Jackie MooreのVocalを聴いていると、米国南部の女性が持つ生命力と力強さ、包容力のようなものが感じられるのが良い。それは、WandやShoutからJackie Mooreが60年代後半にリリースした素晴らしいSingleの数々から、70年の“Precious, Precious”などHit Singleを出して成功を収めたAtlantic時代、そしてDisco Hit“This Time Baby”でHot Dance Music/Club Play Chartで1位を獲得して一躍時の人となったClumbia時代と一貫して変わらないものである。SoulfulなShoutで伸びのある高音を聴かせた時にチョイHuskyになったり、あえてVibratoをきかせずコクのある歌声でストレートに押すところが個人的には好きである。Florida州のJacksonvilleに生まれたJackie Mooreは、遅咲きの実力派Soul/R&B Singerで、Debut Sibgle“Dear John”など上述のShoutやWandから数枚のSingleをリリースするも鳴かず飛ばず。残念ながら商業的な成功を収めることは出来ず、70年代にAtlantic Recordsと契約して、ようやく成功を手にすことになる。南部育ちらしい芳醇でコクのある歌声は、所謂イナタい魅力を持っており、それが同郷のProducer Dave Crawfordと組んで“Precious, Precious”で成功を掴み、PhiladelphiaでPhillly SoulのMaestro Bunny SiglerのもとSigmaで録音した“Sweet Charlie Baby”をHitさせると73年に同名のDebut Albumをリリースしている。75年には FloridaのKayvetteから2ndアルバム『Make Me Feel Like A Woman』をリリースしている。本作は、それに続く3作目のアルバムで心機一転で移籍したClumbiaからの1作目となる。再びPhiladelphiaの地でMFSBのギタリストでMulti-InstrumentalistでもあるBobby EliのProduceで臨んだ起死回生の作品。土の香りが漂う南部娘がPhillyの華麗で躍動感に満ちたサウンドにのせて高揚感と生命感に満ち溢れた素晴らしいアルバムを作りあげたのである。
『I'm On My Way』はJackie Mooreが79年にClumbiaからリリースしたアルバム。おなじみDon Renaldo And His Horns And Stringsを従えて、ベースにはDouble ExposureのJimmy WilliamsやAtlantic StarrのClifford Archer、ドラムスにMFSBのKeith Benson、NewbanのPorter Carroll、鍵盤にはBruce Gray、The Salsoul OrchestraのCarlton Kent、MFSBのLenny Pakula、Atlantic StarrのWayne Lewis、ギターにはBobby Eli、Atlantic StarrのDavid Lewis、The Salsoul OrchestraのDennis HarrisとTJ Tindallというメンツ。Atlantic Starrのメンバーの参加が興味深い。
アルバム1発目は上述の大Hit Number“This Time Baby”。Stringsと女性Chorus、Percussionが派手に盛り上げ、Bell & James作の哀感漂う魅惑のMelodyをJackieがパンチの効いたVocalで歌い上げている。
イントロから惹きこまれる“Joe”はAllan FelderとKenneth Gamble、Norman Harrisの共作となる極上のナンバー。Jackieの艶のあるVocalが素晴らしい。
Bobby Eli作の“Can You Tell Me Why”は、これで盛り上がらなかったらどうする?みたいな必殺のナンバー。Catchyなサビが耳に残る。
軽快で腰が動き出す“Let's Go Somewhere And Make Love”。
“I'm On My Way”は軽快なPhilly Dancer。ご機嫌なナンバー。
“How's Your Love Life Baby”はぶっといベースがウネる躍動感に満ち溢れたDiscotique。
“Wrapped Up In Your Lovin'”もSlapンペンペなDiscoなナンバーだけど華麗に舞うStringsや女性Chorusは流石Bobby Eli。
最後をシメるのは高揚感に満ち溢れた“Do Ya' Got What It Takes”。これまた引き締まったリズム隊にのって流麗なStrungsと女性Chorusが伸びやかなJackieのVocalをガッツリ引き立てている。
(Hit-C Fiore)