とうとう今年はLiveにもスポーツ観戦にも1回も出かけることなく過ぎてしまった。それは自分が決めたことだから悔いはない。まあ、とにかく今年も仕事漬けであったのと、ひたすら家で身体を鍛え、本を読み、映画を観て、草木を愛し、季節の花に戯れ、食事を作って、楽器を弾き、珈琲を飲み、曲を書き、シャワーを浴びて、絵を描いて、昼寝して、文章を書いたのだった。不思議なもので、仕事関係で人と会ったりすることはあったのだが、引きこもりともいえるこの生活がひどく充実したものと感じられるようになってしまった。とはいっても住んでいる街のCommunityとは買い物や食事、行事など繋がりは続き、徐々に雪解けしていくがごとく、自制はしつつもその充実した自己鍛錬ともいうべき生活が少しずつ外へと向かい始めつつある今日この頃。
そういえば、久しぶりに音楽理論の本などを読んだりしたのだった。自分にとって理論というのは、保険のようなものであって、作曲する時も楽器を弾く時も出来る限り理論から離れて、感性のみで心地良さを追求していくようにしている。とはいえ心地良さからClicheに陥らないよう、楽器を弾いて手癖にならないように自由に創造性を発揮しながら理論は後付けで機能する。理論はあれば便利であるが、まるで理論を知らないかのように作曲して演奏するのが理想だ。近年、Negative Harmonyという言葉を耳にすることが多かったのだが、Swissの作曲家Ernst Levyが提唱したこの理論は作曲初心者の頃、多用しがちな同主短調からの借用とは似て非なるものであったりして、Jacob Collierが盛り上げてくれたおかげで認知度が上がってきたのは興味深い。そういった理論書やYoutube動画を目にすると、やたら、転調や分数コードに凝りまくっていた学生時代を思い出して思わず懐かしくなってしまった。そういえば、あの頃も4chのMTRを手に入れて引きこもり状態になっていたのだった。でも女の子や好きなレコードや車のおかげで外に出てバイトせざるを得なくなって、そこから脱したのだった。
そして、ここ数年の内省的で自己の精神世界を深く追求していくような傾向があった音楽から、徐々に他者や外部環境を含めた開かれた世界との交流が始まるような音楽が世の中でも増えてきたような気がする1年であった。最後に、個人的にはBluegrassにハマってAcoustic Guitarを弾きまくっていた1年でもあった。
(新譜部門)
75 Live At Flagey/Philip Catherine
Reflections/Alina Bzhezhinska & HipHarpCollective
Tocam Hermeto Pascoal/Itiberê Zwarg, Coletivo Músicos Online
The Parable Of The Poet/Joel Ross
Three Sides Of One/King's X
Get On Board (The Songs Of Sonny Terry & Brownie McGhee)/Taj Mahal & Ry Cooder
Slapen Onder Een Hunebed/Catbug
It’s The Moooonriders/Moonriders
Travelers Rest/The Foreign Landers
BADモード/宇多田ヒカル
次点 Martelo/Rafael Martini
(再発&発掘部門)
Live At Planetário Da Gávea - Recorded February 1981/Hermeto Pascoal E Grupo
En Vivo Teatro Coliseo 1975/Invisible
Sinnin’ For You (The Albums 1969-1973)/Keef Hartley Band
Vlotho 1977/Release Music Orchestra
Deuce (50th Anniversary Edition)/Rory Gallagher
Natureza/Joyce With Mauricio Maestro
Front Row Center (U.S. Dates 1976-1980)/Gentle Giant
Messages From The Stars (The RAH Band Story Volume One)/RAH Band
Procura-Se Uma Virgem/Erlon Chaves
Frabjous Days (The Secret World Of Godley And Creme 1967-1969)/Godley & Creme
次点 Living Proof (Live Recordings 1976 To 1980)/Wishbone Ash
本年一年ありがとうございました。
来年が皆さまにとって良い年でありますように。
◎You Make Loving Fun/Fleetwood Mac
◎E2-E4/Manuel Göttsching & Zeitkratzer Ensemble
◎Messages From The Stars/The RAH Band
◎Time/宇多田ヒカル
◎GUILT/Joel Ross
◎Watcher/King's X
◎Waves/The Foreign Landers
◎Oude Zomers/Catbug
◎For Carrol/Alina Bzhezhinska & HipHarpCollective
◎Dance For Victor/Brussels Jazz Orchestra Featuring Philip Catherine
(Hit-C Fiore)