Czechが誇るJazz Rock Group Jazz Q。分裂前のCzechoslovakiaだった時代に鍵盤奏者Martin KratochvílとMulti管楽器奏者Jiří StivínによってJazz Q Prahaという名前で結成され、メンバー・チェンジを繰り返しながらジャンルを越境した音楽を世に出してきた。その活動は60年代後半から始まり80年代半ばに一旦休止されるが、2000年代に復活しアルバムもリリースしている。長い活動時期に、Martin Kratochvílの変幻自在の鍵盤を核としながらも、メンバーの変遷と共にその音楽性は多少ならずとも変化しているが、それぞれの時期独特の面白さがあって、どの時代にあっても高い音楽性と演奏技術で楽しませてくれるのが気に入っている。本作は91年に発掘されたタイトル通りJazz Qが74年と75年に行ったLive演奏が収録されている。この時期はSoulfulな英国人女性VocalistのJoan Dugganを擁した74年リリースの名作『Simbiosis』をリリースした頃で、Duggan脱退後にインスト主体のJazz Rockを演奏する前の、ある種混沌としつつ独自の個性を発揮していたJazz Qの魅力が味わえる。初期の旧共産圏らしいどこか謎めき、重厚でAggressive、Avant-Gardな音楽性から徐々に洗練されたJazz Rockを演奏していくようになる彼らだが、この時期の独特の泥くさくBluesyな音楽性は、彼らの歴史の中でも特異な時期であったかもしれない。残念ながらオリジナル作は3曲のみで、全てBluesな曲、残りはCover曲となっている。しかし、英国出身の女性VocalistをFeatureしたFleetwood MacやThe Edgar Winter Group、Donny Hathaway、Stevie WonderのCoverは中々聴きモノだし、Mahavishnu OrchestraやSax奏者Eddie Harrisのナンバーには、Jazz Qの出自が感じられて興味深い。演奏陣のメンツはMartinの鍵盤にギターのFrantišek Francl、Percussion奏者のJiří Tomekを中心に74年と75年はベースとドラムスがそれぞれ交代している。
『1974-75 Live』はJazz Qが74年と75年に行われたLive演奏を収録したアルバム。
アルバム1曲目はFleetwood Macの”Watch Out”。MacのギタリストPeter Green作のこのBluesを大真面目に演奏しているのが微笑ましい。Joan Dugganのパンチの効いたVocalは勿論最高だし、Joaoの旦那であるFrantišek Franclのギターもご機嫌である。
Percussion奏者のJiří TomekがBluesyな喉を披露する”My Mother Mě Porodila V Strouze”。Blues Harpがご機嫌なモロBluesであるがBluesyなギターとピアノもイイ感じである。
The Edgar Winter Groupの”We All Had A Real Good Time”。以上は74年7月のSt. Plzenecでの公演を収録したもの。激カッコイイギターのRiffに導かれ、JoaoのSoulfulなVocalが堪能できる。
ここからは75年の1月と2月に行われたBratislavaでの公演から。ベースがAlexander ČihařからPřemysl Faukner、ドラムスがMichal VrbovecからLibor Launに交代し、
Mahavishnu Orchestraの73年作『Birds Of Fire』収録の”Sanctuary”。John McLaughlin作の哀感漂うこの曲はJan MartinecのViolinが印象的だ。
Donny Hathawayの71年リリースの2ndアルバム『Donny Hathaway』の冒頭を飾る名曲”Giving Up”はJoaoの魂のこもったVocalが圧巻である。MartinのエレピやFrancのギターもイイ感じ。これはグッときますなあ。
”Freedom Jazz Dance”はウネリまくるベースとキレキレのViolinが最高。JoaoのVocalとFranclのギター・ソロも熱いっす。
これまたBluesyなエレピとギター、Blues Harpがご機嫌なLaid BackしたBlues”Lonesome”。Violinソロもイイ感じだしJoaoのVocalも渋いっす。
Stevie Wonderの”Living For The City”。やはりJoanの黒っぽいVocalが良い。
アルバム最後をシメるのは勢いのあるBlues”Co Dům Dal”。
(Hit-C Fiore)