Mezclalina/Tabletom | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 TabletomはSpain南部Sarasen文化の香りが漂うAndalucía州Malagaから登場したRock Bandで70年代に結成されていたようだ。JazzBluesをベースに地元に伝わる伝統的なFolkを融合させた個性的な音楽はいかにもAndalucíaらしい異国情緒が漂い情熱的ながらも土くさく生命感に満ちた朴訥とした味わいが感じられる。個性的な音楽を生みだしている。地中海と大西洋を繋ぎ欧州とAfrica大陸を隔てるGibraltar海峡を南に望むAndalucíaの地からは、TrianaやGranadaやCai、Imán、Alameda、Vega、Guadalquivir、Medina AzaharaといったRock andaluzと呼ばれる潮流を生みだしたGroupが70年代を頂点として次々と誕生していった。Trianaに代表される彼らの特徴は、彼の地特有のFlamencoを取り入れ、ギターは勿論、Emotionalで哀感漂うVocal独特のリズム隊Symphonicな鍵盤楽器を組み合わせたExoticな魅力に満ちた世界であり、一度ハマると抜け出せない魅力に満ちていた。Tabletomもまた、そういったRock andaluzの流れで語られるGroupではあるが、1stアルバムである本作の発表が80年代に入ってからということもあって、既にそのMovementは収束の一途をたどる時期であったのが不運であった。VocalとギターのRoberto González、ベースとViolinのJesús Ortiz、ギターのPedro Ramírez、FluteのJose Manuel Ramírez、ドラムスのSalvador ZuritaにSax奏者のJavier DenisというメンツでRicardo PachónのProduceによりRCAからリリースされた本作は、それでも隠れたRock andaluzの傑作といえるだろう。この1枚で契約が切れたが、彼らはその後も独自のLabelを立ち上げるなどしてGonzálezとPedroとJose ManuelのRamírez兄弟を中心に作品を作り続けてきた。残念ながらGonzálezは2011年にこの世を去ってしまったが、まだ活動を続けているようだ。

 

 『Mezclalina』はTabletom80年RCAからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Tipos Duros (En Memoria De Piyayo)”。幻想的なFluteの響きに導かれて始まり、ゆったりしたリズムにのってギターやSaxが絡みベースがウネりピアノやFluteのソロが次々に繰り出されるJazz Rockに展開されるが、手拍子野卑なVocalが加わり何ともSpainらしい風情が味わえる。

Ininteligible”もFluteが虚空を舞いJosé Javier DenisがBlowするSaxが加わってベースのRiffが主導するMinimal浮遊感漂うJazz Rockへと展開する。するとギターがRiffを刻み、ここでも野卑なVocalが登場し、ドタバタしたヤサグレ感漂うRockなノリになるのが面白い。かと思えばギターのArpeggioが始まり再び幻想的な曲想に戻るところがらしいといえばらしいところ。

Fluteが軽やかに舞うFunkyなタイトル曲Mezclalina”。Tempoを落としたリズム隊にのったSaxソロもイイ感じなんだけど、ここでも、またオッサンVocalが登場。コレが彼らの味なんだろう。すると突然、鋭いギターのRiffが始まり、7拍子のJazz Rock的な展開に。スリリングなギター・ソロも飛び出し、まあ、わけわからんけど、このごった煮感がSpain風であったりして楽しめてしまうのである。

民族音楽風のイントロから始まる“Zero-Zero”。ここでもFluteが主導して夢見心地の12/16拍子にのってSaxソロが心地良い。一瞬、Pastralな雰囲気も感じさせるが超絶のギターのバッキングや低音でウネるベースがJazz Rockへと展開するのが面白い。

アルバム最後をシメるのは抒情的なギターのArpeggioで始まる“La Guerra (Contra La Guerra)”。FluteとSaxのEnsembleが心地良いところに、また突然ギターがHeavyなRiffを弾いてRockな展開が始まる。この辺のB級くささがクセになるところである。

(Hit-C Fiore)