80年代のUK R&B/Soul Sceneに突如登場したMica Parisのデビュー・アルバムをご紹介。これまた'数多くの名作を生み出した英国80sのR&B/Soul Sceneを代表する一枚だと個人的には思っている。North LondonのIslingtonに生まれたMicaは9歳の時にSouth Londonに移り、祖父母と一緒に幼少時から教会で歌い始めたというから筋金入りのGospel仕込みである。10代の時には 'The Spirit of Watts'というGospel Choirに参加している。Shakatakや英国のバンドHollywood BeyondのBacking Vocalとしてプロのキャリアをスタートさせ、徐々にその歌唱力が評判となっていく。そしていよいよ、88年にIsland Records傘下の4th & B'way Recordsから本作がリリースされた時、Micaは19歳であったわけであるが、とても未成年とは思えない、その大人びた貫録の歌いっぷりには驚かされる。Sheena Eastonの楽曲を手掛けてきたL'Equipeと名付けられたMike LeesonとPeter Valeの名コンビがアルバムのProduceと演奏を担当、殆どの楽曲を提供している。GospelのFeelingを生かしたMicaの歌唱は都会的で洗練された楽曲群に若々しく生命感に満ちたSoulを与えて、より魅力的に輝かせている。L'Equipeの2人がギター、鍵盤、ベース、ドラムスとほとんどの楽器を演奏しているが、SaxにCourtney Pine、ギターにMilton McDonald、ベースにPaul Powell、ドラムスにSteve Ferrera、VibraphoneにOrphy Robinson、FlugelhornにKevin Robinson、Backing VocalにPaul Johnsonといった当時駆け出しだった才能に満ちた英国の若きMusicianたちを起用している点も見逃せない。さらに鍵盤に数々のUK Soulの名作をProduceしてきたMaestro Pete Wingfieldが参加しているところもポイントが高い。個人的には大好きなAswadやKeith Hudson、Bob Marleyなどでお馴染みCandy MckenzieらによるThe Parisienne Choirと名付けられたChorus隊が彩りを添えているのが嬉しい。
『So Good』はMica Parisが88年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目は“Like Dreamers Do”。Courtney PineのSaxをFeatureしたご機嫌なShuffle。
“My One Temptation”はこの時代らしい都会的で小洒落た仕上がりのサウンドにMicaのチョイ鼻にかかったような個性的なVocalがイイ塩梅にハマった心地良いナンバー。
The ChristiansのRoger ChristianをBacking Vocalに迎えた“Nothing Hits Your Heart Like Soul Music”もサウンドは時代を感じせるものの、Micaの思いっきりの良い歌いっぷりがイイ感じ。
哀感漂うBallad“Sway (Dance The Blues Away)”では大人びたMicaのVocalに驚かされる。
“Don't Give Me Up”はWill Downingとの絡みも、これまた10代とはとても思えない大人びたもので、その色香にドギマギしてしまう。
伸びやかでSmokyなMicaのVocalが生かされた魅惑のMidium“Breathe Life Into Me”。
この時代らしい打ち込みベースのランニングで始まる“I'd Hate To Love You”。サウンドはさすがに時代を感じさせるものながらChorus隊と見事な絡みをみせるMicaの表現力豊かなVocalが良い。
DanceableなBeatにのって小気味よいMicaの歌いっぷりが冴えわたる“Great Impersonation”。
Paul JohnsonとのDuetが絶品の“Words Into Action”はWill DowningのProduce。アルバムで一番のお気に入りの曲良し、歌良しのナンバー。2人ともフェロモンが出まくりっすなあ。
アルバム最後を飾るのはタイトル曲“So Good”。定番のハチロクBalladながら、やはりMicaのSoulfulなVocalに惹きこまれてしまう。
(Hit-C Fiore)