First Water/Sharks | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

  Sharksが、たった2枚の公式アルバムを残して解散してしまったのは本当に残念でならない。Freeを脱退したAndy FraserThe Battered OrnamentsNucleusの職人ギタリストChris Speddingという、共に自分が贔屓にしているMusicianが結成したGroup Sharks。もっとも、FraserはDebut Albumとなる本作『First Water』が73年にリリースされて間もなく脱退してしまうのだが。Fraser脱退後、74年にリリースされた2nd Album『Jab It In Yore Eye』では、後任のベースにはMemphis生まれのAfrican-AmericanのBust Jonesがおさまり、元Audienceの鍵盤奏者のNick Juddが加わっている。実はVocalのSnipsことSteve Parsonsの楽曲が中心となるこのアルバムも中々面白いのである。その後、The WhoJohn EntwistleのProducedeで3作目のアルバムが録音されるもお蔵入りとなってしまうのだった(2016年に『Car Crash Tapes』として非公式にリリースされている)。そして、とうとうバンドは74年10月に解散してしまう。その後、90年代にバンドは再結成されたのだが、そこにはAndy FraserもJonesもいなかった。ちなみにFraserとSpeddingは2010年代に再びSharks復活を目論むも、残念ながらFraserが2015年他界し、SpeddingはSnips、Nick Juddらとドラムスに元Sex PistolsSteve Cookを迎えてアルバム『Killers Of The Deep』を2017年にリリースしている。さて、本作はAndy FraserにChris Spedding、SnipsにドラムスのMarty SimonというメンツでIsland Recordsからリリースされている。楽曲はFraserとSnipsの単独作が交互に出てきて、SnipsとSpeddingの共作が1曲、Fraser、Snips、Simonの共作が1曲で全9曲スカスカの音でピアノが入ってきたり、ところどころPopな味付けがあるところがFraserらしいが、Snipsのしわがれ声英国らしさを失わないところが良い。曲調も派手さはなく地味ではあるが、やはり演奏はガッツリ楽しめる。

 

 『First Water』はSharks73年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“World Park Junkies”。心地良いSpeddingのギター・カッティングで始まり、しわがれ声のSnipsのVocalが渋く吼える。SpeddingとSnipsの共作。Fraserのベースが良き

Fraser作の“Follow Me”はBluesyなんだけど仕上がりはピアノも入ってPopな感じで意表を突いてくるが、良くも悪くもSnipsのVocalは英国印の鈍色Blues Singer風

Snip作“Ol' Jelly Roll”もピアノで始まりSnipsのVocalが迫力たっぷりに歌い上げる。この辺は大好きなFamilyRoger Chapmanを彷彿とさせる。

Fraser作の“Brown-eyed Boy”もPopなんだけど、Snipsのダミ声Vocalが、なんとも英国的で、時にFreeを思わせる部分も出てくる。

Snips作の“Snakes And Swallowtails”。SpeddingのSlide Guitarがイイ味を出している。Snipsは中々渋い曲を書いて健闘していると思う。

Driving Sideways”もピアノ入りのBlues RockでSpeddingのBluesyなギターも良きピアノ・ソロも登場しする。

Acoustic Guitarで始まる男泣きBalladSteal Away”。やっぱり、こういうギターを弾かせたらSpeddingは絶品だしタメのきいたリズム隊もご機嫌。アルバムで一番好きな曲。Snipsの作品。

Fraser作“Doctor Love”もド渋な英国の香り漂うナンバー。Speddingのギター・ソロもイイ感じで、バックのリズム隊も良いっすなあ

ピアノで始まるBroke A Feeling”はSpedding、SnipsにMarty Simonの共作。Rock 'n RollなピアノにSnipsのしわがれ声がバッチリ。こういう曲はSnipsのVocalが本領発揮

Ol' Jelly Roll/Sharks

(Hit-C Fiore)