『ベニスの夜空』を練習するが……
「ちょっ、これ『抱きしめたい』に似てない?」
「全然、似てないよ。コードとベース進行は一緒だけど」
「そうなの?……て、それってそのまんまパクりじゃん!」
「微妙に違うから」
「…………」


そんなところに、歌声を聞きつけた梶井が現れ、なんといきなりのデビューを持ち掛けられる!

「デビューは3ヶ月後ね」
「早っ!」


ところが、佐々木が用意していたデビュー曲は、オルガンがメイン。

窮余の策で梶井は以前、事務所に押しかけた歌手志望のミクを男装させて、ミックと称して新メンバーにしてしまう!
交換条件はミクのソロデビュー。


「あれ?女?」
「男だよ……まだ声変わりしてねえけど」
「どう見ても女でしょ?」
「男だって!」
「女なんかとロックバンドが出来るか!」
「まあ、いいんじゃない。可愛いし」


こうして合宿生活に入り、急ごしらえでダイヤモンズはデビューするが……。


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「デビューシングルの売上枚数は23枚だ」
「え?それってほとんど身内しか買ってないってこと?」


会社の上層部は戦略会議を開き、
「よし、これで行こう!タイツを穿いて‘ニュー歌謡’」


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フリフリな王子様スタイルに、ピッチピチの白タイツと編み上げロングブーツ……‘ザ・タイツメン’として、再デビューを飾る。
曲は甘いラブソング『海岸線のホテル』。

「あの、これ相当恥ずかしいんですけど」
「どう見てもロックじゃねえよな、こんなの」
「うるさい!今日からお前らはタイツメンだ!」


ところが、ミックの美形ぶりに女の子たちが飛び付いた!
ライヴは満員、数々のテレビ出演、殺到するマスコミの取材と、タイツメンは大人気GSグループとなってしまう。


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しかしそんな時、パパラッチから盗撮され、ミックの女疑惑が発覚。

彼らは必死にミックの真実を隠蔽しようとするのだが……。





憧れの日劇のステージに立つ夢を叶えるために、音楽に青春を賭けた若者4人。
飛び込んだショービジネスの世界で大人たちの都合に翻弄されながらも、へこたれずに夢を追い続けていくる彼らの姿を描いた青春映画。



GSブームが突如として花開き、本格プロ志向のバンドから、数打ちゃ当たるかのように粗製乱造されたバンドも数知れず。
ザ・タイツメンもブームを後追いして、急遽デビューさせられるが……彼らは「本当にこれでいいのか?」と思い悩みます。


ビートルズやローリング・ストーンズを和風にアレンジしていたはずなのに、なぜ王子様スタイルで‘とんでもメルヘン’的世界に迷走してしまったのか?

演奏しているのは、ほとんど歌謡曲じゃないか。


大人たちの私利私欲に翻弄されつつも、ただただ流されていくメンバーたち。

儚くも消えていった若者たちのキラキラとした青春の1ページを笑いを交えて映し出す。


こだわりのGSサウンドと60年代のサイケなビジュアル、そしてちょっとザラついたフィルム感を再現した辺りもいかにも60年代風と、かなり凝った作り。(しかも当時、全盛だったシネスコだ)



思わず爆笑の楽屋落ち的なネタもあります。

レコード会社社長がザ・タイガースのシングルレコードを手にして、
「いま凄い売れてるよね~タイガース。『銀河のロマンス』67万枚だってさ」

この社長を演じているのが岸部一徳。
元タイガースのサリーその人です(笑)。


他にも数々のGSサウンドがバックに流れ、テンプターズ、スパイダース、ブルコメ、ダイナマイツ、クーガーズ、赤松アイ、チャッピー等など……懐かしい名前がポンポンと台詞の中に出てきます。


懐かしいと言っても自分が生まれる前の話なので、GSブームの頃は全く知らないんですけどもあせるあせる


でも当時、GSに夢中になっていた方が観たら、あまりに懐かしくて涙モノの作品なのではないでしょうか。