Karmaは、O Têrçoのギタリストで創設者でもあったJorge Amidenがバンド脱退後に新たに結成したTrio。O TêrçoはRio de Janeiroで68年にAmidenとベースのSérgio Hinds、ドラムスのVinícius Cantuáriaによって結成されたBrasilのRock Trioで70年にFormaからDebut Album『O Têrço』をPaulinho TapajósのProduce、 Arthur VerocaiのOrchestral Arrangeでリリースしている。しかし、2曲を除いた殆どの楽曲を書いていた中心人物ともいえるAmidenはこの1枚でO Têrçoを脱退してしまうのであった。その後のO Têrçoについては、以前ご紹介してきた通り、Progressiveな素晴らしいバンドに発展していくのだが、バンドを脱退してしまった才能に満ち、世界で初めて3本のネックを持ったギターTritarraを弾いた人物といわれるAmidenはどうなってしまったのか。Ivan Linsが71年にリリースした2nd Alubum『Deixa O Trem Seguir(邦題:汽車を見送りなよ)』にO TêrçoのベーシストSérgio Hindsと共に参加し、66年に結成されたSamba SoulなVocal Group Trio Ternuraが71年にリリースしたアルバム『Trio Ternura』にはAmidenとHinds共作の"Ah! Se Eu Pudesse"が収録されている。そしてAmidenは、Alen TerraとLuiz Mendes JúniorとPsychedelicな香り漂うFolk Rock Trio Karmaを結成して72年に唯一のアバムをリリースしている。同年Erasmo Carlosの名作『Sonhos e Memórias』に参加し、Milton Nascimentoのバンドにも参加したAmidenは、しかし、薬物による深刻な健康上の問題を抱えて表舞台から消え去ってしまうのであった。残念なことに9年前に人生の幕を閉じてしまったAmidenではあるが、彼が残した『O Têrço』 と『Karma』の2枚のアルバムは決して色焦ることないその魅力と共にBrasilのRock史上に名を残し続けていくだろう。
『Krama』はKarmaが72年にFormaからリリースしたアルバム。Arthur VerocaiがStringsとBrassのArrangementを担当している。
アルバム1曲目“Do Zero Adiante”は Twelve-String GuitarとAcoustic Guittarが奏でるPastoralなEnsembleにChorusが夢見心地のナンバー。
“Blusa De Linho”は哀感漂うOrchetrationをバックに、これまたFalsettoをまじえて見事なChorusが披露される。力強く風のように舞うFluteもイイ感じ。心地良いAcousticなEnsembleが奏でられる中でTerraが弾くDouble Bassも雰囲気を出している。
AmidenがTritarraと12-String Guitarを弾く“Você Pode Ir Além”は高音が目立つChorusとギターのEnsembleが圧巻。
“Epílogo”は哀感漂うArpeggioから始まり、バタバタしたドラムスが暴れ高音Chorusが炸裂するRockな展開になる。
清らかなChorusで始まる“Tributo Ao Sorriso”は次第に荘厳ともいえるChorusが存在感を放ち優美なStringsも加わりPsychedelicなTripに誘われてしまう。
Harmonicaがイイ味を出しっている素朴なAcoustic Tune“O Jogo”。
幻想的でMagicalなOrchestrationが効果的な“Omissão”。Pshyche入ったギターもイイ感じ。
爽やかな“Venhar Pisa Na Grama”は透明感のあるChorusも相まってどこか西海岸風。
“Transe Uma”は疾走感に満ちた哀感に満ちたインスト曲。ここでもStringsが効果的。
アルバム最後を飾るのは“Cara & Coroa”。Twelve-String Guitarの響きやFalsettoをまじえたVocalやChorusがPsychedelicに微睡む夢を見させてくれる。
(Hit-C Fiore)