Voyagerは70年代後半のPunk~New Waveの嵐が吹き荒れた英国から登場したRock Group。まあ、なんといっても、このジャケットを見たら中古レコード屋さんですかさず手を出してしまったのも無理もない。予想通りHipgnosisが手掛けた、この奇妙で小洒落たジャケットは、その当時の英国でまだ頑張っていた10ccやSailor、City Boy、Pilot、Sad Caféといった連中がやっていた一筋縄ではいかない捻じ曲がった極上のPopな音楽性を物語るものであった。Berkshire州はNewburyで結成されたVoyagerは、当初The Paul French Connectionとして誕生したGroupであった。すなわち、71年にNeonから唯一のアルバムをリリースしたTonton Macouteの鍵盤奏者Paul FrenchがLeaderとなり結成したRock Bandであったのだ。そうなると、当然Tonton Macouteの流れを汲んだ英国的なJazz Rock路線だと思ってしまうが、そこはジャケット同様に英国的なWitと小洒落た感覚に満ちたPopな音楽性を前面に出したものだった。メンバーはFrenchが鍵盤とLead Vocal、ギターと鍵盤のPaul Hirsh、ベースのChris Hook、ドラムスのJohn Marterという4人編成。79年にリリースしたDebut Single“Halfway Hotel”は、そこそこヒットしたようだ。1st Albumのタイトルとなった、この曲のみの一発屋として語れることが多いVoyagerであるが、Elton Johnを手掛けたGus DudgeonがProduceを担当したアルバムは、演奏力もそこそこあるし、決して悪い出来ではない。PilotほどPopに徹しきれず、City Boyのような捻りは少々足りない、結果として中途半端な出来になってしまっているのは残念である。個人的にはAlan Bownが活動休止中の2000~2001年にStatus Quoで鍵盤とギターを担当、Francis RossiのLiveや2017年のAcoustic Cocertにも参加しているギターのHirshが中々イイ感じである。
『Halfway Hotel』はVoyagerが79年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目は“Judas”。この時代多かったピアノのChordを8分音符で連打するPopなイントロからChorusをFeatureしてCompactにまとめたナンバーはTon Ton Macouteの面影なし。FrenchのVocalは少々クセがあるが、それが味になっている。
“E.S.P.”は甘美なイントロで始まり、Frenchはエレピを弾きながらFalsettoをまじえて絶品のVocalを聴かせてくれる。アルバムで一番好きなBlue-Eyed Soulなナンバー。Chorusも素晴らしい。アルバムでピカイチのナンバー。
“Standing Still”はギターのイントロから始まりClavinetがイイ感じのMidium。ここでもChorusが頑張っていたり、途中でMonologueが入ったり単なるPopなRockで終わらない感じが良い。
FrenchとベースのHookの共作“4-2-4 Or 4-4-2?”はFrenchの情感のこもったピアノ弾き語り風なBalladに展開するが、やはり一筋縄ではいかない。
“Straight Actors”はご機嫌なピアノで始まる仄かにBluesyな香り漂うShuffle。ピアノ・ソロはさすが元Tonton Macouteといった感じ。
“Total Amnesia”は小洒落たChorusが結構凝っているノリの良いPiano Rock。
上述のヒット曲となったタイトル曲“Halfway Hotel”。
“Captain Remus”はピアノ弾き語りで始まり、ジワジワ盛り上がっていく佳曲。Synthesizerのソロは中々聴かせる。
アルバム最後をシメるのは“I Love It”はFrench、Hirsh、Hook共作のBritish Pop感に満ちたナンバー。
◎Total Amnesia/Voyager
(Hit-C Fiore)
