Simply Otis Waygood/The Otis Waygood Blues Band | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 英国60年代後半にBluesがBoomとなって数多くのBlues Rock Bandが生まれていったように、世界各国でも同時期にBluesに夢中になった若者たちが星の数ほどのバンドを結成することになる。英国ではCream、そして3大Blues Bandと称されたFleetwood MacChicken ShackSavoy Brownといった連中が中心となって、やがて英国人ならではのIdentityも持ち合わせながら多種多様な要素を自分たちなりにBluesと融合させ、昇華させた方向性を志向したFreeGroundhogsKeef Hartley Bandといった連中も加わっていく。それはBluesを基盤としながらも、単なる本場Bluesの物真似に終わることなく、自分たちなりに新たな可能性を追求し果敢に挑戦していった結果、彼らならではの独自性を確立していく事になる。ここにBritish Blues Rock Bandの面白さがあるわけで、本場Bluesの楽しみ方とはまた別のもので、それを「本物の物真似で本物を越えることは出来ない」などと比べること自体が大きな間違いである。そして英国以外の国でもBluesをRootsにしながらも各国の置かれたさまざまな音楽状況を反映したかのように、その国ならではの個性を発揮し脱Bluesへと向かう音楽性を持った連中が出たきたのであった。さてSouth Africaから登場したBlues Rock Band The Otis Waygood Blues Bandは、60年代末にその母体が結成されている。かつてはRhodesiaと呼ばれたZimbabweBulawayoでVocal、ギター、管楽器担当のRobert ZipperとベースのAlan Zipperを中心に結成されている。その2人にギターのLeigh Sagar、ドラムスのIvor Rubenstein、Flute奏者のMartin Jacksonの3人を加えた5人組としてEMIとRecording契約を結び、70年にDebut Album『The Otis Waygood Blues Band』をリリースしている。彼らはSouth AfricaのTop Bandにまで登りつめ、欧州を中心にTourを重ね人気を得てアルバムを3枚リリースしている。

 

 『Simply Otis Waygood』はThe Otis Waygood Blues Band71年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“In The Sun”。重々しいイントロから始まるも浮遊感を漂わせるFluteが曲自体が持つDarkな雰囲気と共にPsychedelicな香りをふりまき、翳りのある独特の酩酊感を生みだしている。

Feelin' The Good”は気怠いVocalAcoustic GuitarがHornを中心にした摩訶不思議なRiffと共に何とも言えないDopeで心地良い雰囲気を醸し出している。

Feel It In Me”もタメのきいたリズム隊Laid BackしたBluesyなVocalがのる。女性Chorus鍵盤も加わり、これまた意外と気持ち良い。ギター・ソロの絡み合いもイイ感じで、South AfricaらしいマッタリDreamyな雰囲気も面白い。

Bluesyでご機嫌なギターのRiffで始まる“No Time People”。Blues Harpがイイ感じで、気怠いBoogieをかましたかと思えば、リズム・チェンジして軽快にBeatを刻んでいく。

タメがきいたFunkyなノリがイイ感じの“In Alan's Car”。Funkyにウネるベースが心地良く、このままいくかと思いきや、ギターとSaxが絡み合いつつ、BeatがTempo Upするとギター・ソロが炸裂したりするのが面白い。

疾走感に溢れるThe Messenger”はギターが咽び泣きダミ声VocalがWildに歌い上げる。ここでも浮遊するFluteソロが素晴らしい。バタバタしたリズム隊はご愛嬌。

最後をシメるのは、この時代らしいTraditional SpiritualSometimes I Feel Like A Motherless Child”。Acoustic Guitarの弾き語りにFluteが絡んでくるところが良い。

(Hit-C Fiore)