Cheiro de Vidaは70年代末にPorto Alegreで結成されたBrasillのInstrumental Groupである。この時代は世界の至るところで所謂Crossover、そしてFusionと呼ばれる音楽が流行し、それこそ星の数ほどのそういった演奏をするGroupが世界中から登場していくことになった。Jazzの世界から、そちらに向かうのもあれば、Rock系から、そういった方向転換をする連中もいたが、いずれにしても演奏技術がそれなりに高いMusiccinでなければ、この手の路線は厳しいものになるわけで、高い演奏能力を持ったMusicianの宝庫である南米からも数多くのInstrumental Groupが誕生した。勿論、只、演奏技術が高いだけではなく、作曲やArrangement、EnsembleのQualityの高さや個性が抜きんでたものではないと、超絶技巧の猛者ぞろいの南米では生き抜いていく事は難しかったことだろう。本日ご紹介するCheiro de Vidaもまた、そういったFusion/Jazzに分類される音楽を演奏するGroupで、残念ながら唯一のアルバムを残して消滅してしまった。ギターのCarlos Martau、Paulo Supekovia、ベースのAndré Gomes、DrummerのAlexandre Fonseca、そしてRecording Engineerを務めたRenato AlscherもPerformerとして名を連ねている5人組である。ベースのAndréは当時一世を風靡したFretless Bassの奏法と音色やSlapが時代を感じさせるものの、かなりの腕利きでJoão Boscoの97年作『As Mil E Uma Aldeias』ではSitarを弾いたりしている。またThe Sitar Lounge Experience名義のアルバムを2000年代にリリースしていたりする才人だ。2000年に『1988』とタイトルが付けられたLive盤が出ているが、そこにはTrio編成となった彼らの文字通り88年の弾き倒し、叩きまくりのLive演奏が楽しめる。
『Cheiro de Vida』はCheiro de Vidaが84年にAcitからリリースしたアルバム。
アルバム1発目“Fechado Pra Balanço”は心地良いギターのカッティングで始まり、いきなりンペンペのSlap Bassが炸裂。この辺は流石に時代を感じさせるが、ギターもドラムスもかなりの腕前である。
“Asas Longas”はギターのRiffで始まり、途中でメタルかよ!みたいなノリのパートが挟まれるShuffle。彼らの出自がわかる。
チョイ幻想的で甘美な味わいの“Entre Estrelas”はAndréのFretless Bassがイイ味を出している。これも時代を感じさせる。
“Tema Do Bonder”はフォービートも飛び出し、爽やかサンな中に彼らの技巧が散りばめられている。
これまた凄腕のMusician揃いのRaiz De Pedra在籍の超絶ギタリストFeatureした“Crepúsculo”Llyricalで泣きの前半から怒涛の弾き倒しへ。
“Hieronymus Bosch”も技巧派ギタリストAugusto Licksを迎えてPat Metheny Groupのような生命感に満ちた演奏が楽しめる。
“Aí, Stanley!”は抒情的でRomanticな彼らの側面が出た演奏。これまた、この時代特有ではあるが、なんともMellowで心地良い。
“Ayisha”はAndréがSitar弾きまくりの異国情緒に満ちたナンバー。後のThe Sitar Lounge Experienceへ繋がるExoticな魅力が楽しめる。
“Nosferatu”はAndréのFretless Bassが歌いまくる抒情的でMellowなナンバー。気持ち良いっすなあ。
アルバム最後をシメるのは1分チョイで終わってしまう“O Bom Pastor”。Funkyで少々幻想的なところも面白いが短すぎる。
(Hit-C Fiore)