Janko Nilovic関連はこれまでにも何作かご紹介してきたわけであるが、タイトル通りに、いわゆる男女Scatの掛け合いによる華麗なダヴァダヴァダ道炸裂の本作は、Library Musicの巨匠とも言われるNilovicの作品の中でも人気の高い音盤であるかもしれない。トルコはIstanbul生まれの作曲家/Multi-Instrumentalist/Arranger Janko Nilovicは、60年にParisに渡り、Nightclubでピアノを弾きながらLes DoussisというGreece出身のMusicinのTrioのバックでBassやGuitar、鍵盤を演奏していた。Nilovićは、やがてJazz Clubで演奏を続けながらPop MuscianやTV ShowのArranger/Orchestratorとしての仕事を得るようになっていく。67年に自らJu Ju Recordsを立ち上げ、歌手の楽曲を手掛け、ProduceしてSingleをリリースするようになるが、Parisの名門Library Music Label Éditions Montparnasse 2000 (MP 2000)の創設者André Farryにその才能に目をかけられたNilovicはProducerとして契約、MP 2000のLabel Manager and A&RのDave SuckyことLouis DelacourとのCollaborationで次々と、その多彩で創造性に満ちた音楽性を反映させたご機嫌なLibrary Musicを世に出していくのだった。個人的にはBoulogne-Billancourt生まれの大好きなギタリストJean-Pierre Alarcenと組んだ作品が一番のお気に入りではあるが、本作は、MP 08とCreditされたNilocicにとっては69年にリリースされたEditions Montparnasse 2000からのMP 06『Psyc Impressions』に続く作品となる。Jay-ZやThe Beatnuts、Dr. Dreら数多くのHip-Hop MusicianにSamplingされ、ようやく再評価されるようになったJanko Nilovicであるが、2000年以降になって、やっと過去の作品がReisueされるようになったことは喜ばしい事であった。
『Vocal Impressions』は71年にリリースされたJanko Nilovic And Dave Suckyのアルバム。
アルバム1発目は勢いのある男女Scatがいきなり炸裂する“Week-End A Chelsea”。Jazzyでキレのあるリズム隊が躍動しFluteが心地良く舞う。
欧州の哀感に満ちたダヷダヴァ歌謡“Ta Voix Du Fond Des Ondes”。
Bossaa風Beatに囁き系ダヴァダヴァダが洒落乙な“Improvisation Pour Deux Voix”。
“Cantate Pour Deux Cœurs”は男女Scatが哀愁漂う旋律を歌い上げていく。
“Atchika Boum”はBoss Beatにのった、おふざけ男性ScatにCuteな女性Scatが絡むのが最高。このお気楽なノリが最高。
心地良いAcoustic Guitarの刻みから入り高揚感に満ちた男女Scatがご機嫌な“Du Soleil Camarade”。
これまた欧州の翳りのある哀愁ダヴァダが心に沁みる“A L'ombre De Notre-Dame”。
“Rêverie A St-Germain-Des-Près”も、いかにも70年代の欧州的なElegantな哀感がたまらないダヴァダヴァダ。
“Funky Village”はタメのきいたFunkyなBeatにのって手拍子やかけ声、男女Scatが織り成すご機嫌な世界が楽しめる。
アルバム最後をシメるのは“Ballade Pour Marie”。イントロから高らかにBrassが鳴って男女Scatが高揚感に満ちたダヷダヴァダScatで盛り上げていく。Sunshine でHappyな60年代末から70年代初頭の雰囲気が漂うところが最高。
(Hit-C Fiore)
