Chaos UKを初めて聴いた時の衝撃といったらなかった。鼻たれ小僧の十代のPunkかぶれが一発でぶちのめされてしまった。PistolsやThe Dammed、The ClashやThe Jamの衝撃には及ばないかもしれないが、その後のLondon Punk勢は一気に勢いを失っていき、形骸化した迫力のないバンドに出会っては失望していた自分が明日なきHardcore Punkの連中に出会って再び魂を撃ち抜かれたのだ。米国からはBlack FlagやDead Kennedys、Bad Brains、そしてStraight Edgeの先駆者のIan MacKaye率いるMinor Threatらが登場していた。Anti-Music IndustryでAnti-Rock Starを貫くIan MacKayeらの斬新でAggressiveなStyleはDischargeやGBHらを除いた英国の軟な見た目だけPunk気取りの連中を遥かに凌駕していたのだから、自分は急激に米国のHardcore Punkの虜になっていたのであった。そんな自分にとって、ふとしたきっかけで耳にしたChaos UKの音は衝撃以外の何物でもなかった。BristolのPunk Band Vice Squadのメンバーらが設立したRiot City Recordsからリリースされた彼らのEPやLPを聴くたびに、あの頃のことを思い出さずにはいられない。そのSpeed感や破壊力は当時の自分にとって英国のPunkだってまだまだ捨てたもんじゃないぞと思わせてくれたものである。ベースのChaosことAdrian Rice、ギターのAndy Farrierらを中心にBristolで結成されたChaos UKはVocalのSimon GreenhamにドラムスにRichard Pottsを加えて活動を開始、VocalをChaosが担当しベースをNigeが弾くDebut Album『Chaos UK』を83年にリリース、本作は、それに続く2nd Albumで、85年にリリースされた。VocalにMower、ギターのGobba、ドラムスのChuckが新たに加わりChaosはベースを弾いている。
『Short Sharp Shock』はChaos U.K が84年にリリースした2作目のフル・アルバム。
アルバム1発目は“Lawless Britain”。いきなり意表をついて民族音楽のようなのが流れた後に強烈にキメ倒す剛腕ぶりに痺れる。
“Living In Fear”はNoisyなギターが空を切り裂き、Primitiveなドラムスと吼えまくるVocalに圧倒される。
“Detention Centre”も狂い咲くギターと野蛮に叩きまくるドラムスに吐き捨てるようなVocalが最高。
猛SpeedでブリブリかますベースとドラムスをバックにNoiseまみれのギターとShoutするVocalがド迫力の“Support”。
イントロの疾走するベースからドラムスが加わるところが激カッコイイ“Control”。NoiseまみれでひたすらRiffをぶちかますギターも最高である。
“People At The Top”もChaosのベースがバンドを引っ張る。しかし、ドラムスのChuckは疲れというものを知らないのか、恐るべしパワーとスタミナである。
B面の“Global Domination”は、いきなりErik Satieの“Gymnopédies”のピアノが流れて、なんじゃこりゃと思いきや、圧倒的な熱量と破壊力に満ちた彼ららしい演奏が始まる。
“No One Seems To Really Care”も向こう見ずにひたすら突っ走るリズム隊にのって凶暴なギターが唸りを上げる。
アルバム最後をシメるのは“Farmyard Stomp (Again)”。野郎のがなり声や鶏のコケコッコーや山羊さんの鳴き声も登場するSEをバックにChaosのベースが真っすぐ突き進み、愚直なまでに男気を貫き通していく。
(Hit-C Fiore)