『あんにょん由美香』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『あんにょん由美香』


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【監督】
松江哲明



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2005年に亡くなった女優・林由美香。


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その記録をまとめた本の出版イベントで、彼女が生前に出ていた韓国産エロシネマ『東京の人妻 純子』が上映される。

日本でロケされたその作品は、辻褄の合わないストーリー、あまりにもベタな展開、韓国人俳優の喋る奇妙な日本語に……会場は大爆笑の嵐。


しかし監督の松江は、なぜかその作品に惹かれるものを感じた。

「由美香さんは、どうしてこんな映画に出たんだろう?」


林由美香と親交のあった松江は、彼女から言われたある言葉が胸に突き刺さっていた。


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「松江君、まだまだだね」


そして生前の彼女ときちんと一緒に仕事ができなかった思いから、その作品の成立の謎を追うべく取材を開始。


林由美香の代表作を撮った3人の監督(カンパニー松尾、いまおかしんじ、平野勝之)や、カメラマン、共演した俳優へのインタビューも行い、一緒にかつての撮影現場を訪れる。


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こうして次々に明らかになっていく林由美香の実像。


最後に松江らスタッフは韓国へ飛ぶ……『純子』の監督、俳優に会うために。

夫役だった俳優は『純子』に出演したことがキッカケで俳優人生を閉ざされていた!

「韓国ではあんな映画に出るのは、とても恥ずかしいこと。でも生活がかかっていたから仕方なかった。あれ以来、俳優の仕事がこない」


監督のユ・ジンソンは、既に映画界から引退していた。(彼はペ・ヨンジュンの劇場デビュー映画の監督でもあった)

『純子』の疑問を立て続けに質問する松江に……
「そんなの意味なんかないよ。関係ない。考えずに撮っていたから」
と飄々と語るユ。


しかも撮影は前張りなしで、ハメ撮りだった事実も判明。


別れ際、松江はダメもとでユにあるお願いをする。

「シナリオに書かれていたのに撮影されなかった幻のラストシーンを日本で撮ってもらえませんか?」
「いいですよ」




1989年からAVやピンク映画で(15年で200本に出演!)活躍し、一般映画やNHKのドラマにも進出した林由美香だったが、2005年に34歳の若さで突然亡くなってしまう。


松江哲明が、彼女に憧れながらも生前にきちんと仕事ができなかった思いをぶつけた渾身のドキュメンタリー。


全編を通して、逝ってしまった林由美香への‘愛’に満ち溢れている!

また、それぞれの監督たちも彼女に魅せられていた!

「あれだけの女優はもう二度と出てこない」



このドキュメンタリーの最後は、日本で撮影される『東京の人妻 純子』の幻のラストシーン。

林由美香と縁のある監督、俳優、スタッフが集結し、ユ・ジンソンのメガホンの下、撮影を敢行。


そして……『東京の人妻 純子』の‘おわりのつづき’が披露されて、幕を閉じる。




ドキュメンタリー映画としては異例の大ヒットを記録したこの作品。

とにかく面白い!
ドキュメンタリーの大傑作!


林由美香に関してはほとんど知りませんでしたが、非常に魅力的な人だったのだな……ということがヒシヒシと伝わってきます。


『あんにょん由美香』を観ると……『東京の人妻 純子』も観てみたくなる……。



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