Frenzy/Split Enz | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Split Enzは実に奥が深いバンドで、自分は最初、大好きなNeil Finnが加入以降にリリースされたアルバムしか知らなかったのだけれど、遡って初期のアルバムも聴いてみたら、贔屓筋のPhil ManzaneraがProduceした『Second Thoughts』やDebut Album『Mental Notes』の個性的で、捻くれた奇妙奇天烈、摩訶不思議な世界にすっかり魅了されて、気が付いたら結局殆どの作品を集めることになってしまった。初期は、リーダーであるTim Finnの才能もさることながら、ギターとVocalを担当するPhil JuddのEccentricな個性も、たまらなく光っている。そんなこともあってSplit Enzを脱退してしまうPhil Juddのその後の作品も追いかけることになったのであった。ところで77年にリリースされた、Phil Juddが脱退しNeilが加入した最初のアルバム『Dizrythmia』は当然ながらTim Finn色の強いアルバムとなったが、同時期のXTCSqueezeあたりとも共鳴する捻じれたPop感覚が強まり、The Beatlesとの仕事で知られるGeoff Emerickとバンドの共同Produceで個人的にはグッとくる作品となった。しかし、まだNeilはSongwritingに参加していない。続く79年リリースの本作『Frenzy』でもNeilは2曲しか楽曲に関与していない。それでも、このアルバムは自分にとって想い出深い作品である。明らかにNeilが持ち込んだPunk/New Wave以降Edgeの立ったギター・サウンドElectro Popな音作りにTim FinnらしいStranegeで優美なMeldy感覚が生み出す捻じれたPopの玉手箱のような作風が当時のPunk上がりの自分にとってツボど真ん中であったのだ。確かに試行錯誤暗中模索な部分もなきにしもあらずではあるが、それも含めてEddie Raynerの鍵盤やMalcolm Greenのドラムス、Noel CrombieのPercussionにお気に入りのNigel Griggsのベースも的を得た演奏で前に進もうとするバンドの気運を盛り上げているのが素晴らしい。

 

 『Frenzy』はSplit Enzが79年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はNeilの弾くPunkishなギターから自始まる“I See Red”。性急なBeatにのってEddie RaynerCheapなOrgan調子っぱずれのピアノNew Waveな香りをふりまく。Neilのギター・ソロも良き。

TimとNeilのFinn兄弟共作で、NeilがLead Vocalを担当しているGive It A Whirl

Master Plan”はTim FinnらしいPopで摩訶不思議な世界が展開されている。

Famous People”は60年代Oldies風な中にEddie Raynerのピアノがイイ味出している。後半のNeilのギターもカッコイイ。

Hermit McDermitt”はNigel Griggsのベースがカッコイイ。

Stuff And Nonsense”はピアノの弾き語り風で始まるチョイGenesisを思わせる抒情的な曲

Punk/New Waveを通過したElectro PopなRayner作“Marooned”。

タイトル曲“Frenzy”はイントロからご機嫌で彼ららしいStrangeなPop風味が楽しめる。

イイ感じのアコギで始まる“The Roughest Toughest Game in the World”もTim Finnの優美なMelodyと捻りのある曲作りがツボな大好きなナンバー。

She Got Body She Got Soul”もどこか60年代風のShuffleで迫るNostalgicなナンバー。Chorusもキマっている

アコギで始まるBetty”は同時期の10ccを思わせる魅力的なMelodyと捻りをきかせたArrangeがイイ感じ。

Abu Dhabi”はタイトル通り異国情緒漂うHard Rock風味のSguffle

アルバム最後をシメるのはHeavyでEdgeの立ったギターとTimのStrangeなMelodyが共存した“Mind Over Matter”。

(Hit-C Fiore)