『嫌われ松子の一生』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『嫌われ松子の一生』


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【出演】
中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之、市川実日子、黒沢あすか、柄本明、木村カエラ、蒼井そら、柴咲コウ、片平なぎさ、本田博太郎、ゴリ、榊英雄、マギー、竹山隆範、谷原章介、甲本雅裕、キムラ緑子、角野卓造、宮藤官九郎、谷中敦、劇団ひとり、大久保佳代子、ボニー・ピンク、濱田マリ、武田真治、木野花、荒川良々、渡辺哲、山本浩司、土屋アンナ、AI、山下容莉枝、山田花子、あき竹城、嶋田久作、木下ほうか


【監督】
中島哲也



‘不幸って何?
あなたは〝嫌われ松子〟を好きですか?
最後の最後まで夢見ることをやめなかった松子。そんな松子をすべての人々が愛してしまう。
おかしくて切ない……全く新しいシンデレラストーリー’




平成13年。
川尻松子は、アパート近所の荒川河川敷で遺体となって発見される。
全身に激しい暴行を受けて殺害された姿で……享年53歳。
その手には一枚の名刺がしっかりと握られていた。


未だ知らされていなかった伯母・松子の存在に驚く川尻笙。

父親(松子の弟)から、
「俺の代わりに、部屋の後片付けをしてきてくれ」
と頼まれた彼は、ぼろアパートに行ってみると……部屋は散らかり放題のゴミ屋敷状態。

しかも隣人は、怪しげななんちゃってパンクロッカー・大倉修二。
そして壁には、何故だか光GENJIのポスターが1枚。

「光GENJIって……」


‘いったい、松子おばさんて、どういう人だったんだ!?’

夢にも見放され、ガールフレンドの明日香にも見限られた笙は、松子の人生を辿りはじめる……。



昭和22年、福岡県大野島でひとりの女の子が誕生した。
お姫様のような人生を夢見る彼女の名は川尻松子。


松子は、父・恒造の望みどおり中学校教師となり、歌の上手な先生として生徒の人気を集めていた。


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憧れの同僚・佐伯俊二からもデートに誘われ、人生は順風満帆。

しかし、修学旅行で問題児・龍洋一が起こした窃盗事件が松子の人生を変えた!
教頭に怒鳴られ、セクハラされた末に、辞職にまで追いやられた松子は、動転したまま……重病の妹・久美が止めるのも聞かず、
「あんたなんか、全然可哀相だなんて思っちゃいないよ!」
と捨て台詞を残し、家を飛び出す。

「その瞬間、人生が終わったと思いました」


失意のドン底に陥った松子は、それでも新たな夢を見つける。

それは同棲中の作家志望の男・八女川徹也の存在だ。殴られても蹴とばされても、八女川の夢に寄り添う松子。


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「俺は太宰治の生まれ変わりなんだよ!」

音信不通の弟・紀夫にお金を借りてまで彼に尽くすが、自分の才能に思い悩んだ八女川はある雨の夜、線路に身を投げ自殺してしまう。

「その瞬間、人生が終わったと思いました」


絶望の淵に追いやられた松子だったが、またも夢を見つける!

それは八女川のライバルだった岡野健夫の存在。
彼の愛人となった松子はバラ色の日々を過ごすが……やがて岡野の妻にばれ、あっさりと捨てられてしまう……。


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「最初から君のことなんか愛してない!」


ヤケになった松子は、自ら中洲のソープ「白夜」の門を叩き、ソープ嬢に転身!

やっと打ち込むものを見つけた松子は、毎日スクワットを欠かさず、ひたすら精進の日々で、みるみる店のトップに躍り出てノリノリの日々を送る……源氏名・雪乃として。

ところが、若手ソープ嬢の台頭という押し寄せる時代の波には逆らえず、松子は「白夜」をクビに……。


疲れ果てた松子は、出会ったばかりの謎の男・小野寺が持ちかけた話にのり、雄琴でソープ嬢を続ける。

ここでも大金を稼ぎ出すが、小野寺に騙されていたことを知って、逆上。
テレビから‘ユリ・ゲラー’の番組が流れる中、彼を殺害してしまう。

「その瞬間、今度こそ人生が終わったと思いました」


上京し、玉川上水で入水自殺を試みるが……。

「そこ、水深が浅すぎて無理だよ」

通りがかりのしょぼい理容師・島津賢治に命を救われ、その日から彼と暮らし始めた松子は、床屋を手伝いながら、ささやかな幸せを味わい……遂にプロポーズされる!

が、その直後に警察の手が届き、小野寺を殺害した罪で逮捕!
その時、テレビでは‘長嶋茂雄引退’のニュースが流れていた……。


そして松子は刑務所送りに!


全てを失った松子は、「食べて・働いて・眠る」だけの日々をストイックにやり過ごす。

そんな松子に同じく服役中の女・めぐみが尋ねる。
「あんた、待ってる男とか、いないの?」
「そんな人いません」

毎日欠かすことのないスクワットを淡々とこなしながら表情を変えずに答える。

夢も希望も失いかけたある日、松子は思い出す。愛する人のために生きることを。
その日から松子は変わった!
島津のもとへ帰るため、松子は塀の中で美容師免許を取得する。


8年後、出所した松子は、まっすぐに島津のもとへ向かう。
ところが、そこには新たな妻と子供がいた。


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「ただいま……」
遠い場所から彼に別れを呟き、次に銀座の美容室で働き始める。


そんなある日、店に懐かしい人がやってくる。たまたま松子が担当した女性客。それは、刑務所で一緒に服役していた女・沢村めぐみだった。

夫とふたりでアダルトビデオ会社を興し、自ら‘水沢葵’としてビデオにも出演する(『未亡人は超淫乱』)めぐみにとって、松子は何でも話せる気のおけない存在。ふたりはすっかり意気投合。


さらに、松子に大きな出会いが訪れる。
女性客に連れ添い、店にやってきたヤクザの男……その人こそ、あの修学旅行の窃盗事件を起こした張本人・龍洋一だったのだ!

「先生のことがずっと好きだった」


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松子は、その日から龍と暮らし始める。そして龍だけを見つめ続ける……どんなに殴られても!

「殴られても独りぼっちよりはマシ……この人とだったら、地獄でも、どこでもついていく。それが私の幸せなの。あなたのそばにいられるだけでいい」

それからの松子は……
「言われるがまま、ワケの分からない店でホステスをし、ワケの分からない男たちとベッドを共にし、ワケの分からない外国人にワケの分からないモノを売った」


そんなある日、揉め事を起こした龍は逮捕され服役。

龍は思った。
「松子のためにしてやれることは、もう二度と会わないこと、忘れること……」

松子は思った。
「龍のためにしてやれることは、彼を待ち続けること」


そして、いよいよ出所の日が来た。
塀の外で龍を待つ松子。

「おかえり」

その瞬間、龍は松子を殴り倒して逃走!

「……なんで……」

愛されることに慣れていない龍は、
「怖かった。松子の愛情が眩しくて恐ろしかった……」


「もう誰も愛さない」
深く傷ついた松子は、古いアパートで‘ひきこもり生活’に入る。

掃除もせず、服装にもヘアスタイルにも気を遣わず、‘食べては寝て、また食べて……’の毎日を送り、別人のようにみるみる太っていく。

「もう呼吸をするのも面倒くさい」


しかし、そんな状況の中にいながらも、やがて松子は新たな夢、生き甲斐を見つける!

それは……光GENJIの内海光司だった!

「あなたを見ているだけで、私はこの上なく幸せです」

ライヴに通い、ファンレターを出し続け……ひたすら返事を待つ日々。

しかし……
「何で返事、くれないんだよーー!!」


とうとう松子は壊れた!
精神科へ通院し、孤独な生活を……。

そんな時、病院で偶然にめぐみと再会。
彼女は美容院を経営し、セレブな人生を送っていた。

「松子、あんたはまだやり直せる!また美容師をやる気があるなら連絡して。待ってるから!」

彼女から名刺を手渡されるが、逃げるようにその場を去る松子。


その夜、川を眺めながら、
「ふざけんな、バカ野郎!」
とその名刺を丸めて投げ捨てる……が。


夜中、松子の前に死んだはずの妹・久美が現れる!?
彼女の髪を切りながら、ふと思った。
「私は、まだやれる!」

めぐみに連絡をしようとするが……名刺を河川敷に捨ててしまっていた!

松子は慌てて河川敷へと向かい、暗闇の中からやっと名刺を発見するも、その時……。





20代で教師をクビになり、エリートから転落して家を飛び出しソープ嬢に。やがてヒモを殺害して刑務所へ……川尻松子の波乱万丈な人生を真正面から描いたファンタジックな人間ドラマ。


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転落人生が坂を転がり落ちるが如く始まっていき……愛を求める松子の前には様々な男が現れるが、彼女の選択はことごとく不幸へと繋がってしまう!


そんな壮絶すぎる女・松子の人生は不幸そのもの。男たちに利用され、搾取され、捨てられる。
でも彼女は誰を責める訳でもない。

彼女にとってはどれもが、
「この上なく幸せでした」

肉体も精神も……ボロボロに傷ついても人を幸せにし、自分も幸せだと感じる松子。

壮絶な不幸に揉みくちゃにされながらも、誰かを愛し、その人だけを信じて突き進む。
傷ついても、傷ついても愛する人への思いを胸に夢を見つづける。
誰がどう考えたって不幸な人生なのに、彼女にとってはすっごくハッピー!


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ポップな衣装にヘアスタイル。超悲惨な物語を彩る華麗な美術に音楽。そして目まぐるしいカットにCG&アニメを駆使した演出……徹底的に不幸な松子の人生なのに、まるでディズニー映画のようなファンタジックな世界観。


50年代のハリウッドのミュージカル映画をも彷彿とさせます!


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とにかく展開が早い。
圧倒的なスピード感で‘嫌われ松子の一生’が速射砲の如く描かれ、目を離す隙さえ与えない。


ラストのカーテンコールは、感動的!!