Banda do Solは80年代前半にアルバム1枚をSom Do SolなるLabelからリリース(彼らのアルバムしかリリースしていないから、おそらく自主制作であろう)して消滅してしまったGroupであるが、このたった1枚のアルバムの出来が素晴らしい。アルバムのジャケットには3人のメンバーが写っているが、とても3人だけで制作したとは思えない多彩で奥行きのある芳醇な香り漂うサウンドである。映像を喚起させるといったらよいのだろうか、Brasilの所謂Minas系の音楽にも通じる優美で心地良い極上のMelodyを繊細でGentleなVocalが語りかけるように歌い上げ、バックの演奏も決して派手ではないし、超絶技巧で驚かせてくれるわけでもないが、絶妙にVocalに寄り添い盛り上げ、緩急自在に躍動し、生命感に漲っている。Banda do SolはVocalとギター、ViolaのMoacir Jr.ことMoacir De Souza Júnior、ギターとベース、ViolaのMarco De Luca、ドラムスのFábio Fernandesという3人組で、Debut Albumにして唯一のアルバムとなる本作には多数のGuest Musicianが参加している。あまりにも地味過ぎるジャケットが残念であるが中身は最高、どうしてアルバム1枚で消滅してしまったのか謎が残るQualityの高さである。すると、2010年代に入って創設MemberのMoacir Jr.とFábio Fernandesにギターとベース、鍵盤に新たなメンバーを加えて再結成し、Yesなどへの参加で知られるMulti-InstrumentalistのBilly SherwoodをGuest(2曲のみ)に迎えるなどして、2nd Albumを2010年に突如リリースしているのである。これもまた彼ららしい甘美なMelodyに抒情性が増した南米らしい傑作に仕上がっている。それにしても本日ご紹介する1st Albumは素晴らしい。主な楽曲を手掛けるMoacir Jr.と、よりProgressiveな志向性を持ったMarco De Lucaという2人のSongwriterの才能に満ち溢れているアルバムである。
『Banda do Sol』はBanda do Solが82年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“Pra Você Chegar”。優美で心地良いMelodyを歌い上げるGentleなVocalが素晴らしい。
“Colheita”もLyricismに満ちた泣きのMelodyがグッとくるナンバー。この曲もFalsettoをまじえてGentleな歌声で歌い上げるVocalは絶品である。ここでもバッキングに徹しながらもギターが短い泣きのソロも含めてイイ味を出している。
“Princesa”は心ウキウキのUp Tempoのナンバーで、これまた優しく語りかけるようなVocalが魅力的なMelodyを歌い上げている。
“Sinal Da Liberdade”はTwelve Strings GuitarのArpeggioによる幻想的なイントロから始まり、甘美で適度に泣きの入ったMelodyがここでも抜群で、ギターのArpeggioなどにGenesisの影響も感じられるが歌メロは完全にBrasilらしさに満ちている。
“Golfo Pérsico”はイントロがどこかで聴いたことがありそうな感じであるが、歌メロはやっぱり抜群。
B面はMarco De Luca作の“Muito Além”で始まる。疾走感に満ちたリズム隊にのって技巧的なギターが披露され、透明感に満ちたGentleなVocalが登場するとホッとする。緩急をつけた、これまでと違い捻りのある楽曲構成が面白い。
“Prana”も甘美なMelodyに酔いしれてしまうナンバー。
アルバム最後をシメるのは“Coração Planeta”。BrasilらしいAcoustic GuitarのArpeggioをバックに男女のScatが飛び出し、なぜか長いドラム・ソロが始まる。すると幻想的なArpeggioが登場し、ギターとベースのUnison、最初のScatに戻り、作者のMarcoのVocal、Fluteソロ、Vocalに戻って大団円。
(Hit-C Fiore)