
【キャスト】
アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート
【監督】
フェデリコ・フェリーニ
貧しい上に頭が少々足りない娘・ジェルソミーナは、家族の口べらしのため、オートバイで旅まわりをする曲芸師ザンパノの助手となって町から町への旅に出ることに。
彼の呼びものは、強靭な肉体を駆使した胸の力で鎖を切ること。

しかし疑い深く粗野で、狡猾と欲情に凝り固まった獣のような男でもあった。
暴力によってジェルソミーナを女房にしてこき使い、金ができれば他の女を追いかけまわしている。
彼女の無垢で天使の如く優しい心も彼には通じず……。

やがて二人は小さな曲馬団に参加。
そこでジェルソミーナは、綱渡り芸人イルに心を奪われ……。
嫉妬と憎しみからイルを殴り殺してしまうザンパノ。
そしてジェルソミーナを置き去りして姿を消し……。
それから数年後……ある街を訪ねたザンパノの耳に聞こえてくるあるメロディー。
それはジェルソミーナが愛していた曲だった!
その歌を口ずさんでいた娘に彼は訊く。
「その歌は?」
「ここに流れてきた女の子がいつもラッパで吹いていたの」
「いつ頃?」
「4、5年前」
「今はどこに?」
「死んだわ」
夜の浜辺でザンパノは大声をあげて号泣する。
それは……はじめて自分が犯した罪の深さに恐れおののき、と同時にジェルソミーナを愛していたことに気付いた瞬間でもあった。
「こんな石ころだって、神様が何かの役に立たせるために作られたものなんだよ。君だって何かの役に立ってる」
イルのこの台詞が胸を打つ!
人間のエゴイズム(俗)と純粋な魂(聖)の対比を見事に描いた名作中の名作。
音楽も素晴らしく、何回観ても泣けてしまいます。