SadaneのDebut Albumとなる本作との出会いはバイト先の社長に連れられて行ったSoul Barで聴かされた時のことであった。社長曰く「女の子とデートする時は車の中で、こういう音楽をかけるんだ。」とのことであった。Punk上がりでPaul Weller兄貴の影響を受けてSoulやFunk、Jazz、Latin音楽、R&Bを背伸びして聴いてはいたが、この手の音楽にはまだ出会っていなかった。Georgia州はSavannah生まれのSadaneことMarcus Sadaneは70年代にDesignerを目指してNew Yorkにやって来た。元々、地元の教会で歌っていたSadaneはTungsten SteeleなるGroupのLead Vocalとして音楽活動を始めてClubで歌い頭角を現しソロとして本格的にNew YorkのSceneに参入していくことになる。Phyllis HymanやStephanie Millsらと親しくなり、MillsのTourにも同行するようになったSadaneは、当時HymanやMillsJamesを手掛けていたJames MtumeとReggie Lucasという、70年代後半から80年代前半にかけて、当時波に乗っていた黄金コンビと出会って、本作を世に出した。これがMillsに負けず劣らずの洗練されたPhilly SoulをElectric Funkな方向に推し進めた名作に仕上がっている。MtumeとReggie Lucasに加えて、Hubert Eaves IIIやTawatha Agee、Howard King、Ed "Tree" Moore、Basil FearringtonといったFunk Group Mtumeの人員がバックを務めているのだから心地良すぎる極上の演奏陣は申し分なし。この時期に彼らが関わった作品のQualityの高さは数々の名作を世に出している。自分が所謂Mtume Familyを追いかけるようになり、この手の歌モノを聴きだすようになったキッカケとなったアルバムでもある。Sadaneは、翌82年にも、Marc Sadane名義で2人のProduceでMtumeのメンバーが参加したアルバム『Exciting』をリリースしている。こちらも中々の出来だが、残念ながら、現時点でSadaneの最後のアルバムとなっている。
『One-Way Love Affair』はSadaneが81年にWarner Bros. Recordsからリリースしたアルバム。
アルバム1発目はMtumeとReggie Lucas作のタイトル曲“One-Way Love Affair”。優しく寄り添うStringsに大好きなTawathaが主導する魅惑の女性ChorusがSadaneのVocalとSoulfulに絡む極上のMidium。
後にThe Strangersを結成するHoward King、Ed "Tree" Mooreのコンビによる“You're The One For Me”。これまた極上のTawathaのChorusと絡むSadaneのSoulfulな歌いっぷりが最高。
再びMtumeとReggie Lucas作の“The Fool In Me”。Sadaneの抜群のリズム感が発揮された心地良すぎる4つ打ちDancer。
続いても同コンビ作“Never Gonna Stop This Heart Of Mine”は切ない泣きのMidium。
66年のFour Topsのヒット曲“Standing In The Shadows Of Love”のCoverもSadaneのキレキレでSoulfulなVocalが素晴らしい。
“Sit Up”はMtumeとLucasにBasil Fearrington作のUrban Funk。キレの良いHorn隊とChorus隊と絡むSadaneが良い。
高揚感に満ち溢れた“Girl Come On (Let's Get It On)”。Sharpなギターのカッティングと官能的な女性Chorusに抜群のノリで対応するSadaneが良い。ここから3曲続けてMtumeとReggie Lucas作が続く。
“Love Can't Wait”はSadaneがじっくり歌い上げていくBallad。
Sadaneが軽やかにStepを踏むように歌い上げるDancer“Midnight Love Dance”。
アルバム最後をシメるのはTawathaとHubert Eaves III作の“Make Up Your Mind”。Slap BassとSynthesizerが心地良すぎ。勿論、TawathaのChorusは最高。
(Hit-C Fiore)