Ellisというバンド名からわかるように、60年代後半にLondonを拠点として活躍したThe Love AffairのVocalistだったSteve Ellisが主導となって70年代前半に結成された英国のRock Group。活動時期は短く、数年ぐらいだったと思われるが、高揚感に満ち溢れた “Everlasting Love”などのヒット曲を飛ばしたThe Love AffairでSoulfulなVocalを披露していたSteve Ellisを中心に集まったメンバーが中々のメンツである。鍵盤にZoot Money、ベースには元Fat Mattress~Juicy Lucyで後にHemlockやSavoy Brown、Caravanといった名GroupやRory Gallagher、Steve Marriott、Ronnie Laneとの活動で知られる燻銀の名手Jim Leverton、ギターにはPeter Bardensのバンドにいたドイツ生まれのAndy Gee、ドラムスにはEire ApparentのDavid Luttonといった中々渋好みの腕利きが集結している。元々はCBSと契約したSteveのソロ・アルバムとして制作が始まったものだったらしいが、それがバンドに発展したらしい。そしてProduceはSteveの友人であったThe WhoのRoger Daltrey。ジャケットからも伝わってくる男くさくEarthyで派手さの欠片もない激渋な感じが彼らの音楽の雰囲気を伝えてくれている。60年代後半から70年代にかけて米国南部のSawmp Rockが台頭し、これに英国からも呼応して一つの流れが出来上がった時期に次々と傑作が産み落とされていくタイミングにバッチリ照準が合った作品。しかし、残念ではあるが商業的には今一つであったのだろう。そうはいってもアルバムの中身は決して悪くない。確かに派手さや強烈な個性はないかもしれないが、SteveやZootらが中心となった楽曲も悪くないし、SteveのSoulfulな歌いっぷりは流石である。ただ、バンドのインプロなど演奏面よりは、あくまでもSteveのVocalが前面に出たところがバンドというよりはソロ・アルバムという感じではある。
『Riding On The Crest Of A Slump』はEllisがEpicから72年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はZoot MoneyとColin Allen作の“Good To Be Alive”。アコギがジャンジャカ鳴らされて、いきなりSwamp魂全開でしわがれたSteveのSoulfulなVocalがイイ感じ。
Steve Ellis作の“El Doomo”。イントロのギターからBritishな泣きが炸裂。Steveの哀感漂うVocalが沁みますなあ。ここでもアコギの使い方が絶品。
Jim Leverton作の“You're The Only Reason”はこれまた米国南部に微かに漂う英国の香りがたまらない英国の中の亜米利加。泥くさく歌いあげていくSteveのVocalが実に味わい深い。
優美なAcoustic Gutarで始まるSteve Ellis作の“Tune For Brownie”。LyricalなアコギのEnsembleにのってSteveの魂のこもった歌いっぷりが素晴らしい珠玉のBallad。
イントロのZoot Moneyのピアノがご機嫌な“Your Game”。SoulfulなSteveのVocalが炸裂するこれぞBrisish Swampなナンバー。
Zoot Money作の“Three Times Corner”はZootの流麗なピアノをバックにSteveの熱い歌いっぷりが冴えわたるBallad。
“Morning Paper”は躍動感に満ち溢れたナンバー。力強いベースと唸りを上げるギター、跳ねまわるピアノがご機嫌である。
アコギがジャンジャカかき鳴らされて始まるAnde GeeとSteveの共作“Wish I Was Back Home”。Chorusもバッチリで、楽しそうにメンバーが盛り上がっていくのがご機嫌。Zoot MoneyのFunkyなピアノと低音でウネるLevertonのベースが良いっすなあ。
アルバム最後を飾るのはZoot作“Angela”。イントロのギターのRiffとFunkyなHammondが激カッコイイ。アルバムで一番好きな曲。
(Hit-C Fiore)