Lindisfarneの初期のアルバムを聴いていると、灰色の曇り空の下に広がるNewcastleの街並みが思い浮かんでくる。71年に公開されたMike Hodges監督、Michael Caine主演の映画『Get Carter(邦題:狙撃者』に登場するような工業都市の街並みと駅や港、そこに暮らす人々。まるでTime Slipしたかのような70年代の英国、そこはまだPunkの嵐が吹き荒れる前の古き良き英国の朴訥とした日常。Lindisfarneは60年代後半に英国北東部のNewcastle upon Tyneで結成されたFolk Rock Bandである。元々はNorth EastのFolk Clubで演奏していたBrethrenと名乗っていたバンドが母体となっている。ベース、ViolinのRod ClementsにVocal、ギター、鍵盤のAlan Hull、Mandolin, HarmonicaのRay Jackson、ギター、Mandolin, BanjoのSimon Cowe、そしてドラムスのRay LaidlawというのがOriginalのLine-UpでNorthumberland沖の小さな島Lindisfarneがバンド名の由来である。Charismaと契約した彼らは、John AnthonyをProducerに迎えてDebut Albumとなる本作を70年にリリースする。素朴で、どこか垢抜けないけれど、親しみやすく、思わず一緒に歌いたくなってしまうところが彼らの魅力である。それでいてAlan Hullの曲に顕著な、英国らしい翳りと憂いを感じさせるところが最高だ。Songwriterとして才能を感じさせるのはAlanだけでなく、後にBert JanschとつるむRod Clementsも中々魅力的な曲を書いている。とにかく、デビュー作にして楽曲の粒がそろっている。味わい深いVocalとChorusもバッチリで、Live Bandとしても定評があったらしい。70年代に来日公演も行ったそうで、観れた人が本当に羨ましい。翌71年リリースの次作『Fog On The Tyne』も素晴らしい出来で、続く3rdアルバム『Dingly Dell』を最後に残念ながら、この才能あふれるMusicianが集まったバンドは分裂してしまう。
『Nicely Out Of Tune』はLindisfarneが70年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目は“Lady Eleanor”。イントロのAcoustic GuitarとOrganから雰囲気タップリ。Alan Hullの作詞作曲によるくすんだサウンドと英国らしい抒情的なサビが印象的なナンバー。
Rod Clements作の“Road To Kingdom Come”はViolinが入った英国らしい素朴でPopなRock and Roll。
“Winter Song”はAlan Hull作の3拍子のLyricalなナンバー。Acoustic Guitarがイイ感じ。切々と歌い上げるVocalも沁みますなあ。
大好きなScotland生まれのsinger-songwriter Rab Noakes作の“Turn A Deaf Ear”。じわじわ盛り上がっていくスルメ味の名曲。
A Cappellaで始まる“Clear White Light - Part 2”はバッチリ息の合ったChorusが素晴らしいAlan Hull作のご機嫌なナンバー。
B面はがなり声で歌われるけれどMelodyが素晴らしいFolk Rock“We Can Swing Together”で始まる。ここから3曲続けてAlan作が続く。Hramonicaが実にイイ味を出している。
“Alan In The River With Flowers”もChorusがバッチリでアコギの伴奏も素晴らしい。
陽気に盛り上がる“Down”。タイトルとは真逆に楽しそうな歌と演奏が良い。
“The Things I Should Have Said”はRod Clements作。気怠いげなVocalが粘り腰のリズム隊にのってチョイBeatlesっぽい雰囲気もあり。
Woody Guthrieの“Jackhammer Blues”。原曲に忠実にアコギをジャンジャカでCoverしていれうのが微笑ましい。HarmonicaとViolinも良し。
最後をシメるのはAlan Hull作“Scarecrow Song”。英国らしい翳りを帯びたFolk Rock。.ピアノがイイ感じでバックのリズム隊もドッシリして気持ち良し。
◎Lady Eleanor/Lindisfarne
(Hit-C Fiore)