Aquarium Live No. 1/Laboratorium | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 東欧には優れたJazz Rock/Avant-Garde Bandが数多く存在するが、Polandで天才ギタリストJarosław Śmietana率いるExtra Ballと並んで世界に誇るジャンルを越えたImaginativeな音世界を生みだすバンドLaboratoriumも極上の名作を世に出している。本日ご紹介するのは彼らのLive Album。いうまでもなく欧米のJazz Rock Bandに負けず劣らず、どころか、時にはそれらを凌ぐ高い演奏技術個性を持った東欧のJazz Rock Bandの中でもいかにもPolandといった感じの独特の個性が光る連中である。東欧らしい幻想的Surreal、そして少々Avant-Gardeな中に硬質の美しさと青白く燃え上がる激情を垣間見せるところがLaboratoriumの魅力である。その始まりは60年代末のPoland南部のKrakówに遡り、バンドのLeaderで殆どの曲を作曲している鍵盤奏者のJanusz Grzywaczを中心にVocalとBasoon、Clarinet、後にSaxを演奏するMulti管楽器奏者のMarek Stryszowski、Flute奏者のWacław Łoziński、ベースのEdward Mąciwoda、ドラムスのMieczysław Górkaというメンツでバンドが生まれた。ベースは間もなくMaciej Górskiに交代し、Gitariada ’71音楽祭が彼らのデビュー・ステージとなった。Polandが生んだ天才Violin奏者Zbigniew Seifertと共演した彼らは、短期間ながら鬼才Czesław Niemenのバックでも演奏し、少なからぬ影響を与えている。また同国のTrumpet奏者Tomasz StańkoともZaduszki Jazzowe '75で演奏を共にしている。時代はElectric JazzからFusionへと向かう中、彼らもThe Weather ReportReturn To ForeverMahavishnu Orchestrarらの少なからぬ影響を受け、やがてWacław Łozińskiがバンドを去り、ベースがKrzysztof Ścierańskiに代わり、ギタリストに兄弟のPaweł Ścierańskiが加わってバンドは76年にアルバム『Modern Pentathlon』をリリースする。本作はそれに続くアルバムで、Conga奏者Paweł Valde-Nowakが加わった6人体制となっている。

 

 『Aquarium Live No. 1』はLaboratoriumLive AlbumWarszawa"Aquarium" Club77年の9月20日から23日にかけて行われた公演の模様を収録している。

アルバム1発目は“Struktura Przestrzeni”。Krzysztof Ścierańskiが弾くFretless BassHarmonics奏法に導かれてMysteriousな世界が始まる。Marek StryszowskiのSaxとエレピが作り出す透明感がある冷ややかで謎めいた空気が流れていく中で、Marek Stryszowskiの怪しさ満点のScatが飛び出す。Fretless Bassのソロ、ドラム・ソロが続き“Taki Ładny I Przyjemny”に突入する。まるで魔界に連れ込まれたかのようなAbstractで妖気を孕んだ空間の中で思わず怖いもの見たさでズブズブと深みにハマっていく。StryszowskiのScatにエレピがのソロをとり、Themeが始まる。Funkyな展開に突入し、待ってましたのPaweł ŚcierańskiのEmotionalなギター・ソロ、StryszowskiのSaxソロが続く。

B面はFunkyなJazz RockBzdrągol”で始まる。薄闇の中で蠢く生物のように低音でぶっとくウネるベースが気持ち良すぎる。エレピ・ソロも激Funkyにキメまくって御機嫌である。そして思わず客席も大興奮しているのがわかるKrzysztof Ścierańskiのベース・ソロ

Flamenco Na Miękko”で再び幻想的でひんやりした空気が流れる場所に連れ戻される。SaxとベースのUnison、そしてギターが優美な旋律を奏で、心地良さに浸っていると、突然リズム隊が疾走すると、タイトルのごとく異国情緒漂うSpanishな展開に突入する。Saxソロが否が応でも盛り上げまくると、再びエレピのソロでCool Downするも、再び情熱に満ちたSpanish Sambaが始まる。Percussionソロにお得意のScatが飛び交って静と動の鮮やかなContrastでLaboratoriumらしさをしっかりアピールし、ギター・ソロが飛び出して圧巻の弾き倒し

アルバム最後をシメるのはFunkyにキメるDziewięcił”。

(Hit-C Fiore)