Live In Tokyo/Jimmy Raney | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 これは最高。大好きなJazz Guitarist Jimmy Raneyご機嫌なLive盤。しかもLive In Tokyo!ああ、Time Machineがあるのなら、76年4月中野サンプラザ郵便貯金ホールに飛んでいきたい気分である。この演奏を生で観れた方が本当に羨ましい。思慮深いChord WorkCoolでImaginativeな旋律を次々に紡ぎ出すRaneyのギターの虜にならざるを得ない。そして大好きなSam Jonesのぶっとく黒いDrive感のある重低音ベースに燻し銀の職人技が光るドラムスのLeroy Williams。独特のタイム感でスリリングにフレーズを弾き倒すRaneyのテクニックに圧倒されつつ歌心とBop魂にも満ちたフレーズに心が躍る。どちらかと言えば繊細でCoolImagination豊かなフレージングで勝負していたRaneyであるが、Xanadu Recordsの面々と76年に日本公演を行い、その中でRaneyのTrioでの演奏を録音した本作で耳にした演奏はそれを良い意味で裏切るものであった。Coolさはそのままにテクニカルに流れるようなフレージングで圧倒する。かつてStan GedzBob BrookmeyerTeddy CharlesZoot Simsらと演奏していた頃の繊細な情感は薄れてしまったかもしれないが、歌心とImaginativeなフレージングは健在だ。多少、強引な部分も見え隠れするが、その荒々しさもLive盤の魅力である。69年のLiveを録音した『Strings & Swings』も中々素晴らしい。不遇の60年代を経て70年代に前線にに復帰してからのJimmy Raneyは好盤目白押しだ。息子のDougも素晴らしいギタリストであり、親子共演となったSteepleChaseからリリースされた79年の『Stolen Moments』は全盛期の情感豊かな温もりのあるフレージングが湧き出すような名作となった。80年代にも新境地を開いたAttila ZollerとのDuo作『Jim & I』と『Jim & I Live』で素晴らしいプレイを披露している。

 

 『Live In Tokyo』は76年4月に中野サンプラザと郵便貯金ホールで行われたJimmy Raneyの来日公演の模様を収録したLive盤Xanadu Recordsからリリースされた。

アルバム1発目、軽快なChordソロで始まる“How About You”。Ranyのギターの音が出た瞬間からどよめきが起こり、心地良いSwingが始まる。時折、速いPassageを弾きながら淀みなく繰り出されるRaneyのソロに圧倒される。Sam Jones歌心に満ちたベース・ソロセンス抜群だ。心地良いツボを叩くようなLeroy Williamsのドラミングも良し。

Tempoを落としたDarn That Dream”はRanyの華麗な指さばきから放たれる歌い心満点の流れるような美麗なフレーズの洪水に酔いしれる。Sam Jonesのベース・ソロも独特のタメを生かした緩急自在のフレーズが気持ち良すぎ。

Cahely Parkerの“Anthropology”もRaneyの名人芸が炸裂。次から次に紡ぎ出されるBop魂に満ちたフレーズに心を撃ち抜けれてしまう。激Coolに放たれていく淀みのないフレーズはスリリングかつ歌いまくり。Leroy Williamsのドラム・ソロもご機嫌だ。

Michel Legrandの“Watch What Happens”はBossaCoolにキメる。これは極楽気分。速弾きもキメつつ暖かさに満ちた演奏が良い。お茶目な終わり方も思わず笑みがこぼれてしまう。

Autumn Leaves”。滑らかに旋律を繰り出し鋭さと歌心のバランスの取れたソロに感服。

Stella By Starlight”はJimmy Raneyのギター独奏。これを生で観た人はその技巧に驚かされたであろう。かつての繊細さは失われたが、それを補って余りある熱演である。

指パッチンの“Here's That Rainy Day”はRelaxした雰囲気も良し。Sam Jonesのソロがまたイイ感じ。

アルバム最後をシメるのは疾走感に満ちたCherokee”。これは口あんぐりモノの弾き倒し。Leroy Williamsドラム・ソロも熱い。

(Hit-C Fiore)