Svante ThuressonはSweden出身のJazz Singer。Stockholmで生まれVasastadenで育ち、 Drummerとして、その音楽キャリアをスタートさせている。63年にVocal Group Gals and PalsのメンバーとなりMusic Festivalやテレビ出演するなど活躍してEurovision Song Contest 1966ではLill Lindforsと共にSweden代表として出場して“Nygammal Vals(New, Old-Fashioned Waltz)”を歌い第2位となって一躍、その名を知らしめた。Thuressonは、ジャンルにとらわれず活動し、60年代後半からソロ・アルバムも数多くリリースしている。Comedy番組にもVoice-Overとして出演して、その声を親しまれる存在となっている。またProucerとしても活躍し、78年にはCornelis Vreeswijksの『Narrgnistor 2』をProduceしている。80年代後半に入ると、さままざまなJazz Quartetに参加してTourを重ね、93年には自身のSvante Thuresson QuartetでLive Album『The Svante Thuresson Quartet Live』をリリースして渋い歌声を披露している。アルバム数が多く、Jazz Vocalを期待していると、まったく別物のアルバムに出会ってしまうこともあるが、Thuresson自身はJazzを深く愛し、Jazz Singerとして確かな実力を持ち合わせている。80年代前半にリリースされた本作ではJazzのStandardに加えて、なんとStevie WonderやJohn Lennon、Elton JohnらのCoverが収録されており、Popularな歌モノかと一瞬不安になったが、内容はThuressonの渋い歌声を生かした小粋なJazz VocalとSwingyな演奏が楽しめるアルバムに仕上がっている。John LennonやElton Johnの曲をJazzyに仕上げるセンスは抜群で、Tenor Sax/Flute/Soprano Saxで参加しているHector Bingertをはじめ、ベースにはEGBAのTeddy WalterにPolandの名手Bronisław Suchanek、ドラムスにオランダのJohan Dielemans、SpainのJosé Luis Perez、ピアノのOve LundinとBo Skubaといった演奏陣の充実ぶりも素晴らしい。
『Just In Time』はSvante Thuressonが82年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はMiles DavisがJazzのStandardにした Frank LoesserがMusical『Guys and Dolls』のために作曲した“If I Were A Bell”。
“Smile Again”はThe Manhattan Transferが81年にリリースしたBallad。Earth, Wind & Fireの“After The Love Is Gone”の使い回しのような曲だが、Thuressonの抑え気味の歌唱に寄り添うようなHector BingertのTenor Saxソロがが素晴らしい。
Stevie Wonderの74年リリースの『Fulfillingness' First Finale』に収録されている“Bird Of Beauty”。Wonder節が冴えるLatin調の大好きな曲を、ThuressonはSambaのRhythmにのって涼し気に歌い、ここでもHector BingertのSaxがご機嫌である。
John Lennonの“Imagine”はフォービート仕様で最初Bronisław SuchanekのベースのみをバックにThuressonが歌い出す。バンドの演奏が始まるとご機嫌な指パッチン。Hector BingertのSoprano Saxも良し。
Sarah Vaughanの名唱で知られるStandard“On A Clear Day”は激渋Swingyに Thuressonが歌い上げる。
“Time After Time”もSarah Vaughanが歌ったStandardでThuressonがしっとり歌い上げる。
Elton Johnの“Goodbye Yellow Brick Road”はアルバムで一番お気に入りのご機嫌な指パッチンJazzに仕上げて、Hector BingertのFluteも軽やかに舞う。Ove Lundinのピアノも良き。
John Lennonの“Woman”はゆったりしたフォービートにHector BingertのTenorが咽び泣く。Bo Skubaのピアノの優美な指さばきに酔いしれる。
Stevie Wonderの80年のアルバム『Hotter Than July』から名曲中の名曲“Rocket Love”。Latin調に仕上げてご機嫌な歌と演奏にウットリ。
最後をシメるのは軽やかにSwingする“Just In Time”。
(Hit-C Fiore)